あけましておめでとうございます
一昨年くらいから賀状を出すのをやめました。ご容赦ください。未だにお送りいただいている方、ありがとうございます。
皆様今年もよろしくお願いいたします。皆様にとって素敵な一年となりますよう心からお祈り申し上げます。
坂牛卓
新年の抱負
元旦
神楽坂で迎える最初の正月。ジムに行く前に赤城神社にお詣り。
今年計画していること
•2冊の本の出版
•学会シンポジウム、テーマは3月技術、6月素材、9月分離派
•JIAマガジン、今年最初のインタビューは長谷川逸子さん
•研修所リノベ、ビール工場コンバージョン、児童家庭支援センターの完成
•新たな4年、修士はもとより、博士3名と新たな研究
•ポルトガル、デンマークへ新たな留学生を派遣
•チェコでWS サンチアゴからディエゴグラスを招聘してWS
ジムて自転車こぎながらさっき祈ってきた新年の抱負を打っていたらテレビで三浦和義が言っている。情熱があるから続けられる。まったくそうだ。情熱がなくなったら引退だ。
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今年を振り返る 読書編
今年を振り返る 読書編
今年は本当に忙しくて読書量が例年の6割くらいであった。とほほ
その中で一番面白かったのは信原幸宏『情動の哲学入門』である。人間は事象に体が反応してそれを価値として受け取るというプロセスの説明が的確だと思った。体の本として伊藤亜紗の『記憶する体』は体の不自由な人にインタビューした興味深いレポートである。ファッション関係では堀畑裕之の『言葉の服』は哲学を学んだファッションデザイナーの言葉で創作論として示唆するところが大きい。また『ファッションと哲学』はアンソロジーだが様々な注目すべき言説が転がっている。食の本では三浦哲哉の『食べたくなる本』が面白い。これは食の本をレポートした本でその中にのっていた有元葉子の『ためない暮らし』の教えに沿って行きている。アート関係では筧菜々子の『ジャクソンポロック研究—その作品における形象と装飾性』の分析が秀逸。ポロックの装飾性という以外な結論も面白い。レフ・マノヴィッチの『インスタグラムと現代視覚文化』の調査分析も説得力がある。社会の話では山岸俊男『安心社会から信頼社会へ−日本型システムの行方』は常日頃感じていたことだった。そして最後にテレビドラマにもなった朱野帰子『わたし定時で帰ります』は現代社会が本当に変わりつつあるのだなということを実感する本だった。来年はもう少しじっくりと読書する時間を作りたい。
今年を振り返る 建築編
今年を振り返る 建築編
去年の夏からJIAマガジンの編集長になり表紙を「建築が生まれる時」と題してプロジェクトを導いたドローイング、模型を掲載させていただいた。隈研吾、大谷弘明、永山祐子、ヨコミゾマコト、千葉学、田根剛、比嘉武彦、RCR、末光弘和、豊田啓介、小堀哲夫、山梨智彦、能作文徳、藤村龍至、門脇耕三、ADVVT、日建設計、山下設計、久米設計(敬称略)にご協力いただいた。最後の3つの組織事務所にはオリンピック施設の設計についてインタビューさせていただいたが内容確認のためにゆうに500通くらいのメールをやり取りした。
建築学会の建築理論・建築意匠小委員会の主査を去年から行い、建築論のキーワード集を作るべく研究会シンポジウムを行っている。今年は2月に法政大で「建築の社会性」をテーマに、妹島さん、坂本さん、ヨコミゾさん、青井さんを招いて議論。6月に京大で「自然」をテーマに入江さんを招いて議論。9月に金沢工大の学会で「建築の自律性と他律性」をテーマに香山さん、北山さん、加藤耕一さんを招いて議論。12月に岐阜にて「日常と聖」をテーマに岡北さん、長島さんを招いて議論。回を重ねるにつれて現代建築の論理の深みを考えさせられる。
夏に南米に行き、モンテビデオ、ブエノスアイレス、サンチアゴでレクチャー。ロベルト、スミルハン、マックスの建築に感銘を受けた。
ミースファンデルローエ財団が企画する建築を志す学生のためのコンペティションの組織づくりをスタートした。ドイツと縁の浅い私だがたまさかゲーテインスティチュートのディレクターが知己で依頼された。そこで日本の建築学科を有する150くらいある大学を40くらいに絞り込みコンペの参加を依頼することとなった。大学の選考にはQSランキングも利用した。
2月に子供の家、4月に運動と風景、5月にFujihimuro、11月に甲府の御堂が竣工した。それぞれ担当者の頑張りで密度の濃い仕上がりになった。運動と風景は2017年にSD賞をいただいた建物で、審査員だった千葉学さんに竣工レビューをしていただき、内臓のような身体感覚があると評された。また阿部勤さんの家を私が訪問、阿部さんが運動と風景を訪問してクロスレビューをさせていただいた。二つの建物に共通点が多々あることに驚いた。また11月には長谷川逸子さんのギャラリーで建築家の自邸を議論するという門脇耕三さんプロデュースのシンポジウムでお話させていただいた。すでに運動と風景には600人くらいの人が来訪した。
来月6日に図渡しをするために150枚以上の図面を仕上げている。ワクワクするようなプロジェクトである現場が楽しみである。
来年3月に本屋に並ぶ本『建築の設計力』(彰国社)の原稿の最終段階となった。来月13日に最終稿を提出するべく正月返上、最後の赤入れ中。3冊目の単著である。これまでの二つの単著『建築の規則』、『建築の条件』はどちらかというと建築鑑賞の道しるべとしての役割が強い。しかし鑑賞と制作は表裏一体でありこれら鑑賞の道具を位置づけながら建築の設計力とは何を学ぶことで向上するのかそのメカニズムを示す本である。
今年もいろいろお世話になりました。マガジンの表紙を飾ってくれた建築家たち、スタッフ、クライアント、施工者、編集者、日本とドイツのゲーテの人たち、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
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