Taku Sakaushi

Diary

理科大来て良かったね

On May 24, 2011
by 卓 坂牛

朝一で教室会議。とにかく資料が多くて短時間では理解ができない。午後事務所に戻り打ち合わせ。夕方再び大学へ。行ったり来たりできるのは地の利である。コンペの打ち合わせをしてから講義。ゴールデンウィークを過ぎると学生が減ると言われていたが確かにぐっと減ってきた。講義を終えてから再びコンペのレイアウトを見ながら指示をする。段々と盛り上がってきたかな?研究室最初のコンペだからどこまでできるかわからないけれどこういうものはとにかく全力を振り絞ることに意味がある。だいたいの指示を出してからY,I,I先生と食事に行く。こうやって同僚の先生と食事なんていうことは信大ではあり得なかった。意匠の先生1人の信大では孤立していた。こうやって意匠の話をできる先生がまわりにいるって幸せである。理科大に移った意味はここにもある。家に帰るとかみさんに「理科大から帰ると楽しそうね?」と聞かれた。「うん楽しい」「良かったね」と言われた。そうかも。もちろんいいことだけではないけれど、いいことの方が悪いことよりかは多い。

カラヤン型かチェリビダッケ型か?

On May 22, 2011
by 卓 坂牛

最近自転車に乗ると体調が悪くなる。理由は分からないけれど今日はマスクして帽子かぶって大学に行った。午前中コンペの打ち合わせ。午後課題の敷地を再度よく見たく北の丸公園へ。武道館は誰かのコンサートで黒装束で化粧した若い男女が凄い人数集まっている。その脇を抜けて池を回り近代美術館へ「路上」展を覗くhttp://ofda.jp/column/。420円と安く、量も多くないけれどピリッと小粒でパンチのきいた展覧会。
帰宅後片山杜秀編集『思想としての音楽』講談社2010の中から片山杜秀VS菊池成孔と片山杜秀VS許光俊の二つの対談を読む。菊池の語り口は相変わらず鋭いし本音ベースでいいなあ。例えば現代音楽の音楽家(恐らく作曲者も奏者も)を菊池は三つに分類する。①マゾ上がり(退屈に耐えられる)、②頭が良くなってここまで来た人、③幼稚園のころから無調が好きだったりする(感性で退屈が好きな人)。この分類が既に凄―く冴えていると思うのだが、、、、先日、音楽の形式主義って快感レンジが狭いと書いたけれど音楽のプロもそう思っているということがこれで分かった。逆に言うと建築、まあ広く造形芸術を受け取る視覚というものは聴覚や味覚や嗅覚に比べると遥かに不快レンジが狭い、、、、という気がする。
さてもう一つの対談は片山が許に「最高の演奏」とは何かと聞く対談。ここで許はカラヤンとチェリビダッケの差をスリラーとドストエフスキーだと言う。つまり同じクラシックでも喜ばせる相手の領域が違うと言うわけである。それって良い表現だと思った。建築もそんな感じが常々する。カラヤン型の建築家とチェリビダッケ型の建築家がいたりする。もちろんカラヤン型の建築家の方が人気は上がる。
それにしても、音楽って片山にしても、許にしても、菊池にしてもきちんと評論する人がいるモノだと感心する。建築って批評の貧困な場所である。建築家が勝手に自分の都合のいいことだけを語っているに過ぎない。

津波の危険に警告を発していた高木仁三郎さん

On May 21, 2011
by 卓 坂牛

1988年の朝まで生テレビで原発議論がなされたhttp://www.youtube.com/watch?v=yEwmEFmSi9I。その時の反原発の中心人物であった高木仁三郎が2000年に書いた『原発事故はなぜくりかえすのか』岩波新書を読んだ。高木さんは90年代に既に、古くなった原発の危険性、地震はもとより津波、火事などに起因する災害の可能性を訴えていた。もんじゅ、JCOの事故があっても抜本的なことを何もしない国のあり方を批判している。
また高木さんは東大理学部を卒業後60年代に日本原子力事業(三井系の原子力会社)で研究を始め、その当時の原子力推進民間会社の雰囲気を「議論なし、批判なし、思想なし」と書いている。原子炉周りの放射能汚染の状況を論文にして発表したら上司から理由もなく止めるように指示された。
原子力は国の方針で旧財閥系が組織されて開発を半ば強制的に後押しされた、その時事故に対する損害賠償の議論が皆無でアメリカが1957年にプライスアンダーソン法という法制度を確立したのに遅れること4年。1961年に原子力賠償法が制定された。しかしその責任限度額がアメリカは日本の10倍。そのせいでアメリカはリスクが高いと判断して企業が原子力事業から撤退しているという。一方日本は官の号令を断り切れない企業側が議論もなくずるずると継続しているのである。責任範囲が曖昧ないかにも日本的な状況である。
高木さんが原発津波事故に言及したファイルをダウンロード

本の買い方

On May 21, 2011
by 卓 坂牛

午前中早稲田の講義。今日は男女性の発表。なかなか質の高いプレゼンが多い。三朝庵で昼。今日は暑いのでおろしそば。高いけれどなかなかうまい。となりのあゆみbooksで面白い本発見「括弧の意味論」。さまざまな本で使用される「」を数えてその多寡の意味するところを探るというもの。そんなこと考えたことも無かった。
最近研究室でまとめて本買うので本屋で面白い本があると記憶して助手に伝える。書評が面白いものは切り取って助手に渡す。ネットで見つけた本はそのページをコピーして助手にメールする。本に出てくる本はメモって助手に渡す。しかし買ってすぐしたい、着たい、履きたいという子供じみた性格の僕にとって買ってすぐ読めないのは辛い。
夕方大学で製図、研究室の1時間設計は藤木忠善さんの自邸が題材。都市の中で自然に開かれた家をさらにもっと自然に開くようトランスフォームせよというのが課題。輪読は佐々木健一の『美学への招待』ヤマにこもり10日くらいで書いた本。勢いあるし読みやすい。結論は、美は自然に回帰するというもの。そうそう、自然は偉大。所詮建築なんていうもので対抗することなどできない。建築は自然を切り取るフレームに過ぎない。

音楽と建築におけるフォルマリズムの差

On May 19, 2011
by 卓 坂牛

朝早く起きて白石美雪『ジョン・ケージ―混沌ではなくアナーキー』武蔵野美術大学出版会2009を読み始める。構造、形式、方法、素材という四つのカテゴリーがケージ作曲論の重要なタームだった。建築とそっくりで驚く。そして聴こえる音自体よりも形式の操作に力点が置かれていることがいかにもモダニズム。ヴィットゲンシュタインの建築のようである。しかし形式の操作は僕らには聞こえにくく見えにくい。人々が受け取るのはあくまで視覚と聴覚の快楽に過ぎない。そして視覚と聴覚ではそのレンジ幅が異なるように僕には思えるのである。聴覚のそれはかなり狭いというのが僕の実感。つまり音楽では下手に形式をいじるとすぐに不快な領域にはみ出ていくように思えるのである。音楽のフォルマリズムはそう簡単に人を気持ちよくさせない。一方建築のフォルマリズムは簡単に人を快楽に導く。なんて考えているのは僕が建築をやっているからに過ぎないのだろうか?耳が古典的にできているだけなのだろうか?
午後コンペを進めるために研究室へ。なんだか閑散としている。コンペやっているのに学生は1人、助手と僕がしこしこと作業している。この研究室大丈夫だろうか?四年しかいないとこんなもんだろうか?前の大学でも四年はコンペじゃお味噌だし、ゼミやってもピントはずれでイライラした。だからここで怒ってはいけない。じっと耐えねば。でもそうやって鍛えた彼らが大学院に来られるかと言うとこれがまたそうでもない。ここは簡単に院には入れないようである。八方ふさがりである。

北欧の建築

On May 18, 2011
by 卓 坂牛

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事務所で仕事。午後研究室でコンペの打ち合わせ。徹夜組も結構いるようだ。大方の方向性を決める。6時からヨーロッパを旅行してきたO君のスライド会。バルセロナからフランス、イタリア、イギリス、デンマーク。行ったことのないデンマークには驚きが多い。ヘニング・ラーセンの建築は余り知らなかった。デンマーク王立アカデミーの施設の豊かさにもびっくり。日本はプアだよなあ。こんな状態だと何時まで経ってもヨーロッパに追いつけない。日本は国立の施設もひどいけれど私立は一段とひどい。そもそも教育に対する国の出費が少ないのだが私立大学に対する国の交付金は国立に比べて格段に少ない。先日読んだ『消える大学生き残る大学』の著者も、日本の学部大学生の6~7割が私立大学生である現実を踏まえれば私立大学への交付金は少なすぎると言っている。まったくそうである。そもそも教育は国がやることのはずである。

力の系を見る感性とは

On May 17, 2011
by 卓 坂牛

研究室のメンバーとコンペの打ち合わせで金箱事務所へ。引っ越した後始めて訪れたが、広くて気持ちのいいオフィスである。約束の時間よりだいぶ伸びてしまったがだいぶ先が見えた。帰りがけ『建築画報』の3月号「挑戦する構造」という特集号をいただいた。新谷さん、和田さん、金箱さんで監修している。その巻頭に内田、菊竹、高橋、林、槇、川口という超巨匠たちへのインタビューが載っている。インタビューと言っても聞く方は4人がかりである。まあこんな面々に一対一で話を聞くと飲まれてしまいそうだ。久しぶりに林さんを公の場で見たけれど(読んだけれど)相変わらず。いや林さんだけではなく皆さま変わらない。三つ子の魂百までというのは褒め言葉なのかけなし言葉なのか?林さんは自らがやってきたことは力の系が見え、使う人が安心感を持つ構造だという。確かに日建の構造はよくそんなことを言っていたように思う。そんな言葉が腑に落ちなくてよく構造とけんかした記憶がある。そして昨今の建築はこの系が見えないと少々不満気である。しかし何が安定感を持ち、力がどう伝わっているかを感ずる感性は先天的なものではなく、かなりの部分は後天的に習うものだと思っている。林さんと僕の感じ方はだいぶ違うはずである。
その昔とある著名建築家が「力の流れが見えない構造にしたい」と言っていたのに僕はとても共感した。というのも建築は常に構造が前面にくるべきものとは思わないから。建築が安全であり、不安を抱かせないことは言うに及ばない。しかしそれは必要条件であれど十分条件だとは思わない。
この歳になっても林主義に共感できない部分はあるものだ。

ああ疲れた

On May 16, 2011
by 卓 坂牛

土日が地方回りで終わると疲れが残る。事務所行って大学来てゼミして講義して。飯食って少しほっとして机の上の新書をめくる。木村誠『消える大学生き残る大学』朝日新書2011。後半の就職データーを見ると本当かよ?と疑わしくなる部分もある。去年まで就職委員をやっていた僕の実感にそぐわない。よく見るとデーターにいろいろと条件がついている。なので軽く流してみていると理科大の就職率が全国でベストテンに入っているのを発見。東京でベストテンは東工大と芝工と理科大だけである。上場企業への就職率となると私立では理科大3位。早稲田は5位なのに。健闘している。なんてどうでもいいようなことを眺めていたら少し疲れが取れてきた.。帰宅後来年受験の娘と志望大学の就職先のデーターを見ていたら一部上場企業が名を連ねている。「結構つまらないねえ」と僕が言うと「そう、大企業と、役所と、銀行なら行くのやめようかな?」と娘。だいたい昨今の大学生は大企業志望と言うが、本気で彼らはそういう所に行きたいのだろうか?僕の見るところ彼らの選択には大きく親の意思が絡んでいる。仕方なく大企業を選択しているようにも見える。半々だろうか?世の中にはもっと小さくて、チャレンジングで、世のためになる企業は沢山ある。大企業も役所もどんどん硬直化して身動きとれず結局人のためどころか人の害になっていることはこの震災がよく示している。学生諸君よく考えたまえ。

一双六曲屏風

On May 15, 2011
by 卓 坂牛

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昼のスーパーひたちで水戸へ。某社の創業の地に建つ小さな昭和初期の木造事務所をリノベする。その後ろに小さな集いの場を作る。90メートル近い奥行きの敷地のランドスケープを整備する。そんな全体を考えてほしいと言われた。中に展示する会社所蔵の美術品なども見せてもらう。金銀の下地に描かれた水墨画が屏風に表装されてあった。一双六曲屏風が二つ。全部延ばせば14メートルくらいになる。なかなか壮観である。
水戸も少なからず震災の影響を受けている。敷地の中に建つある一つの建物の瓦がかなり落ちていた。ブルーシートがかけられているがかなりの面積である。
帰りの電車で社長が中国の可能性を話してくれた。役所の対応が早い。優秀な人材が余っている。富裕人口が膨大な数に及ぶ。日本は新しいことをしようとすると役所も企業も動きが遅すぎて何もできない。常に周りとの共同歩調を考える。中国やアメリカではそんなことはない。いいと思うことは単独でもすぐに行う文化であると言う。そうかもしれない。

安田幸一さんの東工大図書館

On May 15, 2011
by 卓 坂牛

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昼のアサマで久しぶりの長野。信大で建築学会の北陸支部総会が行われる。そこで安田幸一さんの記念講演会が行われるということでご一緒した。というのも信大在職中に僕が安田さんにお願いしていたから。加えて久しぶりに教え子たちに会いたいと言うのもあった。演題はボーダレスキャンパス。東工大の大岡山キャンパスの話しである。安田さんのやった桜並木のウッドデッキ、建築学科棟、そして最近完成した図書館である。安田さんらしいシャープな三角形。なんでこんなチーズケーキみたいな形?と思うがキャンパス計画のサイトプランから説明してもらうとここにしか建たないということがよく分かった。
短い期間によくここまで設計したものだと感心する。しかしそれ以上にここまでの整備費が出てくるというのは驚きである。

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