Taku Sakaushi

Diary

図式の強度

On April 5, 2011
by 卓 坂牛

玉川さんと上野で待ち合わせ。古河まで快速ラビットに乗る。車中設計の考え方を延々と話し続ける。
今回の設計はとても図式的である。三ツ矢サイダーのような平面形の棟が二つとその矢の一本を切り落としたような平面形の棟が一つ。そして三角形の管理棟である。玉川さんはそれが学生の設計のようだと言う。僕もそう思う。学生が課題で出して来たらきっと幼稚なプランだと言うかもしれない。玉川さんはこの三ツ矢サイダーをもっと敷地になじませながら三ツ矢の方向を自由な角度にした方がいいと言う。つまりY字にしたり、T字にしたりと言う。僕もそう思う所もある。しかしこうした図式的な形の持つ強さもあるはずである。確かに三ツ矢サイダー1棟しか建てないのならきっとやらないだろう。原アークミュージアムのようである。シンボリック過ぎる。でもここでは4つの棟が関係し合っているのだから、これは雪の結晶がパラパラと舞い降りたようなものだと説明する。
なんとなく理解してもらったのだが、結晶は溶けて流れ出る部分もあるはずだと切り返してきた。まあそういうこともあるかもしれないとお茶を濁す。
しゃべり続け気が付いたら古河。午前中クライアントと施設長になる某大学の先生と打ち合わせ。細かな要望が続く。打ち合わせ後古河で蕎麦を食べて事務所に戻る。早速細かな要望に応えるべくスケッチ。なかなかいい案が思い浮かぶ。その後某施主と海沿いの新しい土地に何ができるかを電話で延々と話す。今すぐ動けないので敷地写真をメールしてもらい、こちらのイメージをメールで送り、メール電話会議である。ある程度イメージが伝わったので電話を切る。その後塩山の設計主旨を送ってほしいとの要望に10分でまとめて送る。お腹が減った。今日は帰る。

archiaid

On April 4, 2011
by 卓 坂牛

一日バタバタしている。日建設計に行ったら福屋粧子さんに会った。震災にあった東北の学生を引き連れて日建で何かしているらしい。時間が無くあまり細かなことは聞けなかったが、今朝槻橋さんから東北の震災に建築家仲間で手を差し伸べよう(アーキエイド)という誘いが来たところだったので「アーキエイドにはご協力します」と申し上げて別れた。
震災義援金はそれ相応にしてはいるものの世界中からそして日本からも巨額の寄付をしている方がいて頭が下がる。しかしこれからこれらの金の有効な使い道が明らかになり、更に足りないもの、必要なものが見えてくるのだと思う。その段階でさらなる支援をしなければと思っている。

上北沢の家

On April 3, 2011
by 卓 坂牛

朝雑用してから事務所へ。週末出す基本構想書のドラフトに赤を入れる。2時ころ事務所を出て上北沢へ。貸している親族の家へ行く。借りていた人が3月で出たので内装のリフォームをどの程度するか見に来た。1年ぶりだがこの街も変わらない。建物もあまり変わらない。築35年の木造日本家屋。先日の地震でクラックも入っていない。さすが耐震補強しただけのことはある。瓦が一枚落ちただけである。しかし隣の敷地に落ちたのだから冷や冷やである。内装は少々痛んできたので畳、カーペットは全部張り替え、壁の漆喰もどきも猫にかなりやられたので塗装せねば。不動産屋さんに見積もりを頼んで家を出る。
帰宅途中伊勢丹による。半年ぶりにデパートに来た。いつもは10時くらいまでやっているのに震災後は7時で終わりである。もっとひっそりとしているかと思いきや。いつもと同じですごい人である。
帰宅後河野稠果『人口学への招待』中公新書2007を読む。昨日に続き少子化問題理解の助けと思って読み始めたが、これはちょっと苦手系の本

少子社会日本

On April 3, 2011
by 卓 坂牛

昼から九段で会議。今日は天気も良く気温も高く桜もちらほら開花。軒並み入学式は中止なので(理科大も)隣の武道館の周りに学生の姿は見えないが花見客が佇んでいる。会議後神楽坂までぶらぶら歩き新入生ガイダンス。教務担当の先生が履修のガイダンス。1時間徹底した説明。理科大二部は卒業するのが大変難しいということがよく分かった。1年から2年になるところで約3割、3年から4年になるところで約4割落第するのが最近の統計だそうだ。ということは4年で卒業できる人は全体の半分と言うことになる。
先生がそれぞれ自己紹介しながら一言。震災に触れない先生はいなかった。僕も震災に触れざるを得なかった。そして震災は日本が日本を根底から見直すきっかけとなっているだろうけれど、この見直しはたとえ震災が無くてもやらなければならないことだった。逆に震災がきっかけとなることで見えにくくなることも多い。大戦後に日本は急速な復興を遂げたがその急速さが弊害を生んだ部分もあった。よくよく考えて手をつけないと同じ轍を踏むことになる。そんな問題を僕らは一緒に考えたいという主旨のことを述べた。
夜山田昌弘『少子社会日本』岩波新書2007を読む。なんだか前に読んだような気になったがそれは上野千鶴子と辻本清美対談本『世代間連帯』岩波新書で上野が頻繁に引用していたからだと気がついた。著者の結論は明確だ。少子化は二つの要因の抱き合わせでおこる。一つは「若年男性の収入不安定化」。二つ目は「パラサイトシングル現象」だそうだ。つまり大学卒業しても独り身だと親と同居し続け、そして収入が少ないと男は結婚をひるみ、女は親が結婚に行かせない。これが欧米だと収入不安定の条件は同じでも親に依存するパラサイトシングル状態を文化的コンテクストが許さないので独立する。収入が不安定なので結婚して二人の収入で暮らすことになる。日本の出生率の低さは深刻である。僕は常々大学出たら家から出ていくように娘には言っているが、僕と同世代の人でも子供をずっと受け入れようとする人が多いのには驚く。
少なくとも理科大の学生は自立心を持って卒業したら親から独立して生きてほしい。しかしそのためには働く場所を確保していかなければならない。経済と少子化もまた連動する話である。

理科大辞令、理工の先生と会う

On April 2, 2011
by 卓 坂牛

朝理科大に行き辞令式。1号館と言われるお堀端の最上階14階。座っていたら岩岡さんが来た。1年ぶりくらいである。彼は野田の理工学部。僕は神楽坂の工学部に赴任。学長の挨拶がある。学長は光触媒の発見者。科学の絵本も作り、子供科学図書ギャラリーを神楽坂に作ったそうだ。また新しくできた建物の地下には新書図書館も建設中。なかなか発想が豊かな方である。昼は理工の小島さんの後任となった安原さんを紹介してもらった。初めてだと思って名刺をもらいsalhasuという事務所名を見て会ったことがあることに気づく。塩尻のエンパークを見た時横にいて自己紹介してくれた人である。楽しくなりそうである。事務所に戻り打ち合わせ。夕方九段研究室に行く。学生が集まっており掃除と席決め、段ボールの開封。その後食事

原理か現実か

On March 31, 2011
by 卓 坂牛

午後金箱さん来所。1時から4時ころまで。大枠は固まった。
夕方理科大の山名さん来所。4年生の製図の進め方を議論する。3時間くらい話しただろうか。話しが盛り上がったのは原理をつくるのが現実を見つめるのか?と言う話。
僕:学生の課題として原理を導き出せればそれだけでも価値はある
山名:原理は現実の中にあるはずで、現実を作りながら原理は見いだせる。もちろん原理なき現実は価値が無い。
僕:4年生の段階でそこまで達するのはなかなか難しいのでは?現実に浸ると原理が見えなくなる。
山名:それは分かるけれど、でも原理は原理だけ考えても出てこない。現実を追求する中で原理が見えてくるものだ。
夜鈴木さん来所。
今日はお客さんが多い。

ウィキリークス

On March 30, 2011
by 卓 坂牛

午後一で栃木県庁打ち合わせなのだが湘南ライナーが運休中なので宇都宮線に乗る。これで行くと結構時間がかかる。いつまでもこの状態が続くのだろうか?
車中菅原出『ウィキリークスの衝撃―世界を揺るがす機密漏洩の正体』日経BP社2011を読む。震災で影を潜めたがちょっと前までは衝撃的な事件だったように思う。これを読んでこの団体のネタは投稿によって成り立っていることを初めて知った。投稿者の秘匿権が憲法で定められているスウェーデンに本拠地を構え寄付者の秘匿権が法で定められているドイツに銀行を持ちと言うふうに国際的な法の網を熟知して作られている団体である。こういう団体の是非は僕には判断付かないが、ノルウェーの国会議員がウィキリークスをノーベル平和賞に推薦したというニュースは記憶に新しい。
宇都宮で餃子を食べてから県庁で打ち合わせ。塩山の施設では役所から設計への注文はまったく無かったのだが、今回は新築ということなので県も心配してさまざまなことを言う。老婆心である。その後役所の会議室を借りて施設長と打ち合わせ。設計への注文が延々続く。事務所に戻り打ち合わせ。今日はとても疲れた。

世界に映る日本の津波

On March 30, 2011
by 卓 坂牛

scaneotsunami.jpg
アルゼンチンの建築家からのメール。彼の友人の建築家であり絵描きであるRoberto Frangellaが描いた日本の津波そして4日ぶりに助けられた赤ちゃんの軌跡

ホンマタカシB

On March 29, 2011
by 卓 坂牛

美術手帳の4月号がホンマタカシによる金沢21世紀美術館での展覧会を特集している。そこに平倉圭さんが批評を書いているのを発見。彼はアーティストであり教育者でもある。リーテムのアートイベントではアーティストとして参加してくれた。最近『ゴダール的方法』という注目の本も上梓した(いただいたが未だ読めないでいる)。そんな彼の論考は本間の2重人格に触れそのタイトルは「ホンマタカシB」である。もちろんそこにはホンマタカシAが登場する。理性的なAと狂気のBが交叉することを平倉は読み取ろうとしている。そして狂気とはここでは「真と偽の区別あるいは事物の同一性がたんに本当に消えること」と規定している。つまり真と偽の区別が消えるホンマを消えないホンマが受け取るという複雑な構造を平倉は読み取っている。写真は真を写すと書きながら一般にそうならないと言われる。特にホンマのそれはそうならないとは美術館で行われた対談で椹木 野衣も指摘する。しかし一方で妹島和世はこう言っている「ホンマさんは人があるとき、ある場所にふつうに出かけていって体験すること、本来見るモノを・・・写している・・・その時にあるものを撮ってくれる」妹島の感覚ではホンマは真なのである。しかし所謂真実とは違う。普遍的真実ではなく、ある時間のある人にとっての実存的な真である。このある時間のある人にとっての真が平倉の言い方を借りれば狂気のホンマとそうでないホンマの交叉点に現れると言えるのであろう。
しかしそうした概念的な言い方とは別に僕にはもっと技術論に興味がある。一体どういう風に写真を撮ればそういう風になるのだろうか?昨日上田さんと一緒に僕もいろんな写真を撮っていた。それはもちろん建築写真である。しかも設計者がこうありたいと思って撮っているわけである。だからもちろん真実ではありえない。しかも妹島言うところの「ある場所に普通に出かけていって体験する本来見るモノ」でもあり得ない。そう思いながら昨日撮った写真を見直した。駄目だなあ全然。いつかは自分でもそんな虚心坦懐な写真が撮れたらなあと思うのだが、、、
110329enzanP3285559.jpg
●こういう建築写真が無意識に陥っている嘘
その①構図。こんなフェンスが優美に曲線を描いて見える場所はある一点である。
その②こんな風にフェンスが光り輝いて見えることは肉眼ではない
その③そもそも冬の寒空のこんな時間にこんな場所に人はあまりいない

「機能消費」と「つながり消費」

On March 28, 2011
by 卓 坂牛

朝一のあずさで塩山へ。撮影。大きな建物の撮影は時間がかかる。普通は建築的に重要なカットしか撮らないのだが、児童養護施設という発展途上のビルディングタイプなので記録的に殆どの部屋を撮影した。未済工事の工事中で周囲の工事車両をあっちこっちに動かしてもらう。夜景が撮り終わったのは7時過ぎ。しかし朝日で撮りたいカットが残ったのでカメラマンの上田さんにはもう一泊してもらうことにした。
僕は夜のかいじで新宿へ。車中佐々木俊尚『キュレーションの時代―「つながり」の情報革命が始まる』ちくま新書2011を読む。情報革命(ツィッターなどの)がもたらす消費行動の分析が面白い。大衆消費社会が終わりマス情報に規定された記号消費の終焉は既によく言われていることだが、著者はその先として「機能消費」と「つながり消費」をあげている。前者は言うまでもなくユニクロのようなブランド記号の価値を捨象し機能性に特化した商品の消費のことであり、後者はネットなどを通じて口コミで広がるピンポイント的な消費をさしている。もちろん著者は後者が更に伸びていくだろうことを予言している。さてどうなるだろう?衣食住を考えれば食はかなりその傾向があるだろう。理由は食べ物は見本が無いから。では衣はどうだろう?衣は試着できるのだから人の意見はあまり重要でもないのかもしれない。では住は?建築家の優劣がツィッターで呟かれたりするだろうか?良くも悪しくもそれは不気味。

« Previous Page Next Page »

Archives

  • October 2024
  • September 2024
  • August 2024
  • July 2024
  • June 2024
  • May 2024
  • April 2024
  • March 2024
  • February 2024
  • January 2024
  • December 2023
  • November 2023
  • October 2023
  • September 2023
  • August 2023
  • July 2023
  • June 2023
  • May 2023
  • April 2023
  • March 2023
  • February 2023
  • January 2023
  • December 2022
  • November 2022
  • October 2022
  • September 2022
  • August 2022
  • July 2022
  • June 2022
  • May 2022
  • April 2022
  • March 2022
  • February 2022
  • January 2022
  • December 2021
  • November 2021
  • October 2021
  • September 2021
  • August 2021
  • July 2021
  • June 2021
  • May 2021
  • April 2021
  • March 2021
  • February 2021
  • January 2021
  • December 2020
  • November 2020
  • October 2020
  • September 2020
  • August 2020
  • July 2020
  • June 2020
  • May 2020
  • April 2020
  • March 2020
  • February 2020
  • January 2020
  • December 2019
  • November 2019
  • October 2019
  • September 2019
  • August 2019
  • July 2019
  • June 2019
  • May 2019
  • April 2019
  • March 2019
  • February 2019
  • January 2019
  • December 2018
  • November 2018
  • October 2018
  • September 2018
  • August 2018
  • July 2018
  • June 2018
  • May 2018
  • April 2018
  • March 2018
  • February 2018
  • January 2018
  • December 2017
  • November 2017
  • October 2017
  • September 2017
  • August 2017
  • July 2017
  • June 2017
  • May 2017
  • April 2017
  • March 2017
  • February 2017
  • January 2017
  • December 2016
  • November 2016
  • October 2016
  • September 2016
  • August 2016
  • July 2016
  • June 2016
  • May 2016
  • April 2016
  • March 2016
  • February 2016
  • January 2016
  • December 2015
  • November 2015
  • October 2015
  • September 2015
  • August 2015
  • July 2015
  • June 2015
  • May 2015
  • April 2015
  • March 2015
  • February 2015
  • January 2015
  • December 2014
  • November 2014
  • October 2014
  • September 2014
  • August 2014
  • July 2014
  • June 2014
  • May 2014
  • April 2014
  • March 2014
  • February 2014
  • January 2014
  • December 2013
  • November 2013
  • October 2013
  • September 2013
  • August 2013
  • July 2013
  • June 2013
  • May 2013
  • April 2013
  • March 2013
  • February 2013
  • January 2013
  • December 2012
  • November 2012
  • October 2012
  • September 2012
  • August 2012
  • July 2012
  • June 2012
  • May 2012
  • April 2012
  • March 2012
  • February 2012
  • January 2012
  • December 2011
  • November 2011
  • October 2011
  • September 2011
  • August 2011
  • July 2011
  • June 2011
  • May 2011
  • April 2011
  • March 2011
  • February 2011
  • January 2011
  • December 2010
  • November 2010
  • October 2010
  • September 2010
  • August 2010
  • July 2010
  • June 2010
  • May 2010
  • April 2010
  • March 2010
  • February 2010
  • January 2010
  • December 2009
  • November 2009
  • October 2009
  • September 2009
  • August 2009
  • July 2009
  • June 2009
  • May 2009
  • April 2009
  • March 2009
  • February 2009
  • January 2009
  • December 2008
  • November 2008
  • October 2008
  • September 2008
  • August 2008
  • July 2008
  • June 2008
  • May 2008
  • April 2008
  • March 2008
  • February 2008
  • January 2008
  • December 2007
  • November 2007
  • October 2007
  • September 2007
  • August 2007
  • July 2007
  • June 2007
  • May 2007
  • April 2007
  • March 2007
  • February 2007
  • January 2007
  • December 2006
  • November 2006
  • October 2006
  • September 2006
  • August 2006
  • July 2006
  • June 2006
  • May 2006
  • April 2006
  • March 2006
  • February 2006
  • January 2006
  • December 2005
  • November 2005
  • October 2005
  • Home
  • About
    • Profile
    • Team
  • Works
  • Blog
    • Text
    • Column
  • Contact
  • University
    • Lab
    • Lecture
  • O.F.D.A Home
  • #

© Copyright 2016 O.F.D.A.