森は考える
去年出版された『文化人類学の思考法』の中で中空萌さんは「自然との共存は・・・今や私たちの生存に関わる他種との緊迫した関係である」とインフルエンザウィルスを例にとり説明していた。今まさに私たちはそういう事態に直面している。ここで言わんとしていることには自然は人間が支配して大事に育てるようなものではない。むしろ人間と同等な精神性を宿した世界があるということである。そんな風に自然を人間中心主義から解放した人類学として注目される書物が『森は考える』(エドゥワルド・コーン著)である。この本の趣旨は「森は考えると人は考えるということではない」森は人とは異なる方法で考えているということである。それは言葉(象徴)を使わないけれど様々なサイン(パース記号学でいうインデックスやイコン)の連鎖によって意味の交換を行うということであり、人間社会とは次元の異なるコミュニケーションを行うということである。僕たちはそんな意味の連鎖の中に入り込むことができるのだろうか?自然と付き合うとはそんなことなのであり。ウィルスもそんな自然の一つなのである。
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