Taku Sakaushi

Diary

一般教養不足だよな

On May 13, 2011
by 卓 坂牛

午前中早稲田の講義。コンピューターの画像が映らなくてあせった。電話して技術員の方に直してもらっている間ひたすらしゃべる。画像が無いので皆が知っているような名前を挙げて話をしたつもりだが、先週丹下健三を知っている人が40人中2人。今週コルビュジエを聞いたら知っている人が4人、妹島和世は3人、伊東豊雄も3人。これにはちょっと参った。まあ建築の認知度ってこんなもんなんだなと再認識。でもコルビュジエは一般教養だと思うのだが。
今日は天気も良くて気持ちがいい。三朝庵で親子丼食べてあゆみbooksで新書を5冊買って事務所に戻る。仕上げ表のチェックを続け、写真の整理をしていたら夕方。大学にあわてて来て製図。そして研究室の即日設計と勉強会の説明。今日はフェイッシャ―邸のトランスフォーム。箱建築を袋建築に換骨奪胎せよという課題。輪読は『動物化するポストモダン』。早稲田同様、東浩紀知っている人はと聞いたら14人中2人くらいしかいなかった。これも一般教養だろうと思い愕然とした。驚くと言うより悲しい。

理科大の新しい同窓会館

On May 12, 2011
by 卓 坂牛

午前中日建の音響のプロSさんのところに行って音の相談をする。急に電話をして嫌な顔一つせず会ってくれる彼の優しさが嬉しい。昼神楽坂に新しくできた理科大同窓会のレストランでY、G先生と会う。神楽坂を登る途中の左側。黒いスチールファサード。低層部はお店で未だ工事中。七階の同窓会レストランは神楽坂の喧騒から切り離された明るくて気持ちのよい空間。まだ知られていないせいか我々しかいない。そこでランチをとる。まあ美味というわけでもないが値段も安いから満足である。夜は10時まで安いお金でちょっと飲めるそうだ。インテリアは普通だが建物全体の構成は悪くない。設計施工は鹿島。理科大OBがやればいいのにと少々残念。その足で交際交流課に行って理科大の国際関係の補助制度などを聞く。有効に活用したいものである。
午後事務所で先ほど聞いたことをまとめて施主と電話で話す。いろいろと問題が多くて頭が痛い。まあ一つずつ解決していくしかない。仕上げ表のチェックをしながら知らないことがまだまだあるものだと改めて思う。建築は難しい。そしてそう思いながら一生終わるのだろうなあと奥の深さに溜息。

つるつるな関係

On May 12, 2011
by 卓 坂牛

栃木の打ち合わせの行き帰りで長島有里枝『背中の記憶』講談社2009を読む。武蔵美在学中に家族のヌード写真で荒木に認められパルコ賞受賞でデビュー。カリフォルニアに留学後スイスのアーティストインレジデンス中に撮った写真を『swiss』という写真集にまとめ個展も開いたのが去年である。
この本もテーマは家族。うらやましいくらいに素敵な家族の中で育ったのだなあというのが最初の印象。ここに書かれていることが正確かどうかは著者自身言うように定かではない。記憶の中に忍び込んだ長島が無意識にねつ造しているかもしれない。でもそれは既にその人の歴史として血肉化しているのである。ディテールの描写は実にきめ細やかであり、その一つ一つが感情の機微を過不足なく表している。この表現力には嫉妬さえ覚える。この人は写真を撮りながらファインダーの中の光景を無意識のうちにことばに置き換えているのかもしれない。
彼女の観察力、そしてそこから抱く細やかな感情の揺れ動きを見ていると自らの粗雑な人を見る目にあきれる。そして50年間に接した人(特に家族)との関係がつるつるの皿のように無味乾燥なものに見えてくる。人生大事にしないと。

案の幅

On May 10, 2011
by 卓 坂牛

午前中6年前にできた住宅「ヤマ」へ行く。地震の時に擁壁コンクリートに張り付けた大谷石が割れたのを見に来た。他にも剥離しそうな場所があったので全数叩いてみた。あれあれ結構すかな音がする。
午後事務所に戻り明日の打ち合わせの資料などをまとめる。スタッフのT君が風邪で倒れたのであたふたである。
夕方大学へ。製図のエスキス。いろいろな人がいろいろなことを考えるモノである。信州大学の時はある画一化された学生が集まっていたから、言うことの幅がある範囲にあった気がする。この大学はさまざまな入試で入って来ているせいかいろいろな人間たちがいて言うことの幅がとても広い。それはいい意味でも悪い意味でも。
10時半にやっと終わる。やはり腹減るなあ。

小学生の作文のような建築

On May 9, 2011
by 卓 坂牛

朝自転車で都庁に行った。免許の更新である。去年更新をし忘れた配偶者にせき立てられ、今日でなくともと思いつつ今日行った。天気もいいし自転車は悪くないのだが、途中で10時に客が来ることを思い出し、帰りは必死にこいで帰ってきた。そのせいかへとへとになって午後昼を食べてからしばらく椅子の上で眠った。
夕方大学へ来て仕事して帰ろうと思ったら頼んでおいた本が届いていた。村田喜代子『縦横無尽の文章レッスン』朝日新聞出版2011。よい文章の例として小学校低学年の作文が最初に出ていた。2年生。海水浴の話し。その文章の何がいいのかと言うと「書かなくていいことが書かれていない」ということである。率直に必要なことだけがダイレクトに書かれて終わっている。このさっぱり感は建築に通ずる。ある種の建築を見た時ととても似ている気がする。小学生の作文のような建築を作りたい。表現とは何を表現するかと言うことであると同時に「何を表現しないか」と言うことへの問いでもある。再認識。

ジェイン・ジェイコブスの新訳

On May 9, 2011
by 卓 坂牛

ジェーン・ジェイコブス(Jacobs, J)『アメリカ大都市の死と生』(1961)が山形浩生の新訳で鹿島出版会から昨年(2010)出版された。また旧約は前半二部だけであり今回は全編(四部)の訳である。全編一気に斜め読み。実は前勤めていた大学の先生が大好きでよく酒の肴にしていたけれどきちんと読むのは初めてである。始めて読むがそんなわけでデジャブである。なるほど60年代アメリカの大都市再開発を徹底的に糾弾した迫力が伝わる。しかし50年代のアメリカ都市は実はひどいスラム化で人口が減少しており、ジェイコブスの言うような主張が一般的だったわけではないということは知っておいてよい(と訳者解説が言っている)。であればなおさらジェイコブスの主張は凄みを増す。
夕方小林章『フォントのふしぎ』美術出版社2011を見ていた。素敵だなと思っていたロゴが結構碑文のフォントをまねている事を知る。しかも重要なのはフォントだけではなく字間にもあるようだ。
LOUIS VUITTON  L O U I S V U I T T O N
なんだか先週の疲れがたまり今日は眠い。長島有里枝のエッセイを持ってベッドへ。

K君のレポート

On May 8, 2011
by 卓 坂牛

iwaoka02.jpg
金曜日はbbrの蜂谷君が若松さんの代理で来てくれたのでせっかくだからご飯をご一緒して読みかけの『思想』をネタに遅くまで話した。そのせいか土曜日は不調。『思想』を読み終えて3時ころ帝国ホテルへ。2004年に東大で教えた時の教え子の結婚式。この年の講義は『建築の規則』の基礎となった重要なものだし学生が皆優秀で楽しかった。講義に加え、4つの住宅を見学した。連窓の家#2、HOUSE SA、岩岡邸、ガエハウス。そして毎回レポートを書いてもらい、それぞれの家のオーナーに審査してもらった。贅沢な授業だった。岩岡邸の岩岡先生が1等賞に選んだ詩のような文章の書き手が今日の結婚式の新朗であるhttp://www.ofda.jp/lecture/main/02visit/02/01.html今読み返してみても建築家の心の底を抉るような文章であり彼のモノに迫る深い洞察を感じる。加えて写真(目の付けどころ)が並じゃない。レポートに写真を入れよと言われ椅子の下やポストなどだけを撮る学生は先ずいない。また彼はHOUSE SAのレポートでも坂本賞はとれなかったが坂牛賞を与えているhttp://www.ofda.jp/lecture/main/02visit/01/01.html。彼は今はリルケの研究者であり建築とは何の関係もなくなってしまったが今後とも話を続けていきたい人である。
式後代々木で信大OBたちと会う。皆元気そうでなにより。少々バテ気味

『思想』五月号:磯崎新のX

On May 7, 2011
by 卓 坂牛

話題になっている『思想』2011年5月号岩波書店を補手の田谷君に買ってきてもらって読んだ。建築家の思想という特集で伊東豊雄、山本理顕の対談が40ページ近くあり。それを読んだ西沢立衛、磯崎新、内藤廣、平田晃久が寄稿している。西沢さん、平田さんはこの膨大な対談に付き合う気は無いようで軽くスルー。内藤さんは思想は語りきれないものとして、まあこれも2人の対談を真に受けていない。3人の気持ちはなんとなくよく分かる。というのもここでの二人の話はもう耳にタコができるくらい聞いているからである。僕でさえそうなら恐らく3人にとってはもう聞き飽きたという感じであろう。『思想』という一般雑誌であるから2人も確信犯的に同じことを語っているのではあろうが。
ところが磯崎さんだけはとても真面目にこの対談に向き合っている(かに見える)30ページ近い論考であるから量からしても3~4ページでお茶を濁している他の方とは意気込みも違う(ように見える)。しかしさすがに磯崎新、2人の対談に対応するふりをしながら自分を語っている語り口は何時もの通りである。柄谷行人の『世界史の構造』によほど感銘を受けたのだろうか、その修辞は受け売りである。
19世紀は都市を官僚が計画した時代、20世紀は大都市が自由経済市場の中で投機された時代、そして21世紀は超都市が電脳ネットワークによって「X」される時代だというのである。磯崎はこのXという手法で新たな職能を生きると締めくくり、2人の言っていることは既に過去のものであるかのごとく語っている。
このXの中身は読者の想像力いかんでどうにでもなるのだろう。少なくとも僕のセンスでは磯崎新のXには届かない。しかしそれとはまったく別に時代がXを求めていることは明らかであり、僕らがXを求めて行動せねばならないそんな背中を押してくれるような文章であることは確かである。

村野早稲田を壊す理由がどこにある?

On May 7, 2011
by 卓 坂牛

今日は早稲田大学での春学期最初の講義。震災の影響で始業が1カ月遅れている。久しぶりにやってきた文キャンは様変わりしてついに村野さんの大きな校舎が破壊されそれに連続したやはり村野さんの建物との接続部が無残に食いちぎられた肉の断面のように露出していた。ああ痛々しい。なんでこの時代にこれを壊さねばならないのだろうか?OBが属する建設会社にそそのかされて(と言えば言い過ぎだろうか)耐震補強よりはるかにお得ですなんて言う嘘で塗り固められた資料をもとに大学理事会は営利優先で大学の巨大化に走っているように見えるのだが違うのだろうか?
今年は13回の講義で15回分の質を保つように宿題やらレポートやらを書かせるように大学から指示をもらっている。ということを高校生の娘に呟いたら。それはひどい、授業料を返すべきだとマジで憤慨していた。塾に通うこの世代は皆こんな経済観念をもっているのだろうか?それはそれでいいことだとは思うが。
午後事務所に戻り打ち合わせをして夕方大学へ。製図の授業、1時間設計の指示。出来はひどいもんだ。でも4年生の最初はこんなものだったなあと信大のころを思い出す。輪読は木田元の『反哲学入門』現代は「つくる」ではなく「なる」の時代というのが基本的な著者の認識そんな時代に「つくる」建築家は何ができるのだろうかということを考えて欲しい。

現代写真論

On May 5, 2011
by 卓 坂牛

andreas-gursky2.jpg
●アンドレアス・グルスキー<シカゴ株式市場Ⅱ>1999
今日は朝から事務所。仕事モード。実施図のチェックを夕方まで行う。スタッフと打ち合わせして内容を伝える。その後先日届いたシャーロット・コットン大橋悦子・大木美智子訳『現代写真論―コンテンポラリーアートとしての写真のゆくえ』(2004)晶文社2010をぺらぺら眺める。著者は現代写真のコンテンツを8つに分類。
1) これがアートであるならば
2) 昔々
3) デッドパン
4) 重要なものとつまらないもの
5) ライフ
6) 歴史の瞬間
7) 再生と再編
8) フィジカル、マテリアル
デッドパンは無表情と言う意味で視覚的ドラマや誇張が全く見られないアート写真のことである。例えばアンドレアス・グルスキーや昔のホンマタカシがこれにあたる。僕はこの手の写真がとても好きである。一方「ライフ」は先日観た下薗さんの「きずな」のように写真に人間が滲み出るようなものである。荒木やティルマンスはこれになる。これも僕は大好きだ。デッドパンとライフは対極をいく。写真の客観性と主観性を突き詰めるということである。

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