情報生産者になる
大学の教員の一つの義務は情報発信だろうと思う。しかし忙しさにかまけてそれをおこたっている。するとこういう本(上野千鶴子『情報生産者になる』ちくま新書2018)に出会い即読み始めたら対象が教員ではないことが分かった。ここでいう情報生産者とは大学生のことであった。つまり一言でいうとこの本は「論文の書き方」指南本である。そしてこれまで読んだこの手の本の中では抜群に面白くてかつ有効である。「どうしてこんなレジメしか持ってこないのだろうか?」「なぜいつまでたっても論文進まないのだろうか?」とアリのような学生を持ってお困りの先生たちはこの本をお読みください。おそらくそういう悩みを持っている(私も含めて)先生の半分は先生に半分の原因があるのだということをこの本を読むと感じるはずである。つまり適切な指導をすればもう少し良い結果が生まれるだろうという期待を感じさせる具体的で可能性を感じる指導法が書かれているのである。来年度はまずこの本から輪読を始めたいと思う。
コミュニタリアニズム
ソーシャル建築は昔はソーシャリズムに結びつくのだけど、現代ではサンデルが説くコミュニタリアニズムに後押しされるものと言えそうだ。コミュニタリアンニズムはリベラリズムと次の点で異なる。それはその制度政策の妥当性の基準がコミュニタリアニズムは善い/悪い、リベラリズムは正しい/正しくないに根拠付けられる点である。善い/悪いはとある共同体の中で了解される生の基準であり、正しい/正しくないは善い/悪いが異なる基準を持つ複数の地域にまたがる場合にそれを律する上位の規範的基準なのである。つまりリベラリズムはよりグローバルを志向し、コミュニタリアンニズムはよりローカルを志向すると言えるだろう。
須賀川市民交流センター
理科大に来て最初に修了した院生K君の担当した建物、須賀川市民交流センター(設計、畝森建築設計事務所+石本建築事務所)が完成したので見せてもらった。k君は畝森事務所に入りこの建物の実施設計から参加し現場に2年いて監理をした。スラブをうまく配置して内外に様々な場所を作りその操作が自然に外観に現れている。沢山の市民で賑わう様は設計者冥利に尽きる事だろう。
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