Taku Sakaushi

Diary

東京も雪

On January 23, 2008
by 卓 坂牛

長野から戻ったら東京が雪。雪に追っかけられている。朝方書斎の本を検索して残った校正部分に回答を書き込む。多くが引用部分の誤り等のチェック、修正。11時ごろ事務所に行き、溜まる雑務を片付ける。1時から中国見積図第一陣のチェック。竹内君の書いた図面を見てほっとする。図面は言語のようなものである。中国製の図面は中国語と同じくらい理解不能である。そこへ行くと日本の図面は日本語同様理解しやすい。日本製図面を見てやっと空間が明快になる。この調子で矩計図と平詳が終われば、気持ちは晴れるであろう。中国工場の後は茶室。見積り図をチェック。一通り図面が揃い、こちらもほっとする。壁面を塗り分ける微妙な色のサンプルができ上がってきた。こりゃ難しい。今回は4色使う色の差を極小にしようとしている。しかしあまりに微妙だときっと分からないだろうし、あまり差をつけると派手になりすぎる。知覚可能な色の差の閾値はどのあたりだろうか?多分それは内部の照度にもかかわるだろうし、隣接する色の量にも拠るのだろう。
午後某設計事務所の役員から電話を頂く。新卒採用の打診。優秀な事務所なのですぐに院生に電話し希望を聞く。行きたい人間は数名いるようだ。「いい学生はいるかい」と聞かれて「もちろん」と答えるのだが、果たして即日設計などでその期待にどこまで応えられるだろうかと一瞬不安が過ぎる。「坂牛のところには人材が豊富だ」と言われるようにみんながんばれ。

愚痴

On January 23, 2008
by 卓 坂牛

午前中の講義を終えて、午後今年度最後のm1ゼミ。全員の発表を聞くと、後一がんばりして欲しい。と思うだけである。どれ一つとして完成しているものは無い。今年の後期m1ゼミは社会学的テーマをそれぞれに与えてパワポで発表させている。一人三回発表して完成させるというものである。例えば建築の永遠性と消費性というようなタイトルである。皆いろいろ考えているし、m1の頃はこんなことだったのかなあと自分を振り返るとあまり四の五の言えないのだけれど、もう少し人にわかるように話なさいとプレゼントは言えない。この季節になると卒業生、修了生相手にまるで異国の人と話をしているかのごとく意味不明の言葉に悩まされるのであるが、m1も差は無い。来年が思いやられる。もう少しこちらから相手のやることを限定するのが教育なのか?自由を尊重するのは結局彼等のためにならないのか?自分でもよく分からなくなる季節である。ぎりぎり最終に乗って自宅に戻る。東京は暖かい。

年度末の忙しさ

On January 21, 2008
by 卓 坂牛

12月くらいから長野にいるときの方が帰宅時間が明らかに遅い。それは帰宅するモーティベーションが全く無いということにも起因するのだが、やはり大学というのは年度で動いているもので3月に向かってなんでもかんでも締め切りが来るわけである。今日は、大学内の某施設の設計会議。学生も皆必死の形相であり、誰にも頼めなく朝からスケッチ描いて模型作ってそしてカラーコピーして、それで4時の会議で説明である。まあたまに自分でスケッチかいて模型作るのは楽しくていいのだが、その時間分は他の仕事ができないわけで当然皺寄せは夜に来る。そして今日できなかったことは明日に回すことになる。事務所の動向も心配。送られてくるチェック用の巨大図面ファイルを今晩はもう開ける気になれない。
先日読んでいたある新書本に仕事は時間を決めてやれ、部下にも仕事には期限をつけろ。できないのは集中力が足りないだけの話である。no残業デーを作れなどと書いてある。そうかもしれない。と思う一方この言葉には限界も感じる。

校正チェック

On January 20, 2008
by 卓 坂牛

大学の試験二日目もやっと終わった。とにかく何事もなく安堵する。
「建築の規則」出版校正原稿が昨日家に届いたとかみさんから電話があった。校正への回答を入れて返却しなければならない。何とか年度内に出したいのである。「どのくらい校正入っている?」と聞くと「1ページ2割くらいに、赤ペン、クロ鉛筆、ラインマーカーが入っていて大変そうよ」と言う。「嘘だろう??」と思うが確かめるすべも無い。来週は東京にそう長く入れないし結局こっちで作業することになりそうなので、すぐ宅急便してと頼む。ところが、日曜日は大学は郵便物を受け取らないとのこと。それを聞いて本日の受領は諦めていたのだが、昼頃クロネコヤマトから携帯に電話。大学を通さず私のところまで持ってきてくれた。ありがたい臨機応変な措置。そして中身を確認。どうもかみさんの表現はやや大袈裟。多くは引用文中の言葉遣いの確認。しかしそれでもチェック事項の仕分けをするだけで3時間くらいはかかったかな?それにしても本がないので確かめられないことばかり。やはり家に帰らないとこの作業は完結しない。時間が惜しい。

哲学と建築

On January 19, 2008
by 卓 坂牛

昨晩帰るときに雪がちらついていたので心配だったが幸い今日は晴天。一日大学試験の手伝いであった。事故もなく無事終了し、一安心である。空いた時間に木田元の『反哲学』新潮社2007を読む。木田元の哲学入門書は本当に分かりやすいのだが、この本も実にいい本だ。哲学ってこんなに面白いし、楽しいし、分かりやすいということを教えてくれる。こういう本を高校の教科書にでもすればいいと思うのだが。木田によれば哲学とは何の役にも立たないもので、できることなら一生かかわらずに終われるものならそのほうが余程いいそうだ。「子供のための哲学入門」なんてとんでもないとのこと。確かにそうなのかもしれない。そういえば谷川渥さんも美学なんて何の役にも立たない学問だと言っていた。ただ好きだからやっているだけだとか。そうねええ。そうかもしれない。客観的にみて文学は工学やら、法学、経済学などに比べたら人のためにある学問ではない。しかし工学といえども建築なんてものもこと意匠に関して言えば、人の役に立つとか立たないとかいう問題とはちょっと違う。下手をすればとてつもなく個人的であり、また全人間的でもある。そんな両極を彷徨っている。そう思えば木田元の言っていることはよく分かる。できることなら子供にはなって欲しくない職業#1である。

日本の80年代

On January 18, 2008
by 卓 坂牛

朝から学部生の梗概を読む。装飾論である。途中大学の行事の手伝いをして、また梗概を読み今日の一人分は終り。学生に修正を指示する。その後建築学科発足へ向けた書類作り。なんとか夕方までにとりあえず作れた。ほっとする。それから別の書類に手をつける。書類と言っても、これはなんだかしょっちゅう作っている個人の業績申告書のようなもの。あて先部局の違いで同じような内容のものを年に3回くらい作っているような気がする。会社ならこういうものは一本化できるのに大学と言うところは組織が複雑過ぎるよ本当に。昨日今日でなんとか90%終了。一休みしてから、中国図面の仕様書の日本語訳が出来上がってメールされてきたのでチェック。うーん、当たり前だが日本の仕様とは違うし、知らない材料がいろいろ出てくる。それからやたらと標準図参照指示が記されている。中国の標準図とは分冊になっており、日本のように、国土交通省の標準詳細図集一冊なんてものではない。数十冊に分かれているだろうか?どこに行ったら全部揃えられるのやら?契約している中国の設計院も全部持ってないのだから話にならない。とりあえずチェックして事務所に返送。
終わって植田さんの本を読み始める。この本は2巻本で今読んでいる1巻は1966~1986までの20年間。60年代から70年代の途中くらいまではなんとなく読む気を起こさせるものが並んでいる。そもそもよく知らない建物ではあるが設計者とか一枚の写真の雰囲気が読む気持ちにさせる。然るに70年代の後半から最後まではどうもげんなりする。先日建築雑誌に掲載する原稿で80年代の建築論というものを書いたときに僕は世界の建築論を少し調べた。ニール・リーチ、マイケル・ヘイズ、ジェンクスの建築論アンソロジーを見てみた。その結果、確かにこの時代はポストモダン全盛だが、しっかりとデコンの論文や複雑系の論文の準備がなされていることを確認できたのである。しかるに日本では五十嵐さんのブックガイドを見るならば、この時期見るべき建築論は無いのである。ジェンクス的なポストモダンには本気で組することは日本人には到底無理、この当時上梓された秀逸な本はもっぱら都市論である。もちろん建築自体はポストモダンという表層の流れにのっかる、あるいは後押しされたようなものが多発していた。それがこの植田さんの本を見ると一目瞭然であり、そうした建築のオンパレードなのである。しかしまあ欧米でも80年代にデコンも複雑系も殆ど実現には至っていないのだから同じかもしれないが。
疲れた脳みそはこてこてのPM建築などとても受け付けないというところである。

寒い

On January 17, 2008
by 卓 坂牛

午前中かけてまた一つ修士の梗概を読む。内容を精査するためにシュマルゾー、リーグル、ハーバート・リードを読み返す。午後から松本でキャンパス計画の会議だが移動の車中でも読む。会議は1時半から5時頃まで。しゃべり疲れた。合計3キャンパスの説明をする。最後の詰めなので多くの意見続出。結構なことだ。松本のスタバで協力設計者の春原さんと院生の山田君とで一服。車中植田実の『都市住宅クロニクル』を読む。白沢さんの住宅を発見してうなる。かっこいい。昔懐かしい建築家オンパレード。毛綱、渡辺豊和、黒川哲郎、原自邸、磯崎群馬、室伏自邸、、、、、なんだか学生時代に戻ったようだ。長野駅からマンションに寄り、自転車をとって研究室に戻る。さあこれから月末にかけて、書類、書類、書類。それも内容は同じような物ばかり。非生産的な行為。
それにしても今日は朝から雪。1日零下だろうか?松本はまた一段と寒かった。

最後の追い込み

On January 16, 2008
by 卓 坂牛

中国図面の追い込み。設計院の描いた構造図とにらめっこしながら、ナカジと意匠図を煮詰める。徐々にだけれど内部空間が見えてくる。茶室の図面を見ながら最終の仕上げ材を決めていく。山本さんがずらり並べたサンプルマテリアルを確認。畳の色がちょっとつまらない。と思っていたら白い畳があるようだ。発注のスケジュール、見積もる施工者を確認。打ち合わせを昼で終わらせ家に寄り、これから山篭りするための分厚い本を数冊鞄に放り込む。東京駅でおにぎりを買い昼のアサマに飛び乗る。植田実の集大成『都市住宅クロニクルⅠ』みすず書房2007を読む。建築案内的なこの手の書物は普通、リラックスして、楽にすらすら読めるものだがそうでもない。その理由は、ヴィジュアルなページが余り無く言葉で建築が組みあがっているから。そして1966年から始まるこの本の対象の中には知らない建築が結構あるから。言葉主体で説明されたまだ見ぬ建築は読者に多大な想像力を要求する。寝不足で満腹の頭にはやや過酷である。そのうち深い眠りに入る。(植田さんすみません)。軽井沢で目が覚め読書再開。夕方大学の会議。終わって梗概のチェック。今日から一日一人分を読んで直すことにする。どれもこれも多分、大鉈を振るわないと見られるものにはなるまい。時間をかけざるを得ない。ここで放棄するわけにもいかないし。フー。最後の追い込み。

松井さんの巨大抽象画

On January 15, 2008
by 卓 坂牛

bod_img_01.jpg
シャネルのギャラリーで松井守男の個展が開催されている。オープニングに招かれ顔を出す。あたかも着物の柄のような油である。巨大なキャンバス地に描かれたその抽象画は、そのまま壁にホチキスで打ち付けてある。お金があったらいつか壁画を描いて欲しい。ポロックともサム・フランシスとも少し違う。彼独自の境地である。こういうパーティ常連の芸能人、医者、美術館の人。いろいろ紹介していただく。夕食に誘われるがこれから一週間東京を空けなければならないのでまた事務所にもどり打ち合わせ。お腹空いた。

富田玲子さん

On January 14, 2008
by 卓 坂牛

ロンドン大学バートレット校から来たクリスチーヌ・ホーレイとその学生10人。千葉大の岡田さんとその学生20人につきあって東京巡りをした。クリスチーヌはバートレットのディーンでありエイドリアン・フォーティの同僚。もちろん岐阜で妹島さんや高橋さんといっしょに一棟集合住宅を設計した建築家である。何故か篠原一男のことをよく知っていて、その話しでもりあがり、またフォーティの翻訳をした件で話がはずんだ。フォーティーの本は英文でもなかなかエレガントなできで、バートレットでも教科書のような本らしく、学生は皆よく知っていた。クリスチーヌはさかんに僕がこの本を翻訳したのだと、学生に説明していた。原宿、青山、秋葉原で解散。一日歩いたら疲れた。帰宅後少し仮眠。読みかけの富田玲子さんの『小さな建築』を読み終わる。僕が高校時代、建築勉強しようと思って担任の先生に紹介してもらった先輩が富田さん。今でも鮮明に覚えているが、高校2年の時に行ったのが早稲田の寺の境内に建っていた2階建てのプレファブ小屋。富田さんは上品で静かでやさしい先輩だった。そこへ行くと大竹さんはスゴイ迫力。事務所にあるもので脳裏に焼き付いているのはサッカーボールとスパイクと一升瓶。建築家のいる大学に行けと進められた。その時あがった名前が篠原一男。でも大竹さんは篠原の建築を建築とは認めないと言っていたのもよく覚えている。その時富田さんはどう思っていただろうか?『小さな建築』には富田さんの実家の傍にあった篠原先生設計の谷川俊太郎邸を見せてもらった話しが出ていたが感想は記されていなかった。
富田さんは想像していたとおり、パワフルである。女性で建築家になるということは乗りこえるハードルがいろいろあるのだろうが、富田さんは事も無げに楽々とこなすようなひとなのだろう。プロにならないのにピアノを一日5時間弾いていたというのを読むとそうした資質を感じる。つまり努力を努力だと思わず出来る人である。建築家ってそういうバカみたいな力がいる。高校時代にお会いしたときに既に子供もいながら沖縄の仕事をしていたのだと思うが淡々と建築をされていたような雰囲気が漂っていた。5000ccくらいの車が静かに100キロで走っているという感じである。女性が建築家になるのは今だって大変だと思うが、富田さんのような資質と才能がいるのだと思う。一度信大にもお呼びしてレクチャーしてもらおうかしらん。

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