卒業と終戦
高橋てい一研究をしようと思いたった理由の一つは、研究中の篠原一男の一つ年上で、さらに篠原の同級生の林昌二と仲が良く、実はあの世代には通底する時代感があると勝手に思っているからである。だから高橋の次は林昌二研究をしなければならない。それらが後5年の内にやらなければならないことである。なぜその世代かと言うと学術的意味はさておき、父がその世代だと言うことが興味を掻き立てる。父は篠原一男の一つ年下で大学卒業と同時に終戦を迎えた人間である。卒業証書はまだ帝国大学である。多感な時代に切り替わる日本を体感した人間の複雑さが人生に現れている。