メディアの公共性
光テレビやIPhoneでBBCを見る(聴く)ようになってから日本のテレビ(ニュース)を見る気がなくなった。不必要な説明や偏向を感じる報道に嫌気がさした。くわえて新聞も朝日のデジタル新聞を取っていたが別にBBCでもCNNでもヤフーでもなんでもいいかと思うようになってしまった。林香里『眼ディア不信ー何が問われているの』岩波新書2017を読みながらそういう風に感じているのは僕だけではないのだなということが分かった。さてしかしメディアがこれからなくなるわけでもなく、そしてある有効性を獲得するならそこに必要なのはメディアの公共性だろうと著者は言う。しかも押し付けがましくない適度な公共性である。これは昨今でも建築でも重要な考えであり、つまり我々をとりまくものが、社会の中の多様性と秩序のバランスを保つことが望まれているということなのだと思う。
catastrophe
ジェフ・ブロックによる昨日のレクチャーA Few Strong Threadsは大変興味深いものだった。自らの3つの設計(メキシコの教会、コロンビア大学の研究施設、マドリードの古いビルのリノベーション)のアイデアの根源とその具現化について聞いた。結果だけではなくプロセスすを話してもらうのは勉強になる。学生たちも興味津々の様子だった。今まで僕が読んだ外国の建築家の中ではもっともたくさんの比較的大きな建築を設計している建築家であろう。
その後二人で軽くディナーをしながら、自然とアメリカの政治の話になった。トランプの投票速報を聞いていた時は9.11でビルが崩落するのと同じ感覚だったという。何度もカタストロフィ(大災害、大きな不幸)と叫んでいた。
二冊
鹿島の伊藤公文さんから『百書百冊』をお送りいただいた。鹿島出版会から世に送り出された3000点を越える書籍の中から百書を選びその書評を掲載。また後半は鹿島出版会の雑誌、加えて雑誌SDから生まれたSDレビューについての寄稿が掲載されている。書評が百というのはユニークである。書評に取り上げられているのだから、それだけで良書である確率は高い。加えて評者が素晴らしいのでこれを建築定本を探すガイドブックにしても良いと思う。
さて同じ日に香山壽夫先生からも非売品のドローイング集をいただいた。香山先生の達者なドローイングは有名だが昨今これだけの量のパステルの絵を描かれていたのには驚いた。カーンのスピリットが継承されている。加えて拙著『建築の条件』への感想もいただいた。毎回丁寧に読み込んでいただき頭が下がる。ありがとうございます。
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