Tom Heneghan
トム・へネガンの芸大退任を記念して作った冊子をいただいた。冊子と書いたが正確に言うと181ページある本である。内容はトムの師であるピーター・クック、ヨコミゾマコトのイントロに始まる。本のタイトルはSpeculationであり近代建築とは何かを思索するものである。彼はそれを9の事象とそれを体現する建築家のセットにまとめた。1先例と発明―スターリング、2革命―ル・コルビュジエ、レオニドフ、メルニコフ、べスニン兄弟、マイヤー、コールハース、3時代精神―アーキグラム、プライス、フラー、4技術―ロジャース、フォスター、シャロ―、インベルニッツィ、5結構―ツムトア、レベレンツ、6自然―マーカット、7光、風景―ル・コルビュジエ、フェーン、サーリネン、安藤、8地―ハディッド、ウッツォン、ツムトワ、リベラ、リン、9意味―磯崎、ミケランジェロである。近代建築はだれが何を書いても一つのストーリーなのだが、このストーリーはわかりやすい。技術、自然、社会が時代を築いたのであり、とんでもない天才たちがそれを導いたあり様が書かれている。建築家であるトムが建築家の力を信じて書いた素敵な本である。こんな講義を英語で受けている芸大生は幸運である(あった)。
歩くことの意味
神楽坂の家は歩きながら思索する哲学者の家である。
この本は『歩行する哲学』というタイトルだが歩行する哲学者が多く登場する。ギリシアの哲学者はもとよりカント、ヘーゲル、マルクス、ニーチェに至るまで歩くことは哲学することと同義でさえあるようである。
かつてオーフス大学に招かれた時、バイキングの末裔のような大きな顎髭をたくわえた教授が僕を散歩に誘った。EUの建築家を呼んでワークショップをした時イタリアの建築家は歩くことをテーマとした。歩きながら考えることの意味を時々知らされる。
そして歩くことが人の成立要因の一つ(歩き、読み、考える)であることを今また考えている。
JIAマガジン2月号
JIAマガジン1月15日号は昨日入稿。「建築が生まれる時」の今月は田根剛さんである。一本の線はあたかも書のごとく力強い。エストニアの博物館が生まれる時の鼓動が聞こえて来る。巻頭インタビューも田根さんにお願いした。最初に聞いたのはサッカーのポジション。ボランチだそうだ。世界を見渡す目はサッカーで培われたのかもしれない。乞うご期待。
池袋本町小学校・池袋中学校
豊島区は消滅可能性都市の汚名返上するため持続発展都市を目指し国際アートカルチャー都市を標榜し様々な施設展開を行っている。その一つが教育施設である。池袋本町小学校・池袋中学校は小中連携校として地域と連携した緑、防災の拠点として整備された。環境学習教材としての太陽光パネル、集熱パネル、壁面緑化、屋上菜園、自然通風窓、雨水利用は災害時にも利用できる計画となっている。設計は石本建築事務所で2016年竣工。
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