Taku Sakaushi

Diary

輪郭をとることと面をとること

On December 28, 2010
by 卓 坂牛

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朝食後バスに乗って河津七滝へ向かう。七滝と書いて「ななだる」と読む。文字通り七つの滝が連続する。最初の滝の滝壺あたりに居場所を構え、絵を描き始める。2時間ほど描いてから昼食をとるため下山。その後バスで河津駅まで行き海に出る。海際はすごい風。閉じられた海の家の脇に場所を作りまた絵を描き始めた。
日比野克彦展に触発されて小学生の遠足以来やったことのない絵の具で自然を描くなんていうことをやってみようと思い立った。これはサインペンや鉛筆で建築を描くのとは勝手が違う。やってみればああそうかと思うようなことだが改めてその差を痛感した。
ヴェルフリンではないが、輪郭をとることと面を塗ることには技術的に大きな差がある。絵具で面をとるとどうしたってものの色を真剣に見るようになる。しかも相手は自然だから何色があるか想像もつかない。建築とは違い自然には色が多いことを改めて知る。次に自然の形の複雑さに驚く。当たり前のことだけれど手を動かしてみるとそのことを手で知る。
山と海を見て感じた。山は濁った色で複雑な形状に満ちている。海はピュアな色でシンプルな形で構成されている。きっとどちらにも良さがあるのだろうが最近の気分は海である。年をとると誰でも海を好きになるのかもしれない。

炭火

On December 27, 2010
by 卓 坂牛

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午前中のスーパービュー踊り子で河津を目指す。窓が大きくトップライト付き。これは暑い。冬でこれなら夏は乗れない。東京から2時間半かかるのだがこの時間あったら京都に着く。なんでこんな時間かかるのだろうと思っていると小田原を越えたあたりから電車はのろのろになる。海岸線を走る線路は曲がりくねっているからだろうか?河津は伊豆半島で暖かい場所かと思いきや風が強く寒い。しかも旅館がまた古いせいか隙間風が多くかなり寒い。羽毛にくるまり庭で絵を描く。寒くて夕方撤退。広間に囲炉裏があり炭火にあたる。

八百屋を改装したレストラン

On December 25, 2010
by 卓 坂牛

朝の長野は大雪の様相。すでに昨晩から降り積り市内は真っ白である。9時ころのあさまに乗る。トンネルをいくつかくぐると雪雲は消え快晴である。上りは『雪国』の逆になっている。東京について昔の施主の家へ。室内には素敵な油絵が飾られていた。ベトナムのアーティストだとか。
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その後近くで一緒に食事。その昔八百屋だったところを改装したレストランだそうだ。柿木が風情ある。食後新宿で用事を済ませた後世界堂でかみさんと待ち合わす。明日からのスケッチ旅の足りないものを買い込む。かみさんは墨絵用の紙と皿。僕は絵の具を2本補充。筆洗い用の携帯バケツ。携帯椅子などなど。帰宅後荷造り、パレットと筆を出してくる。かみさんの使わなくなった筆を2本ほどもらう。
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零下の長野

On December 25, 2010
by 卓 坂牛

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7時台のあさまで長野へ。車中ヤクザ肯定論を読み続ける。山口組がどれほど芸能界を牛耳っていたかがよくわかる。芸能もヤクザもマージナルなものであったからこそ繋がったということのようだが、、、、東京は快晴だったが長野は雪が雨にかわった後の曇天。今年最後の講義と製図。欠席が多いのはクリスマスだから?別にクリスマスは学生の特権ということもなかろうが。夜は研究室の忘年会。グッドニュースの報告会。本日クリスマスプレゼントのように設計事務所の内定通知。・・・・留学帰国報告。世界は広くて狭かったそうだ。・・・・装苑賞の第二次審査通過。incredible。4月に文化服装学院でファッションショー。見に行くよ。・・・・リヒテンシュタインとブエノスアイレスに2名留学決定。世界を見ておいで。
2次会途中12時になったので家に帰る。零下の夜。長野駅は冷たく光っている。
一年御苦労さま。来年は信大で最後の卒論修論。有終の美とは言わずとも、飛ぶ鳥跡を濁したくない。みんな頑張ってください。

ゴミの山に埋もれ

On December 24, 2010
by 卓 坂牛

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今日は事務所の大掃除。「あれ、もう仕事終わり?」と昨日真理さんに尋ねられたが、今日くらいにやらないとゴミが出せないのである。ということを言ったら、同じ四谷の住人である真理さんも慌てていた。いやいや毎年同じことを書くのだがどうしてこんなにゴミが出るのだろうか。カタログが段ボール箱にしたら20箱、フローリングのサンプルが100枚、ガラス、アルミ、塗装見本、などなど、事業ごみのシールが45リットル50枚、10リットルが40枚である。サンプルは借りるというシステムにしたらどうだろうか?捨てるのに金がかかるというのもあるし、そもそももったいない。
ゴミを出した後は床のワックスはがしとワックスがけである。普段つかわない筋肉を酷使したせいか痙攣している。夜は事務所の忘年会。伊藤君が年末で40ということでスタッフから素敵なポートフォリオを送られた。すごいねこれは。伊藤君もボス冥利につきるということだ。OB,OGも集まり総勢16人。こうやって集まってくるのは嬉しい限り。来年もみんな頑張ろうね。

日本のサンタモニカでいいものを見た

On December 22, 2010
by 卓 坂牛

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午前中九段下で用事。昼食をY先生と共にしてから急いで横須賀線で逗子へ向かう。2時過ぎに逗子で真理さんとお会いしタクシーで佐島へ。車中真理さんがこの辺りは「サンタモニカだねえ」と興奮気味。そう思う!!真理さんも僕もLA経験があるのでサンタモニカだとかマリブなんていう地名で同じ空気を共有する。車で約20分吉村靖孝さんの佐島の貸別荘に到着。今日は海の向こうに富士山まで見えてきた。涙が出そうなロケーションである。そのロケーションにこたえる巨大なピクチャーウィンドウ。でもいいなあと思うのはのはパラレルに配されたRC壁で切り取られる短冊空間の緩いつながり。そしてその幅に合わせた多様なウィンドウで切り取られる不連続な外部。場所ごとに現れる個別な風景が短い記憶の中で連なっていく。想像以上の建物だった。帰りは湘南ライナーで新宿経由四ツ谷。事務所に戻り打ち合わせ。

ポストヒューマニズムの「ヒューマニズム」建築について

On December 21, 2010
by 卓 坂牛

K.マイケル・ヘイズ『ポストヒューマニズムの建築』ではジェフリー・スコット『人間主義の建築』が文字通り批判的に読み込まれている。という内容のツィートをマイケル・ヘイズの翻訳者松畑さんから頂いた。そう言えばそうだろうなあと思いながら読み返してみた。ヘイズはハンネス・マイヤーとヒルベルザイマーを通して反ヒューマニズム的建築の読み込みを行いながら統合的で中心的な人間主体を放棄した建築の可能性、現代性を提示する。そこにおいてスコットはと言えば、人間主義を賞揚する過去の人として取り扱われることとなる。
さて「ヒューマニズム建築」という言葉はあちこちで耳にするものの一体その語の意味合いとはいかなるものか?体系的に書き連ねることなどできないが少なくとも二つの書を整理すれば恐らく3つくらいの意味が読み込める。
1) 哲学的な言説と呼応する意味で「確固とした人間主体が計画した建築」(そこには人間精神のバランスと合致した統合的な姿が現れる)
2) スコットが説明するところの「人間と同一視され得る建築」(そこには人体が持つ比例関係が投影された古典主義的な姿が現れる)
3) これもスコットが説明するところのもので「人間が感情移入できる建築」(これは建築受容の側面から分析された考え方であり建築の姿を規定はしない。ただし人間の感情移入を誘引するためには建築自体が2)で示したようなアンソロポモロフィック(人体同形)であることはその可能性を高めることなる)
さてこんな整理をしてみたのは、昨今作品選奨の審査で1)を否定するような反ヒューマニズム建築と2)3)を賞揚するようなヒューマニズム建築を見せていただいたように感じ、その感じ方を整理してみたかったからである。しかし整理しながら思い返してみると、それらの建築の良さはどうもそうした差によって明確になるそれぞれの性格の中にあるというよりは、むしろそれらが共有する特質の中にあるのではと感じるのである。ではそれは一体何なのか?するとどうもここにまた人間が登場する。それは「人間を疎外しない」とでも言えるような性格である。最近の建築はどんなにとんがったデザインをしながらもどうもこの点を外していない場合が多い。人間が何らかの意味でデザインの支配的な部分にいる。その意味で昨今の建築はポストヒューマニズムの「ヒューマニズム」建築と呼べるようなものなのかもしれないとふと思うのである

ヤクザにも歴史あり

On December 20, 2010
by 卓 坂牛

午前中事務所で打ち合わせ。午後一のアサマで大学へ。教員会議を終えてからゼミ。この時期のゼミは精神衛生上よくない。誤訳だらけの難解な哲学書を読まされるような状態である。自分もかつてこうだったのだとすれば先生には謝罪したい。
夜のアサマで帰京。車中『近代ヤクザ肯定論―山口組の90年―』を読み続ける。山口組の歴史は神戸に出て仲士を始めた淡路島出身の山口春吉(一代目)に始まる。仲士に必要な連帯感と体力に長けた彼はあっという間に仲士のボスに見込まれた。そもそも仲士の仕事は義理と人情が不可欠でありヤクザの世界と密接に結びついていた。よって春吉も必然的にその世界に入っていったわけである。それからはまさに、あれよあれよと山口組の日本制覇が始まるが、しかし、忘れてはならないのは山口組とて日本の底辺労働者の構成要素であったということ。彼らが下層労働者の階級闘争の一翼をも担っていたこと。加えて無法状態に近い日本の戦後の警察力を補強もしていたこと。などなど。つまり民衆の側にも権力の側にもつきながら社会の誰もやれないできないことを担っていたのがヤクザだったということだ。もちろんここに書かれていることの裏をとるなんていう芸当はできないけれど、宮崎学の血統からしてこの内容の概略は間違っていない。やはり歴史は知っていないとまずいな。今起こっていることには皆歴史ありということだ。表層だけ見て騒ぐのは余りに愚か。

やっと脱稿ー4年かかった

On December 19, 2010
by 卓 坂牛

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やっと終わった。A0勉強会で翻訳中だったGeoffrey Scott The Architecture of Humanism ―A Study in the history of taste― 1914、本日脱稿。この作業2006年に始めたから4年まるまるかかったことになる。『言葉と建築』よりも時間がかかった。皆で3回ずつ読みなおししたからそのくらいかかるわけだ。でもとにかく終えた。香山先生曰く「今まで翻訳されていなかったことが信じられないくらい重要な本」なのです。来春にはSD選書となって本屋に並ぶことでしょう。ご期待ください。
さて次は何にとりかかるか。この不思議な集団は増えたり減ったりしながらでも粛々とこんな作業をずっとしていければ嬉しい限り。

高橋コレクションも今年限り

On December 18, 2010
by 卓 坂牛

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午前中明日の勉強会の原稿をチェック。終わって修論の梗概に赤入れ。飯を挟んでさらに赤入れ。数年前から6ページまで許容されたせいか文章が冗長になってきた。6ページ使って6ページ分の内容がない。午後日比谷の高橋コレクションを覗く。日比谷のオフィス街から一歩入ると現代アートのカオスが突如現れる。このギャップは楽しいhttp://ofda.jp/column/。この周辺は巨大再開発の餌食となる予定地のようだ。日比谷パティオは既に消えてなくなっている。そして高橋コレクションが入居している三井のビルと隣の日生劇場も壊されると聞いている。このギャラリーも12月19日までの命だそうだ。四ツ谷に戻りジムで汗を流し帰宅。年賀状に着手。印刷は終えているので後はコメントを書きこむ。100枚くらい書いたら疲れた。宮崎学『近代ヤクザ肯定論』ちくま学芸文庫2010を読む。この人の本はかつて『突破物』というのを読んだことがあったようなないような??忘れてしまった。

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