Taku Sakaushi

Diary

思い出のヴェネツィア

On August 4, 2009
by 卓 坂牛

朝、緑の窓口で来週行く富山への切符を買う。本当は飛行機で行く予定にしていたのだが、気づいたら売り切れていた。この夏はあっち行ったりこっち行ったりである。新宿からあずさに乗って松本に向かう。やることがいろいろあり、3時間半を有効に使おうと思いグリーンに乗ったのだが、大家族連れが横で大騒ぎしておる。おばさん声が大きいし子供の躾がなってないよ。電車は運動場じゃないのだから。
松本でキャンパス計画の会議を終えて長野へ。車中『昭和史戦後編』を読んでいたら、あの建築ノートを出している誠文堂新光社が『日米會話手帳』という本を出版して戦後の大貧困時代にたった3ヶ月で400万部も売ったと書いてあった。日本人の変わり身の早さも驚きだが、それを出している出版社の名前にも驚いた。
大学に戻り明日の試験の準備やら、メールの返信やら、一日分たまると読むのも返すのも結構手間。
カサベラの最新号が届いていた。ヴェネツィア特集である。写真をサーッと眺めるだけで一昨年の感動が蘇る。安藤忠雄のコンヴァージョンが載っている。それはヴェネツィアヴァナキュラーを美術館へ蘇らせたもの。クライアントは、クリスティーズ他のオーナーであるフランソワ・ピノー。そしてその改築用の建物を貸与したのはヴェネツィア市長である哲学者のマッシモ・カッチャーリ(2007年から市長になっていたとは知らなかった。これはイタリアという国の文化の奥深さによるものなのか、カッチャーリという男の政治力によるものなのかはよく分からない)。既存建物の物質的な重みに圧倒されながら写真を見ていたが、文を読んでこの関係者の陣容にも度肝を抜かれる。グローバルな場所にはグローバルな人々が集まるということか?それにしてもこのあまりに正攻法的な建築にはうんざりである。物対物、構成対構成のこのつくり方はあまりに写真的である。所詮ピノーは情報を使ってものの価値を高めることしか考えていないのでは?それならそんな男に建物を貸したカッチャーリは何してんだということになるが、、、、、

もうすぐ原爆記念日

On August 3, 2009
by 卓 坂牛

午前中事務所で打ち合わせ、午後クライアントの所へ、中国工場の外装の部分張替えについて打ち合わせ。外国の仕事はいろいろと大変である。事務所に戻り雑務。
夜ニュースを見ていると、原爆投下の日に警戒警報が鳴らなかった謎が語られていた。もし警戒警報によって市民が防空壕の中にはいっていたならば死者は激減したと言う。しかし、同じもしが許されるなら、政府がさっさとポツダム宣言を受け入れていたならばどうなっていたのだろうか?、、、、ポツダム宣言を日本が受け取ったのは7月27日しかし7月24日にはポツダムにいたトルーマンは原爆投下許可をおろしていたらしい、、、やはりそれは避けられなかったのか?

もうすぐ終戦記念日

On August 2, 2009
by 卓 坂牛

午前中に森美術館で開かれているアイウエィウエィの展覧会を見に行く。(展覧会の感想はコラムをご覧くださいhttp://ofda.jp/column/ )雨がひどい。ついに8月に入っても梅雨が明けない。美術館脇の展望台から見える都心の空は煙っている。展覧会場に入ると突如茶葉を固めてできた1立方メートルのキューブが置いてある。コルクのように見えるが鼻を近づけるとお茶の香り。隣には紫檀でできた同様の1メートルのキューブ。彼は現代的コンセプチャルな文脈にのるというよりもむしろしっかりとモノを作る人である。ミュージアムショップでカタログとともに牧陽一『中国現代アート』講談社選書メチエ2007を買ってカフェで読む。毛沢東時代の文化統制下でのアートの様子を読んでいると、先日提出された中国人留学生(博士課程)のレポートに書かれていた毛沢東時代の建築統制を思い出す。文革からの解放がアートではこうして実を結ぼうとしているのだが建築は未だもう少し時間がかかりそうな気がする。帰宅後一人ランチを作る。キッチンからは隣のバス会社の駐車場が見えるのだが雨が止んでいるように見える。食べながら半藤一利『昭和史戦後編』平凡社2009を読む。後編は終戦の1945年8月14日(日本では8月15日だが)から始まる。ふと父親に思いが馳せる。大正15年生まれの父はこの年はたちだった。前編の内容を生きそして成人した歳に敗戦。前編を読み終わり、ああこんな軍国化の時代を生きてきたんだと改めて考えてしまった。ではその軍国化の総決算である終戦の日をどういう気持ちで迎えたのだろうか?終戦を決定づけた御前会議では天皇は自分の身を犠牲にしても終戦(ポツダム宣言の受け入れ)を決定した。だから国民は天皇への忠心を高めたと書かれている。果たして父もそういう気持ちだったのだろうか?いつか聞いてみたいものである。

イセ

On August 1, 2009
by 卓 坂牛

やっと分厚い『伊勢神宮』に載っている磯崎の文章にたどり着く。磯崎はイセを西行的自然とタウト的パルテノンの上に解釈してみせる。なるほどふたりの解釈は日本的、ヨーロッパ的の最たるところなのだが、そういう解釈が示すものは、結局はイセではなく二つの文化の極に過ぎないように聞こえる。とするとイセとは?夕方紀伊国屋に出かけ帰りがけ家族と待ち合わせ外食。

昭和史

On July 31, 2009
by 卓 坂牛

8時半のかいじで塩山へ。車中、メールを開くとアルゼンチン建築家協会から9月に開かれる「日本建築展」での講演依頼のレターが届いていた。展覧会の会期は9月4日から30日まで。この展覧会にはリーテム東京工場とするが幼稚園が展示される。塩山では水道局、下水道、消防署を回り昼食をとる。午後施設へ行って打ち合わせ。先週理事会が開かれたとのことで今日の打ち合わせから担当になったFさんが新たに参加。その方が新たに図面を見直し6ユニットの現在のプランを1~2ユニット制に変更したいとおっしゃる。それは今まで積み上げてきたことを無に帰するようなもの。6ユニットプランがオペレーション困難であるという説明は理解できなくはない。しかし言うのが遅過ぎる。さすがにこの進み方には納得できず少々憤った。変更することは仕方ないとしても、ものには言い方というものがある。それにしても今までの時間がもったいない。
夕方の電車で新宿に。車中半藤一利の『昭和史1926-1945』を読み続ける。満州事変から始まるこの本だがやっと真珠湾攻撃までやってきた。半藤さんの書き方の影響もあろうが、ひどい政治家は今も昔も沢山いたのだなと感じる。加えて、戦うことを使命として生きた軍人というものの心理はどう多面的に考えても、最終的にはやはり理解する気になれない。

美しいこと

On July 30, 2009
by 卓 坂牛

朝のアサマで長野西高校に講義にでかけた。高校へ行って出前講義である。最近は中学生くらいから自分のキャリアを考えさせる指導が行われている。娘も中学三年の時、夏休みの宿題でなりたい職業の人にインタビューをしていた。高校では自分の進むべき進路を自分で考えるために大学の先生が呼ばれて学問の紹介が行われる。加えてどこの大学も学生集めに躍起なので、両者の目的が合致してこうした出前講義が行われる。長野の高校だから信州大学の先生ばかり来ているのかと思ったらさにあらず、東京の一流私立大学の先生もいらっしゃった。この高校は文系教育の方が進んでいるようで僕の部屋には10人程度しかいない。看護とか心理学の部屋は人気で30人くらいの生徒が集まっていたようである。1時間半程度、工学とは、建築とは、僕の高校時代は、などの話をして終わる。今日はこれだけのために長野にやってきた。帰りの車中、赤木明登『美しいこと』新潮社2009を読む。美しい写真と美しい文章によるものづくり職人の紹介である。著者は漆職人なのだが、文章がとても上手である。略歴を見ると大学では哲学を学び出版社を経由して、突如輪島塗の職人に弟子入りしたと書いてある。この手の本にはミーハー的な有名人巡りが多いのだが、この著者には職人の選択に一貫したポリシーが感じられる。それは言ってしまえば「その職人に信念があること」である。言葉にすると実に陳腐なのだが、それが文章の中にひしひしと感じられる。事務所に戻り明日の打ち合わせ資料の打ち合わせ。スタッフたちは横浜の類似施設を見学して帰ってきたところ。見てくると今の図面の不足しているところがよく分かるものである。それが分かるとますますこの図を明日役所に出していいものやら?ちょっと不安。

経験外

On July 29, 2009
by 卓 坂牛

10時ころクライアントから電話、金曜日に向けて作っていた案のどんでん返し的修正の依頼。「2~3階にあるものを1階に下ろし、1階にあるものを3階にした方がいいと思う」と言うのである。座長を務めるキャンパス計画の会議が迫り、5分で電話を切ったが、会議中新たなプランが頭の中を彷徨う。まあその方が正しいのかもしれない。経験量が違うからその意見を客観的に判断することができない。言われたことを否定する材料はまったくない。新しいビルディングタイプはいつもこうである。急いで東京に電話、要望の概略を説明する。そして会議が終わって事務所に戻る。判断不能だからそれをやるしかないのだが、2ヶ月かけて作ってきたその図面を金曜日クライアントは県庁に出す予定だった。それを二日で大幅に直してそんなものを役所に出していいものやら?これも経験外のことである。
今日は午後長野の高校で講義をする予定(とスケジュール表に書いて)だったのだが、一緒に行く予定の学生に「それは木曜日ですよ」と言われ、東京に戻り夜出席する予定のマンションの理事会の部屋に行ったら管理人さんに「それは明日ですよ」と言われた。二つの予定はともに一日ずれて書かれていた。こんなことなら東京に帰ってこなければよかった。明日朝また長野に行かねばならないなんて。

市街地活性化

On July 28, 2009
by 卓 坂牛

久しぶりの修士論文ゼミ。後期に入る前にある程度片付けてほしいのだが、いつもそう言ってもなかなか皆やらない。やらないのかやれないのか?
午後市役所で重要指定建築物の修繕工事内容の検討委員会。現地調査をして意見する。この手の市の委員会ではいつも宮本忠長さんとご一緒。年老いて言うことは尚正確である。委員会の後、依頼されていた二つの部署の方とお会いする。景観賞がらみと、市民会館の新築に関する相談。市民会館の新築は既に公報にも載っているようだが、市街地活性化を狙い市の中心部にある再開発予定地が候補となっている。3年前の塩尻も市街地活性化の一環として再開発コンペが行われた。最近ニュースとなった小諸も市役所の再建に絡み市街地活性化を狙い市民病院を移転しようとしている。どこもかしこも市の真ん中に穴があきそこを箱物で何とかしようというのが行政の発想である。しかしそれだけではどうにもなるまい。塩尻の時は役所の方全てにやる気とヴィジョンを感じた。そういうものが果たして小諸や長野にはあるだろうか?期待したい。

大雨

On July 27, 2009
by 卓 坂牛

事務所で昨日の打ち合わせの内容を伝達。甲府の仕事は今後の展開の目標を話し合う。ガレスには塩山のプロジェクトの新たなスタディの方向を伝える。午後金箱さんが来所。塩山の構造システムについて議論。少しスタディの方向性が見えたか?終わってから先週の忙しさで手をつけていなかった、レクチャーの準備やら、出張の手配やら、大学への書類やら、なんだかんだやっていたら夕方。急いで帰宅。八ヶ岳登山から戻った娘と遭遇。大雨に降られて二日ともびしょ濡れの登山だったとか。話を聞くとまるで北海道の遭難のような状況。無事戻れてまあよかった。世の中とんでもない豪雨で不幸な事故が相次いでいる。この数年のゲリラ的な気象の変化は何が原因なのだろうか?急いで飯を食って長野へ向かう。車中なかなか進まないルーマンのノートをとる。こんなペースだと読み終わるころには最初に書いてあったことを忘れそうである。

夏本番

On July 26, 2009
by 卓 坂牛

今日の青空は深い、本格的夏の空。7時のあずさで甲府に向かう。クライアントの友人が急逝したとのことで急遽時間を早めて8時半ころから打ち合わせ。昼間には34度まで上がった甲府も着いたときは爽やかだった。政権交代が補助金にどのような影響を見せるか分からないという不確定要素はあるものの本日の案をもとに徐々に案の細かいところが詰まってきた。しかし理想の高いクライアントのイメージをどこでフィックスさせるかはなかなか悩ましい。県の役人もこの分野のオピニオンリーダーであるクライアントに絶大なる信頼をおいている。それだけにクライアントも役所に自分の新たな構想を理解させたいようだ。10時半頃、午後移動しようと思っていた塩山のクライアントが甲府に出向いてくれた。そして場所を貸してもらえた。こちらは県から補助金の関係で7月中に図面と見積もりといわれているのだが、見積もりは参考物件の見積もりをいじくることで納得いただく。午前中に甲府一箇所で2プロジェクトの打ち合わせが完了した。効率的である。甲府駅まで送ってもらい、食事をして1時のあずさで新宿へ。行きも帰りも満員である。新宿で改札の外にでるとマイケル・ジャクソンのライブインブカレストdvdがタワレコの前で街頭販売されていた。思わず買う。やはり僕らの時代の懐メロ(横浜球場まで見に行ったし)。先週から3連続レクチャに続き、八潮、甲府でちょっとグロッキー。

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