Taku Sakaushi

Diary

修論発表会

On February 13, 2008
by 卓 坂牛

2月12日
本日は修士論文発表会。僕の部屋からは装飾論の論文一名と山岳景観研究の設計一名。どういうわけか発表は最後。卒論と異なり、修士の発表時間は倍以上の12分ありそれなりに論理的な説明が可能なせいかあるところまではよく分かる。しかしあるところ以上になるとその専門性で煙に撒かれるところもある。夜は卒論、修論の打ち上げ。手伝いの後輩たちもあつまり総勢50名くらいで慰労会。今晩は冷えるとの予報だったが急に雪が強くなる。去年のブログを見ると2月15日に卒論発表会があり、打ち上げをして駅前の屋台のラーメンを食べて帰ったとあるが、今年も駅前でラーメンを食べた。雪降る中一人歩いて帰宅。寒さが心地よい。

身体という文化

On February 11, 2008
by 卓 坂牛

一昨日神保町で買った身体論叢書の第一巻、野村雅一・市川雅編『技術としての身体』大修館書店1999を読んだ。技術としての身体とは人間の身体の所作は決して生まれながらのものではなく、文化的に形成されたもの。すなわち技術として修得したものというという視点である。文化人類学、民族学、体育学、ダンス、等広範にわたる15編の論考が掲載されている。自分の専門に重ね合わせて最も興味を惹いた論文は野村雅一の「坐の文化と安楽な姿勢」である。そもそも椅子は座るために作られたものではないという椅子の象徴性に着目し、椅子の発祥地である西ヨーロッパにおいても椅子が生まれた当時でさえ床に座る人たちが多くいたことなどが書かれている。その論考はバルトのエッフェル塔からの引用で始まる。「物の有用性とは、実のところ物の真の意味をおおいかくしているものにほかならない」。つまり椅子の有用性は本来(そうであったかどうか僕は知らないが)権威の象徴であったその意味を覆い隠してしまったというのが著者の主張である。そしてこのように、生み出された「物の有用性」は逆に身体の所作を規定するようになるのであろう。
野村はそこまで言及していないが、もちろんここでの物には「建築物」も含まれるのであろう。建築物の真の意味はその有用性によって覆い隠されてしまう。だから僕等はなんとかしてもとの意味を剥き出しにしたいがためにこの有用性という文化的に作られたものを剥がしにかかるのだが、それがなかなか上手くいかない。でもなんとなくこう考えると自分のやっていることが少し整理できるし、それに応じた考え方や説明の仕方が見えてくるようにも思う。特に建築全般ではなく、身体の所作ということに絞ってその社会構築的側面と、慣習的な無意味さを正確にあぶりだせるのなら、もっと安楽な建物というものを考えることができるのかもしれない。

放置自転車撤廃

On February 10, 2008
by 卓 坂牛

朝、面白いテレビ番組があった。放置自転車はどうすればなくなるかという実験番組。放置激減の一例として自転車が置かれそうなあたりにベンチを置く方法が紹介された。これをやるとベンチに座る人が監視人の役目を果たし、停められないそうである。これは東京自由が丘の例。次に紹介されたのは駐輪場に停めると特典が付くというものである。駐輪場の駐輪券があるとラーメンの替え玉がただになったり、デパートの買い物が1割引になったりというもの。これは福岡天神の例だそうだ。どちらも大成功でまったく路上放置自転車はなくなったそうだ。なるほど勉強になる。それでは大学の放置自転車はどうしたらなくなるだろうか?キャンパスマスタープランでどこのキャンパスでも発生する共通問題である。マスタープランでは門脇の駐輪場に停めて構内へ乗り込まないことを原則としているが、そのルールをかいくぐり講義棟まで乗りつけ放置する学生が発生することが危惧される。どうしたらこう言う学生は減るだろうか??お得感を植えつけるか罪悪感を刺激するか???お買い得感は大学には馴染まないし、罪悪感はそもそも彼等には余り無いようだし、、、、
午後読書。夕刻娘と買い物。東急ハンズへ。久しぶりに東京のデパートへ足を踏み入れ、人の多さに圧倒される。それにしてもいつも思うのだがこう言うデパートと長野のように人のいないデパートが同じ時代に、世の中に存在していることが不思議で仕方ない。土地代の差だけがこの状態を正当化できるとも思いにくい。なぜ同じような商業施設があるのかというのがそもそもの疑問である。だからと言って今のところ名案はないのだが。

bob

On February 9, 2008
by 卓 坂牛

IMG_0008.jpg
午前中事務所で打ち合わせ。このところ、入試、卒論、修論、に追いかけられ、平日事務所にいられず。土曜日打ち合わせ。週末はなんとなく皆ゆったりしていて(僕だけの問題?)時間を気にせず考えることができて気持ちがいい。
打ち合わせ後、東京都現代美術館で川俣正を見る。ちょっと期待して言ったのだが、それほどでもなかった(内容はコラムに書きましたhttp://ofda.jp/column/)。
帰路神保町で降り古本屋をぶらつく。三省堂で身体論の3巻セットの叢書を買う。身体論は恐らく概念的な話を幾ら読んでも聞いても身につかない。もっと具体的な局面を実感として感じ取れないと理解できない。この本には身体の訓練とかコミュニケーションなど、それぞれの分野の専門家が実験や、フィールド観察に則って書いているようである。三省堂から数軒となりの、リニューアルした南洋堂へ行く。これが月造さんの仕事か。なかなか綺麗。三階の洋書売り場で素的な本を発見。Claessonと Kovistoと Runeという北欧の3人組の作品集。出版社はBirkhauser。A4より一回り小さい白い布装丁.。ロゴが黒くシンプルで2冊組。一冊はプロダクトデザインで一冊は建築作品。写真がとてもよい。衝動買い。帰宅するとナカニシヤ出版から本が届いている。自分の本がもうできたのかと思って驚いたが、さにあらず。小田部さんからの謹呈本であった。坂部恵・佐藤康邦編『カント哲学のアクチュアリティー』ナカニシヤ出版2008である。カントと聞いて先日ふと読み返した『純粋理性批判』における思想のカテゴリーを思い出した。量・質・関係・様相というこのカテゴリーが今までよく分からなかったのだが、結局これらは人間がものから直感として空間と時間の座標にかかわるものを受け取り、それを思考し規定結合するアイテムであるということが分かってきた。つまりカントに言わせれば人間は現象界の物をこの4つのアイテムで思考するということである。なるほどこれは建築設計とは質と量と関係を考えることであるという僕の論考の前提と同じである。もっと言えばカントは様相も考えざるを得ないよ、といっているわけだ。そしてそれは原広司が書いている。うーん僕が一生懸命考えていることが時代遅れなのか、カントがまだアクチュアルなのか??
昨日事務所に届いていた韓国のインテリア、建築雑誌『bob』をまだゆっくり読んでいないのだが、40ページを使ったofda全体の紹介である。インタビューでofdaはどんな組織かと聞かれて、「複雑系のサンタフェ研究所のようなもの」と格好つけて返事をしたら、最初のページになにやらそんなことが書かれていて気恥ずかしい。

3日ぶり東京

On February 9, 2008
by 卓 坂牛

2月8日
朝から大学の雑務に追われる。午後留学生との面接などしてあっという間に夕方。昨日卒論発表会を終えた4年生と夕食をとり、夜のアサマに乗る。社中コラージュ論とにらめっこ。グリーンバーグからクラウスへ時代が変遷する。3日ぶりに東京。事務所に立ち寄る。bobマガジンが届いていた。ofdaを特集してくれた。英語でなんて書いてあるのだろうか?なにやら難しいことが書いてあるようだ。

卒論発表会

On February 7, 2008
by 卓 坂牛

今日は卒論発表会。僕の部屋は論文2名、設計3名。設計者は巨大模型とA1 15枚(ミニマム)のドローイングを朝から発表会場に搬入。小雪がちらついていたが、本降りではなく助かった。論文は写真論と装飾論。かたや新建築の1万枚近い写真を分析。かたや善光寺表参道の数百メートルの街路立面の線分数をすべて計測。両方とも気が遠くなるような作業だっただろう。しかしその甲斐あって最後は4年としてはそれなりなものに仕上がったと思う。設計は「私私」の境界に着目したもの。自然概念を導入したもの。空間と空間の連結空間に着目したもの。それぞれ意義深いテーマである。デザイン自体はもうひと頑張り。論文つき設計なので最後まで僕が論文にokしないので設計時間が短いことが原因である。でも最後の設計くらい、概念をしっかり固めてから設計するという訓練をさせたい。デザインに加えプレゼンももうひと頑張り欲しい。写真で簡単に逃げられる。意味の無い紙が多いように感じた。このコンピューター時代、15枚という数字になんの意味もなくなってきた感じがする。枚数減らして一枚一枚の意味づけを考えるように指導するべきなのかもしれない。また人前での発表はまだ練習不足。つっかえたり、口ごもったり、他の先生からの質問に今ひとつピントがずれる。代わりに答えたくなるようなことばかりだった。
発表会が終り、雑用、雑用。建築雑誌の原稿校正。読書。またあの分厚いコラージュ論の続きである。グリーンバーグのコラージュ論がとりあげられる。グリーンバーグにかかるとコラージュもその平面性とメディウムに価値が見いだれている。それゆえネオダダのアッサンブラージュには見向きもしないところが面白い。2月に入り建築棟は夜間の使用は申請制になり滞在者がぐっと減った。そのおかげで実に静かである。いいんだか悪いんだか?

卒論前日

On February 6, 2008
by 卓 坂牛

7時半のアサマで長野。最近は本当に寒い。長野はもちろん寒いが東京も早朝は寒い。大学に着いて早速明日の卒論発表会のリハーサルを聞く。2日前に彼らの発表を最初に聞いたときは、すんなり頭に入ってこないからいろいろと修正するように指示した。それが完全に直っているわけでもないが皆よく短期間に修正してきていると感じた。しかし実は2回目だからこちらの理解力が高まっているだけなのかもしれない。あるいは発表は明日なのだからこの期に及んで四の五の言っても始まるまいという気持ちも作用しているのであろう。いやいや、そう否定的にならず、やはり学生の努力の賜物と思うことにしよう。
午後新三年生に研究室ガイダンス・就職ガイダンスをする。そして研究室の志望調査を行なう。僕の研究室志望は8人。丁度いい数字かもしれない。それでも5人に絞らなければならないと思うと可哀想である。できれば志望通りさせてあげたい気もする。本当は意匠の研究室がもう一つあればいいのだが。
修論の副査を4名から頼まれており歴史系、環境心理系の論文を読んだ。たまにこうした他の分野の論文を読むのは新鮮で楽しい。歴史の論文は書き方がしっかりしている。内容はピンキリ。読む側としては多少論証の危うさはあろうとも結論がスリリングなものの方が楽しい。

打ち合わせ

On February 5, 2008
by 卓 坂牛

7時半の新幹線で9時に東京。秋葉原で朝食。歩いてリーテムへ。茶室と中国の見積りがいっぺんにあがり、今後の進め方を協議。概略の方針を素早く決定していただいた。また、水戸の擬洋風建築のリノベーションにおいてはこれを信大の卒論の教材にするべく、実測調査をさせてもらうことにした。現在敷地の測量中。そろそろ動き出すだろうか?終わって末広町で有名な親子丼を皆で食す。山本、中島はクライアントと引き続き打ち合わせ。僕と竹内は事務所に戻る。パートナー二人と今後の仕事と人の話をする。あと一人スタッフが要るか要らないか?微妙な選択である。夕刻pen編集部来社。3月に発売の建築間取り特集のインタビュー。木島と1時間ほどインタビューに応える。間取りなのか?町並みなのか?聞かれていることがやや不明な不思議なインタビューだった。3月の次にはまた10月ころに建築特集だそうだ。何かないですか?と聞くので、茶室の面白い素材と色サンプルを見せ、模型を披露。是非見に来たいとのこと。できたら連絡すると約束。見ごたえあるものになるかどうか。正念場である。

見積り

On February 4, 2008
by 卓 坂牛

朝は長野、午後は松本で会議。夜は長野で卒論と修論の発表練習。その間隙を縫って東京から送られてくる見積書のファックスに目を通す。茶室はインテリア設計のせいか高いのか安いのか今ひとつ勘がうまく働かない。中国工場は中国価格なのでこれまたピンと来ない。地道に分析するしかないのだが。

大雪

On February 4, 2008
by 卓 坂牛

2月4日
朝方事務所に行き雑用を終わらせ、大雪の中かみさんと近所に買い物。よりによってこんな日に買い物しなくてもと思うのだが、重いものを買うので僕が家にいるときでなければだめなのだそうだ。余りの寒さに帰宅して風呂につかり新聞を読む。夕刻、早めの夕食をとって長野へ。車中、コラージュ論は一休みして、岩淵功一『文化の対話力』日本経済新聞出版社2007を読む。文化のグローバリズムは「文化力」という名のもとに政治戦略の武器となっている。国境を超え、様々な共同体が文化発信や受信をしている一方で、文化の流動化が人々に国を意識させる。あるいは帰属先を欲求させると著者は言う。それを利用し、あるいはそれとは一見無関係に現代社会は世界的に国家の境界を堅固なものとしてナショナリズムへ向かう傾向があると言う。なるほどそうかもしれない。ブッシュはカリフォルニアとメキシコの国境に更なる強固な壁を建造中だそうだ。
車窓から外を見ると絶え間なく雪である。長野も雪。しかし、雪のときのほうが気温は高いようだ。

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