Taku Sakaushi

Diary

知恵袋入試を予言していた本に遭遇

On April 14, 2011
by 卓 坂牛

高崎で学生と待ち合わせて上州富岡へ向かう。向かう電車の中で橋本元明『メディアと日本人―変わりゆく日常』岩波新書2011.3.18を読む。ネット利用の「マタイの法則」という聞きなれない言葉が目に入る。それはネット利用によって外向的な人は更に外向的に、内向的な人は更に内向的になるという調査結果のことである。富裕な人は更に富裕になるというマタイの言葉があてはまると言うことである。次にネット世代のメンタリティ分析に入るのだが、世代が4分類される。76年以前に生まれた人たちはデジタルイミグラント(移民)、76年から20年間はデジタルネィティブ、96年以降はネオ・デジタルネィティブと命名されている。僕はもちろんイミグラントで学生たちはネィティブ、娘はネオである。確かに娘のネットの使い方はもはや僕らのそれとはかけ離れている。アイポッドにお気に入りのユーチューブをダウンロードさせて友達と見せ合って喜んでいる。漫画を見る感覚で動画を見ている。最後にネットの未来を語る中で昨今のクラウドコンピューティング志向(自分の頭の中に知識をためないで必要な時に必要なサーバーに取りに行く)の高まりを前提に著者はこう述べる。「通常、大学入試でも持ち込みはできない。しかし、やがてネット接続が可能な条件下で、何を参照してもいいから、与えられた問題をいかに短時間に解決できるかと言うスキルが・・・・重要な学力判定の一つになる時代がくるに違いない」。この本が出版された時には既にそういうことが逸脱として現実のものとなっていたのは何とも皮肉である。

日建の若い人と話す

On April 13, 2011
by 卓 坂牛

朝から事務所で実施に入らんとするプロジェクトのスタディ。一日ゆっくりスケッチが描ける日があるというのが嬉しい。
夕方日建設計の若い人たちが4人来所。彼らが企画しているシンポジウムシリーズへの出席依頼。年に三回行うナイトフォーラムの最終回だそうだ。題して「建築家の与条件シリーズ」。第一回は『建築×女性』というタイトルで永山祐子さん他2名、二回目は『建築×人数』というタイトルで藤原徹平さん、亀井さん他2名、そして今回は『建築×系譜』ということで五十嵐淳さん、中川純さん、そして僕が呼ばれてなにやら自らの系譜と作品の関係を語らねばならないらしい。
4人の若い彼らにいろいろと調べ尽くされて質問されると少々気恥ずかしい。まあ恥ずかしくても自分のことを語るのはそんなに面倒臭いことではないし、正直にありのままを語ることはできる。しかし困るのは日建の若い人たちを相手に彼らを鼓舞する言葉を見つけるのに苦労する。日建の社会的な意義や、その強みを語ることはいくらでもできるのだが、そういうことにそれほど価値を感じていないからそこにいることを止めているのである。となると有能な彼らに何をお勧めしたらいいのか?何が言えるのか?少々不安になってしまう。

手探りで研究室始動

On April 12, 2011
by 卓 坂牛

午前中これから始まる実施設計の図面リストとそのスケジュールを見る。80枚あまりの意匠図になりそうなのだが、2人で描くには期間が短すぎる。もう一人どうにかしないと。午後矩計図をチェック。そうこうしているうちに夕方になって大学へ。今日もちゃりんこで行ってみる。昨日と違い道が分かると早い。事務所からきっちり10分である。いいロケーションだなあとつくづく思う。2年後に金町に引っ越すのが残念である。
宇野先生、山名先生と製図第三(4年生の前期課題)前のプレミーティング。24人が受講して先生は助教も含めて7人。毎回全員出てくるわけでもないのだが豪華な布陣である。8時ころ終えて坂牛研のゼミオリエンテーション。輪読本のタイトルとそのスケジュール、1時間設計のやり方、富岡駅のコンペ、八潮ワークショップ、などの話をする。学生のレベルもモーチベーションも分からないので手探りである。6年前に信大に来た時のことを思い出す。とりあえず前期ゼミ本は以下のような簡単な基礎的な本を選んでみた。
木田元/反哲学入門/新潮社
東浩紀/動物化するポストモダン/講談社現代新書
佐々木健一/美学への招待/中公新書
松井みどり/アート:“芸術”が終わった後の“アート”/朝日出版社
井上充夫/建築美論の歩み/鹿島出版会
ヴォリンゲル/抽象と感情移入/岩波書店
P.ジョンソン/インターナショナル・スタイル/鹿島出版会
R.ヴェンチューリ/ラスベガス/鹿島出版会
篠原一男/ 住宅論/鹿島出版会
ケネス・フランプトン/テクトニック・カルチャー/TOTO出版

授業スタート

On April 11, 2011
by 卓 坂牛

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●少し整理された研究室
理科大講義初日。うわっ100人近い。細長い部屋なのでプロジェクターの画面が後ろじゃあ見えない。後部座席用のモニターが後ろの方の天井から吊り下がっているのだが、これが壊れている。「なんてぇこった!!」加えてマイクの調子が悪い。仕方ないマイクは使わず地声でがなる。初日から少々面食らう。
しかし嬉しいこともある。誰1人寝ていない。信大を思い返すとはるかにやる気が見られる。さすが夜間だなあ。モーチベーションの高さには敬意を表する。まあ高い授業料払ってくるのだから当然かもしれない。
夕方から突然の雨。晴れだと思って自転車で来たのだが。これで千鳥が淵の桜も散っただろうか?と思って外を見たら雨が止んだ。守衛さんが回って来て「11時で閉めますよ」と言って出て言った。今日は素直に帰るか。自転車に揺られ夜桜でも見ながら。

根津近辺散策

On April 10, 2011
by 卓 坂牛

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●普通の家がちょっと改良されてブティックに
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●全開するギャラリー
午後早めに今日締め切りの原稿を片づけた。よかった。夕方四谷小学校へ選挙にでかけその足で根津散策に行く。谷中のあたりを歩く。この辺りは寺が密集している。カップルや外国の観光客と思しき人も結構いる。ギャラリーやカフェも多く裏原宿のような雰囲気のところもある。根津から地下鉄で広尾へ向かう。Kさんの御尊父の通夜。帰宅後河田恵昭『津波災害―減災社会を築く』岩波新書2010を読む。津波、高波、高潮と潮位が上がる現象はいろいろあるがどうも津波は波と考えてはいけないことが分かった。津波は流れなのである。水が移動しているということである。津波の映像で岸壁にぶつかってとんでもなく波が上昇するシーンがあったと思うが、あれは海底付近で岸壁にぶつかった海水の運動エネルギーが位置エネルギーに変わったことの表れなのである。それにしても昨年こんな本を書いた著者にとってこの災害はどう映っただろうか?

国立と私立の違い その2

On April 10, 2011
by 卓 坂牛

昼に大学の教授会。信大は完全週休二日制だったが私大では土曜日は普通に平日のようである。
学部長が司会をしながら議事が進む。一般に公立大学において最終決定権を握るのは学長でありその下に各学部の学部長がいる。学部長は中間管理職であり、たいてい学長寄りで教員からの批判はとりあえず学部長へ集中する。会議で学部長はよく攻撃されていた。しかし理科大の場合(私大の多くは)最終決定権は理事長にある。学長というのは理事長が連れてきた理事長補佐のようなものでしかない。よって普通の大学ではあまり顕在化しない理事会と教員という二つの集団間に想反する利害関係が発生する。そのせいか学部長は教員の信頼が厚いように見える。
先日は予算やスペースにおける国立と私立の差を感じたが今日は経営の差を見た。
夜上野公園内にある寛永寺清水観音堂の庫裡で花見。だれかのつてで滅多に入れないところに入れていただいた。上野の夜桜は節電で拝めないのだが、この観音堂の前だけは何故かライトアップされて大勢の人が訪れていた。この庫裡は伊東忠太の設計。理科大の学生先生など集まり夜桜を楽しむ。
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「生まれてきて良かった」

On April 9, 2011
by 卓 坂牛

一昨日の竣工式で学園の方からこんな話を聞いた。園では既に子供たちが引っ越しを完了させていて学校に通い始めている。新しい園舎で子供たちは大喜び。今まで大暴れして喧嘩ばかりしていた子供たちがいたって静かに落ち着いて暮らし始めた。皆が新しい建物を大事に使おうと蹴っ飛ばしたり殴ったりはしなくなった。そしてちょっと泣ける話。札付きの悪で自傷行為に走り物を壊し余り話さない女子高校生がぽつりと言った「生まれて来て良かった」って。
そんな話を聞いて僕はじーんとなり、一体何が子供たちの心を安寧にしているのだろうか?と考えた。最初の内はきれいで広い場所に移れたから。自分たちが社会に大事にされているという安心感がここから芽生えたのだろうと思った。でもそれなら彼らを新品のマンションに住まわせたら同じ効果があるのだろうか?と考えてみた。きっとそれほど上手くいかないのではないかと思った。
では何が子供心に訴えたのだろうか?きっと丹念に丹念に子供たちの生活を考えて考え抜かれたデザインがそこにあるからだと思った。既成の何かを「さあ使え」というのではなく。あなたたちのことを考えあなたたちのために作ったのだよという苦労の跡を感じ取れるからなのではないかと考えた。
建築は人の気持ちを変えることなどできないと半ば諦観していたのだが、そんな心を動かされ少し熱くなる一言だった。

うれしい感謝状

On April 9, 2011
by 卓 坂牛

7時半のあずさで塩山へ。クローバー学園の竣工式。そう言えば信大に赴任した年の4月にリーテムの竣工式があり、理科大に赴任した4月にこの竣工式だから6年ぶりである。市長や県の役人、近隣の方など招いてプレイルームで行われた。生まれて初めて感謝状なるものを頂戴した。普通はこんな紙きれは形式的なものなのだろうが、今回はクライアントの正直な気持ちが書かれているようでとてもうれしかった。
昼のあずさで東京へ戻る。往復の車中、大朏博善『放射線の話』ワック2002を読む。昔物理で習ったようなことの復習みたいな本である。核分裂、核融合、レントゲン、キュリー夫人、放射線が体内で起こす電離作用、それは遺伝するのか、チェルノブイリとスリーマイルの決定的な違い、放射線漏れと放射能漏れの決定的な差、などなどよく分かった。知っているつもりのことを沢山忘れているものである。午後事務所に戻り打ち合わせ、そして大学へ。会議、会議、そして歓送迎会。

プレゼンばっちり

On April 7, 2011
by 卓 坂牛

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●緩やかに傾斜のついた公園の上端に位置する多目的施設 コンセプトは「町の顔」 デザインボキャブラリーは1,マウンテンエレベーション、2,パークシークエンス、3,ビッグピロティ 
ひどくべたなコピーだが、このくらいにしないと素人には伝わらない
久しぶりに乗る長野新幹線。このプロジェクトは一生忘れられない。前回の打ち合わせ中に地震が来てテレビにかじりついていたのだから。2時前についてぶらぶら歩いて商工会議所へ。最後の打ち合わせにして最初の会頭へのプレゼンである。40分ほど資料をもとに説明をした。さてどんな反応か?「素晴らしい。これを新しくできた景観条例のモデル建築にして商店街もこれを見習ってデザインさせよう。できるのが楽しみだ」と大絶賛。建築のプレゼンをしてこれほど喜ばれたのは初めてである。分かりやすい資料と分かりやすいコピーが効いた。
夕方のアサマで東京へ戻る。車中、井上章一『夢と魅惑の全体主義』文春新書2006を読む。ムッソリーニもヒトラーも建築もさることながら凄い道を作ったことがよく分かる。道による権力の景観を作ったのである。
長野通勤が無くなったせいか本屋(丸善)に行く機会が減ってしまった。久しぶりに丸善に行ったせいか読みたいものが山とある。カートに一杯お買い上げ。信大では最初の内は公費で本を買っていたがある時期から研究費が少ないので全部自費で買うようになっていた。理科大ではもはやその必要はなさそうなのだが、まだ買い方が分からないので今日は自費。宅配を頼んで事務所に戻る。

ICカードで出欠チェック

On April 6, 2011
by 卓 坂牛

朝一で事務所。明日持っていく基本構想書のゲラに赤入れてから大学へ。補手の田谷君が大量の書類をメールボックスから運んできてくれた。これをすぐに全部読むのはとても無理。とりあえず分類してパンチしてバインダーに閉じる。サンドイッチを買ってきてもらい食べながら書類に目を通す。食後、製図助教の呉君と製図課題の打ち合わせ。延々話していたらICカード説明会の時刻を過ぎている。あわてて会場へ。あれあれ人が少ないね。このICカードなるもの結構凄い。ICカードと言っても学生証、職員証のプラスティックカードのことだが、授業の出席をこれでとるというのである。教室にはすべて駅の改札のようなタッチパネルがあり学生は授業に来るとこのパネルにタッチする。そうすると出席だけではなく何時にその教室に入室したかまでが集計されてウェッブ上で一覧できると言う仕組みである。便利と言えば便利だが、不気味と言えば不気味である。しかし代返ならぬ代タッチを食い止める方策は無いとのこと。
研究室に戻り本棚の整理、購入すべきもののリストアップ。事務に行ってものの買い方の指導を受ける。すべては紙で行うのが理科大方式。こういうアナログは楽でいい。信大時代はなんでもコンピューター入力。入力中に分からないことが多発したり、フリーズしたりでストレスがたまったものである。紙で楽ですと申し上げると、「私がコンピューター入力するのですよ」と事務の女性に言われた。うーんそれは大変である。しかしありがたい。

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