Taku Sakaushi

Diary

次はあんこう

On January 8, 2009
by 卓 坂牛

東京も寒い。今年最初の事務所出勤。仕事始めは数日前なので事務所自体は少し温まっているようで一安心。年賀状の整理。もう今日で最後だろうか。パートナーと1月のコンペの話題。柏崎のホールか?大多喜町の庁舎か?庁舎は今井兼次設計のdocomomo建築をリノヴェーション、増築するもの。プログラムは後者がいまどきのテーマだし、おもしろそうである。が審査委員が、、、、建築家は二人、古谷さんもいるのだが、委員長ではない。大半は町の人たち。浅草のコンペに感じられたことだが、どうも町の人の力が大だと選択される案がポピュリズムに流れる。それが事前に分かると、どうしても建築家のポリシーのぶつかり合いではなく、審査委員の嗜好の読み合いになる。それはちょっと勘弁願いたい。とは言うものの、やはりプログラムの面白さには勝てず大多喜町をやることにする。事務所+大学m1精鋭部隊で行こう。
最近連夜寝ると背中が痛く寝付けない。この痛みを取るべく八潮の人たちとの新年会の前に店のそばの浅草ロックス7階のスパに寄る。スチームサウナのタイルのベンチの上に仰向けに寝ていたら少し気分がよくなった。
八潮の人たちは皆大学の先生。1月の大学は卒論、修論で修羅場なのだが、それでも国際コンペをやっている研究室もあり感心した。この時期平気?という心配の声などどこ吹く風。この時期何を焦ったところで何も変わらないとどっかり構えている。ご立派。東北から、神奈川から、遠路はるばる御苦労さま。論文無事通したら2月末には日立であんこうを食うスケジュールを決めて解散。

ニコッと笑うオヤジ

On January 7, 2009
by 卓 坂牛

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Robert Frank “Hotel Lobby -Miami Beach” The Americans
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足のお皿を手術してからランニングもままならず、大好きなサッカーも出来なくなった兄は一眼デジカメに夢中となる。今日帰宅すると年末年始に会食した時の写真1ギガ分のDVDが届いていた。無精者の兄貴がこうして送ってくるところをみるとよほど撮った写真を見せたいということだろう。
その中の一枚「オヤジとオフクロ」。なかなかいい写真である。しゃべっては怒声をあげるオヤジが珍しくにこっと笑う。ロバートフランクの写真集Americansの中の一枚hotel lobbyに映る、いかついオヤジとやさしそうなオフクロの写真を思い出した。実はこの写真は僕の建築の規則「包容性と排他性」の講義で最初に映す写真である。建築にもこんないかついオヤジとやさしいオフクロがいるよという話である。その講義の結論はこれからの建築は強いオフクロたれ。であるが、ニコッと笑うオヤジたれというのもいいかもしれない。

極寒の地

On January 5, 2009
by 卓 坂牛

大学仕事始め。年を越したら長野は半端じゃなく寒い。一昨日読んでいたペンギンの話は南極での観測がメイン。読みながら極寒の地を想像し震えていたが、昨晩は暖房つけっ放しなのに震えた。これから2か月、僕にとって長野は死の季節である。朝から会議に加えて少し重い宿題。しかし今年はこういうことを上手に利用して長野での生息領域を拡張することにしたので、重いと思わず積極的に利用する。10時から学部長の年頭挨拶。日建時代の社長挨拶を思い出す。社長挨拶は冬休みに根をつめて考えたであろう思考の軌跡をそれなり感ずるものであった。それに比べると工学部長のそれは気軽なものである。まあ大学というものは組織力で戦うようなものではないのだから当たり前ではあろう。しかしこれからは大学とて一企業として戦う側面も出てくる可能性もある。そうなっては欲しくないが。
午後4年m2の梗概修正をまとめて目を通す。うーんまだ真っ赤にしたくなるものが散見される。こっちも向こうも大変だなあ。でもまあやらざるを得ない。設計はだいぶ形が見えてきた(今頃かよ??)。見えてくるとこちらも言いたい。「言ってることとやってることが違うだろう?」「やろうとしていることがすでに矛盾しているだろう?」などなど。あと三週間で完成するのだろうか?坂牛研の最初の修士設計の時は年が明けたら模型の3分の2くらいはできていていたように記憶しているのだが?記憶違いか??

美術史

On January 4, 2009
by 卓 坂牛

「建築史で語られる建築は教会か宮殿」とは誰もが言うこと。だから建築史からはみ出た建築がたくさんあり、それが実は凄いと口では言う。バーナード・ルドルフスキーの『建築家なしの建築』なんていう本の魅力を知った顔して語ったりする。でも自分は本当にそんなヴァナキュラー建築を知っているのだろうか?と少々不安。そんな不安を一層高めてくれるのが、佐藤道信『美術のアイデンティティー』吉川弘文館2007。著者曰く、美術史なるものは市民革命後の近代社会が過去の宮廷コレクションと教会文化を陳列し、さらには自国の帝国的権威を誇示するために作られたmuseumという制度の基礎を作る学なのであると言う。ということは同じ様に建築史も多かれ少なかれ(museumという制度の中にははいらねど)、自国の遺産を誇示するための分類指標であると考えて間違いなかろう。であれば権威に裏付けられたものしかここには登場しないのはやむを得ぬこと(もちろんこうした美術史は19世紀までのものでありモダニズムはそもそも教会も王権も基盤としていないのだからその分類指標も全く別物になる)。僕らはモダニズムより前の世界の建築(日本はまだ身近なので)の本当の姿を知らない。と謙虚に受け止める方が多分正しいのだろう。この美術史という制度はあまり信用しない方がいい。

写真

On January 3, 2009
by 卓 坂牛

昨番は姪っ子が泊まりに来た。今朝僕の部屋にやってきて、読み始めた本:アン=セリーヌ・イエガー著小林美香訳『写真のエッセンス』ピエ・ブックス2008を横取りして眺め始めた。小学三年生の彼女のお父さんは舞踏を取り続ける写真家である。さすがだなあと思っていると、トマス・デマンドの模型写真がお気に入りの様子。「これは模型写真なんだよ」と教えるとうなづきながら「まるでチョコレートのようね」と言う。確かにそう見える。さらにとある肖像写真を見ながら「この写真は何を伝えようとしているのだろうか?」とつぶやいた。これにはびっくりである。何時も父親が写真を見ながら「これは何を言おうとしているだろうか?」と聞くのだとか。午後事務所に寄って少し仕事。数名仕事をしていた。今日は正月、二日とは違ってかなり寒い。事務所の中も冷え込んでいる。やることを終わらせて早々に退散。風呂につかりながら佐藤克文『ペンギンもくじらも秒速2メートルで泳ぐ』光文社新書2007を読む。水中動物に測定器をつけて体温、水温、深度、加速度などを測定する。こうしたデーター取得に基づく生物学はバイオロギングサイエンスと呼ばれ、生物研究のフロンティアなのだそうだ。観測するなんていうことは小学校の理科程度のたいして知恵も能力も不要な学問の基礎のように思われるが、南極の海中でしかできないこととなった瞬間それはとんでもない高度で国家的(大学的?)科学になるというのも不思議なものかも(言い過ぎか?)?

2日恒例

On January 2, 2009
by 卓 坂牛

夕方まで昨日読み始めた『歴史の終わり』下巻を読む。夜は1月2日恒例となったかみさんの兄姉その家族との会食。今年は渋谷の中華料理。渋谷ハチ公前あたりはすでに混雑し始めている。副都心線ができたおかげで渋谷まで10分で行けるようになった。なんのためにできた電車かいまだによくわからないが、とりあえずわずかだが便利になった。中華の後は子供も多いのでボーリング。10年ぶりくらいだろうか?2ゲームしかやっていないが腰が痛い。

「認知」

On January 1, 2009
by 卓 坂牛

あけましておめでとう。9時頃起きて居間に行く。差し込む光が快晴を知らせる。天気の悪い正月は記憶にない。エントランスの集合ポストと事務所のポストから年賀状を回収。送ってくれた方、本当にありがとうございます。年賀状を見ながら雑煮を食べて、浅草に出かける。雷門の前は異常な人出。とても参拝できるような状態ではないので側道を通り本堂の横まで行きそこから拝む。おみくじを買ったら吉。娘は凶。浅草寺は凶が多いらしく、あちこちで「凶だあ!」と嘆きの声が上がっていた。4時頃、恒例のふぐ鍋。親父は相変わらず元気。煩いくらいよくしゃべる。兄貴は新しい一眼デジカメに熱狂。義姉は未だにサッカーをしているそうで素晴らしい。甥っ子は学院から早稲田建築に希望中。拙著を謹呈。食後親父たちを表参道に送りがてらヒルズをぶらつく。1日から開いているとは商売熱心。帰宅後フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』下巻三笠書房1992を読む。ヘーゲルとコジェーブを引きながら人類の基本的欲望には「認知」へのそれがあることを力説する。自己保存のみを主張するホッブスに代表される当時のアメリカネオコンに見られるアングロサクソン的思考を批判。他人からの「認知」を得たいという欲望は確か 姜尚中もエッセイのなかで説いていた。そして僕もそう思う。そしてその欲望がある程度の人間同士の調停を生む。

大晦日

On December 31, 2008
by 卓 坂牛

家族でred cliffを見た。三国志である。日本人二人が出演。諸葛孔明役に金城武、甘興役の中村獅童。中国語をしゃべっていたがうまいのか下手なのかわからない。画像の迫力はすごいものがあるが、これでもかというほどのしつこい演出(戦いシーンがとにかく長くて飽きてくる)が北京オリンピックの開会式を連想させた。今回の映画はpart1。part2は来年4月放映だそうだ。商売上手である。夜は兄貴家族、親父オフクロと恒例の会食。六本木も青山もまるでゴーストタウンのように人がいない。タクシーの運転手も今年は街に人がまるでいませんと驚いていた。

来年はいい年に

On December 31, 2008
by 卓 坂牛

今日は朝から我が家の大掃除。先ずは自分の書斎。ここに引っ越した時に本棚だけは注文作りつけで大容量のはずだが限界。減る量より増える量の方が多いのだからいつかはあふれる。そんな分かり切った現実の前に呆然とするのだが、とにかく捨てるべき本を探す。まず小説類。村上春樹を娘に渡したら「村上春樹は高2まで読まない」と宣言された。では2年後にどうぞと言って娘の本棚に(強引)。残りは数冊かみさんへ。段ボール一箱分くらい見つけ出し地下のごみ置き場へ運ぶ。さてこれからが問題。ヴァールブルクになった気分で本棚の分類を再考。テプラを片手に新たな分類項目を増やしたり、減らしたり。机の上に積まれた大量の未読本をなんとか机脇の本棚に。午前中一杯かかったがなんとか終わる。そして場所はバルコニーへ。プラントボックスを移動し(これがメチャ重い)、底にたまった土や枯葉を掃き出す。そして中性洗剤とデッキブラシで1時間タイル磨き。それほどきれいにはならないがよしとする。次は風呂場。ドアのガラリが腐っている。取り外しでゴミをとって塗装し直し。タイル目地をカビキラーでこする。浴槽はバスマジックリンをかけてスポンジがけ。このあたりでもう体力の限界。そのまま浴槽に湯をはって入浴。ああ今日もよく働いた。
着替えて忘年会に。奥山氏、塚本夫妻、萩原氏、柳澤夫妻、木島氏。柳の塩尻は着工したそうだ。めでたし。笑い話が尽きないがリーマンショックは少なからずそれぞれに影響があったようである。しかしそんな話も笑いのネタに。来年は物価降下が工費に現れるはず。12月には1割はさがるとか。ポジティブシンキングで逆境をはね返したいところである。

はかなさ

On December 29, 2008
by 卓 坂牛

松岡正剛『日本と言う方法』で仮名のことを読んだら興味が湧いた。かみさんの書架から古今和歌集を引っ張り出して読み始める。この程度の和歌なら注釈なしでもだいたいの意味は分かるし百人一首にのっているものもあるから身近である。文庫本で4冊もあり少々量は多いがずっと読んでいくと松岡が言うように「はかなさ」が美意識の根底に流れていることがよく分かる。気に入った和歌をいくつかノートに書き写す。最初の6巻は季節ごとの歌だが春と秋が多く2巻ずつ。万葉集と新古今の歌とも比べてみるとそのテーマもそうだが字も変化していることに気づくのだろう。
午後銀行行ったり郵便局行ったり、雑用を終わらせる。既に仕事は納めたつもりだったがやり残したこともあり事務所に。スタッフも数名来ていた。k-projectの担当T君は「現場に行って来ます」と出て行った。そうか現場は今日までである。九州の担当者と電話で話をして工務店に電話。まあこの仕事には振り回されっぱなしだが来年はうまくいくとありがたい。新年の祈願の一つである。年明けに大学へ出す書類を作り終えて帰宅。義姉が来ておりかみさんの着付けを手伝っていた。皆でピザをとって夕食。食後フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』上巻三笠書房1992を読む。アメリカ右傾化の一連の本を読んでいた時に買って読もうと思っていたのだが、上巻が絶版ので、古本屋に頼んでいたら今になってしまった。コジェーブの弟子だけあってヘーゲル解釈は入念(?)と誰かが言っていた。しかし読んでいるといささか牽強付会に聞こえる部分もある。

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