Taku Sakaushi

Diary

新たな仕事

On April 16, 2009
by 卓 坂牛

午前中事務所で打ち合わせ。雑用。午後も打ち合わせ。新しいプロジェクトの最初のエスキス。全く新しいビルディングタイプと敷地の制約の少なさがきっかけを見つけにくくしている。僕もスタッフも多くの可能性の中から進む方向を模索中。設計期間はあるのだが、補助金の関係で6月一杯に基本構想をまとめないといけない。そう考えるとまったく時間がない。夕刻後輩のNさんに頼まれてNさんの知り合いの建築相談に伺う。100㎡の敷地に5階建ての学生用の集住を作りたいという要望。1年前からとある建設会社に設計施工で依頼しているのだが何も進展しない。あまりのいい加減さに嫌気がさしてすべてを白紙に戻して設計を新たにやり直したいとのこと。聞けば聞くほど世の中にこんな目茶苦茶な会社があるのかと呆れた。事前に聞いていた工期と工費ではできそうもないと思っていたのだが、こちらの要望をほぼ了解してくれた。であればお引受けするのにやぶさかではない。場所は西早稲田、明日の講義のあとに敷地を見てこよう。

臨床心理

On April 15, 2009
by 卓 坂牛

前期は月火水と大学での講義やゼミや設計プロジェクトの打ち合わせなど朝から晩までスケジュールはぎっしり。午前中小諸プロジェクトの打ち合わせを学生と行い、午後は4年生の製図第五。初回なので16人の受講者全員のテーマ発表。よく考えられているものが多いのだが、毎年思うことだが、建築で解決するのは困難だろうと思われるような内容が多い。
最近始めたチルドレンセンタ-の仕事が初めてのビルディングタイプということもあり知らぬことばかり。昨日は夕食を共にした環境心理の先生と教育学部を出てから建築に学士入学した建築史の先生にいろいろ聞いた。こうした施設で治療に当たる心理療法士という人たちは学問分野で言えば臨床心理学を学ぶ。そしてそうしたことを学んで精神治療にあたる先生は自らの精神もぎりぎりのところまで持って行くのだそうだ。教育学部にはそういう先生もおられるそうだ。帰りがけ寄った丸善でその手の本をいろいろ購入。そのうちの一冊『子供の脳は肌にある』光文社2004を読み始める。著者山口創の略歴を見ると同僚先生と同じ大学、学科、早稲田大学人間科学修了である。専攻はやはり臨床心理。

蔵春閣

On April 15, 2009
by 卓 坂牛

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午前中ゼミ、と思っていたのは僕だけで学生のカレンダーは来週が初回。というわけでなんとなく雑談。僕の最近の設計の話をしていたら終わってしまった。たまにはこんな緩い会話も楽しいかも(しかしこう言うのは愚痴に終わることが多い)。午後3年生の製図。課題はコンヴァージョン。谷口吉生の東山魁夷美術館のすぐそばに蔵春閣という三沢浩設計の建物がある。これがコンヴァージョンの対象。上杉謙信の横山城という城があった市内を一望できる丘の上にこの建物は建っている。学生と先ずは見学に行く。今年から赴任された新館長さんはこの建物が大好きらしく丁寧に細部まで説明をしてくれた。1967年にできたこの建物は結婚式場として使われたとのこと。当時結婚式は家でやるのが普通。つまりこの建物は結婚式場のさきがけであった。しかし今はその役目を終え、一部公民館的に貸出、一部オフィスとしてテナント貸し状態である。屋上には野外ステージと観客席があり、左を見れば市内を一望。右を見れば善光寺を一望。ここで記念写真など撮ったのだろうか??見学終了後、この課題の非常勤である広瀬先生が設計した倉庫をコンヴァージョンしたカフェに学生と立ち寄る。

最初の講義

On April 14, 2009
by 卓 坂牛

10時40分のアサマに乗るためにぴったり1時間事務所で打ち合わせ。アサマでは最初の輪読で読む原佑『西洋哲学史』東大出版会1955を再読。前読んだときは3色ボールペン読書法が流行っていた時のようで赤、青、緑でアンダーラインや書き込みがある。その読み方はそれなりに意味があったのか読み返すと前読んだことがついこの間の如く思い返される。またやろうかな?
午後一で今年度最初の『言葉と建築』講義。ついにこのシリーズ5回目の講義となる。やはり何度かやってくると話す内容を豊にできるような気になる。夕刻は新4年生を入れたゼミイントロ。流石に人が多い。昨年から院も定員満員状態で18人の大集団である。これでは会議室でゼミが出きない。夜は新4年生と理科大から修士にきたT君の歓迎会。

死神

On April 12, 2009
by 卓 坂牛

朝から『戦後日本スタディーズ』を読む。韓国の反日の流れと大統領の施策を論じる文章があった。大統領になる人が拉致されてしまうような国であることに改めてその危うさを感じた。曇っていた天気も午後には快晴になる。少し外出しようかとも思ったが、昨日の疲れもたまり今日は家から出ないことにする。早めに風呂に入り先日ニューヨークの友達と会って話題になった伊坂幸太郎の『死神の精度』文春文庫2008を読む。死神が人間の姿に化けてもうすぐ死ぬであろう人間に会い死なせるべきか見送るべきかを調査する。1週間以内に調査書をまとめて本部に送らなければならないのだが、死神はミュージックが好きで暇さえあればCDショップに行って視聴している。短編集は好みではない、もとより小説はめったに読まないのだが、たまに読むと軽いウイットが心地よい。

生成

On April 11, 2009
by 卓 坂牛

朝9時に新宿南口で日建の先輩だったTさんに会い特急あずさに乗り途中下車。初めて降りる町である。この町出身のTさんは日建をやめて独立し、社会福祉法人の理事長をする高校の先輩Kさんから養護施設や保育所などの仕事を依頼された。全部で5つほどの施設をこの地に、そしてその関係で神奈川、九州にも同様の施設を設計することになった。この手の施設はその昔はパノプティコンだったそうだ。それがKさんの、「小規模化、個別化、地域化」という独創的な考えのものとにTさんが新たなビルディングタイプを作ってきた。そしてこのKさんがさらに新たなモデル設計をTさんに頼んだのだが、大病を患った彼は体力的に無理という理由で私を紹介することとなった。Kさんに10時半にお会いする。彼はこの手の施設の現状や国の無策、子供の成長について極めて明快にそして科学的にとうとうと語ってくれた。昼を食べ、皆で、Tさんの建てた建物を車で一件一件回る。Kさんはよくできているところ悪いところなどを丁寧に説明してくれた。昨年まで大学の教員もされていただけあって説明が論理的かつ魅力的。一日話を聞いていて飽きることがない。なるほどパノプティコンを否定して建っている建物は住宅のようである。at homeなことがかなり重要。そしてこの次に建てるのは4~5棟の分棟の施設群。国道沿いの細長い敷地に成長する建築を作らなければならない。まさに昨日見たアアルトの生成感が求められそうである。

アアルト

On April 11, 2009
by 卓 坂牛

早稲田大学での最初の講義http://www.ofda.jp/w_lecture/2009/requirement/index.php。初夏を思わせる陽気である。講義は文化構想学部2~3年生が対象の演習である。全体授業の内容を説明し、建築家という人間が何を考えているかをてっとり早く説明するために自分の設計した住宅を10個見せた。早稲田の学生は人なつっこい子が多い。講義が終わると数名雑談をしにくる。
午後事務所で明日の出張に備えて予習。夕方若松均さんが片岡君を連れて来所。昨年見てこられたフィンランド建築(つまりはアアルト)のスライド会をしていただく。事務所のスタッフなど10名くらいでサナトリウム、マイレア邸、サイナトサロの役場、実験住宅、ヘルシンキ工科大学、アトリエなどを見る。彼によれば、役場や大学などは図式が強過ぎ、マイレア邸などはその点自然な生成感が感じられ好ましいとのこと。アアルトは基本的に内部から建築を考え結果として外観が立ち現れるところが特徴的だという。なにせ僕は見たことがないので体感的なアアルトを知らない。そしてそれはスライドを見せてもらってもなかなか分かることはできないのだと思う。アアルトを見終わりまだ7時半ころだったので、ここ数年で行ったイタリア、オランダ、フランス、スペイン、とスライドショーをしていただく。まるでエルクロを10巻くらい連続的に見るような感じである。ズントーの美術館に痺れた。その後伊藤君やスタッフと食事に行く、彼はアアルトを見てきているだけに2人がアアルトについて語ると、話が立体的に浮かび上がる。2時頃帰宅。

美味しいコーヒー

On April 9, 2009
by 卓 坂牛

6時台のアサマに乗る。晴天だが早朝の長野はダウンを着ても未だ寒い。車中昨晩遅く届いたメールへの返信。社内販売のコーヒーを飲む。魔法瓶に入ったコーヒーの割に、300円は高いといつも思うのだが飲むと値段のことは忘れるし、ぬるくて不味いと感じたことは無い。車中岩崎稔、上野千鶴子、北田暁大、小森陽一、成田龍一編著『戦後日本スタディーズ③80・90年代』紀伊国屋書店2008を読み始める。内容はこのメンバーだが、政治的なものが多い。レーガン就任(81年)に始まるネオリベラルな流れが世界を包み込み、そして冷戦構造の崩壊がそれに拍車をかけた。こうした世界の一体化が80~90年代の先ずは世界的な事件なのだと思う。この時代は僕にとっては大学入学(79年)、社会人(86年)、そして社会人をやめる(98年)という、大人になってからの一区切りの20年間と言える。当時同じ世界の中で起こっていたことを振り返って歴史として眺めてみると、博物館の展示品をみるような客観的視線が芽生えるのが面白い。ゼミではこの本の次に「studio voice2006/12」90年代カルチャー特集を読む予定。世界的な政治の流れに加えにドメスティックには一般文化も建築も90年代は新たな時代でありかつ終わる時代でもあった。早朝事務所でT君と打ち合わせ、朝しか時間の余裕がないクライアントから電話、電話。そう言えばこれから始まるかもしれない仕事のクライアントである女性社長さんのメールも毎度必ず、23時台か6時台であるのが凄まじい。昼に行きつけのトンカツ屋に行くとばったり貝島父と会う。大京町に住む父君はふらり荒木町まで足を伸ばすとのこと。トンカツ屋で新宿区の景観ガイドラインをもらう。早稲田と東大と工学院の共同編纂のこのブックレットは実によくできており、新宿区を10地域に分割して、それぞれ地形、歴史、緑の観点からタイポロジー化しつつ、その味わい方が書かれている。ブックレットデザインはいま一つだが、切り口は明快。今度の小諸プロジェクトの参考にすべく、要点を抜粋して、学生にメール。

ガイダンス

On April 9, 2009
by 卓 坂牛

朝から各学年ごとに学科のガイダンスである。新しい2年生は今年から長野のキャンパス。入社式のようなものでまだ右も左も分からないようなきょとんとした目つき。3年は(僕の担任の学年)去年ずっと製図と講義を持ってきたので何となく慣れた視線である。4年は研究室所属を前にして、眼光鋭い。修士は既に付き合いも長いしなれなれしいのもいれば、だいたい来ないのも多い。
午後研究室の志望者の面接。続いて小諸市での某建物の基本構想案作りの打ち合わせ。隣の研究室と合同受託研究である。本当は実施設計まで行いたかったが、実施は地元の設計事務所にやらせたいとの意向で基本構想までである。しかし1000㎡の規模をこなしていくのだからそれなりの醍醐味があるし、小諸の歴史的街並とどう対峙するかは興味深いテーマである。終わって、面接した11人の研究室入研希望者を6名の定員に絞る。すでにもらっているポートフォリオでデザイン力。やはり既に貰っている志望動機や院での研究テーマなどから僕の研究室との整合性。卒業後の希望から建築設計者としての意志。過去の製図関連の成績から建築力。などを総合的に判断。書類は3月中にもらっていてだいぶ悩み、そして今日面接もしたものの、やはり悩む。終電で帰る予定が決めきれず、終わってみれば12時近い。

メール

On April 8, 2009
by 卓 坂牛

メール恐怖症ぎみである。コンピューターのメールを携帯に飛ばす設定としているために四六時中追っかけ回されている(という気分になる)。特に忙しい相手は気が付くと送ってくる。これがつらい。まとめて送ってくれれば考えること(あるいはスタッフへの指示)は一回で済む。4回くれば4回考え4回指示しなければならない。だがそのタイミングで両者が連絡を取り合えるとは限らない。でも相手は「伝えたぞ」という気になっている。その気になっていると言うことを想像するとこちらも焦る。つい皮肉っぽい返答をすると相手は気分を害する。電話ならそういうジャブは何気なく織り込むことができてもメールだとそんなレトリックを使ってられない。かと言って忙しい相手だと電話が通じない。通じると会議だったり、新幹線のなかだったりする。ふー困った。
夕刻バスで長野へ。車中、丸山真男『日本の思想』岩波新書を読む。この本、初版は1961年で僕の持っているのは2008年の89刷である。こう言うのを名著というのだろうか?明治開国における西洋思想受容に迫られた日本における基軸としての天皇制が語られる。このあたりは微妙な問題なので僕がいい加減に丸山の主張を記すことはできないが、開国と同時に日本が寄り縋る基軸を求めたとしても不思議ではない。西欧文化は科学的論理と抽象概念に基づくのに対して、日本のそれは以心伝心で情緒性に満ちている。この背反性ゆえに西欧文化は咀嚼され内面化されることなく、別モノとして堆積したという。この状況は天皇制の影に隠れ露わになりにくかったが、戦後の第二の開国時には天皇制という基軸を失い、この相反性はより一層深刻に露呈されたという。その当時の知識も無ければその時代を生きていない僕には客観的にことの真偽を判断できないし、実感もできないが、想像には難くない。最近戦後論が盛んで、先日読んだ吉見氏のポスト戦後社会も岩波新書のシリーズの1冊。また今年のゼミの輪読では紀伊国屋から出ているその手のシリーズ(3巻本)の80年、90年代論を読もうとしているので、さしあたってその筋の基本的名著を読んでみた。文体は古風だが内容はさすがに89刷なだけあって読み応えがある。

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