Taku Sakaushi

Diary

撮影

On November 15, 2007
by 卓 坂牛

11月14日
下町に建つ木造3階建ての住宅が完成し事務所検査を行なった。昨年の秋口ぐらいから設計を開始して丁度1年で完成である。僕等の事務所の仕事としては1年で完成はとても早い。普通は1年半はかかる。去年設計を始めた頃は建築に愛想を尽かすようなできごとが3つも重なり意気消沈しており、あまり細かいことに気を使うのではなくおおらかにのんびり(と言っても時間的な問題ではなく)設計したいと思っていた。そして完成して検査をしているとそんな気持ちの現れを随所に感じた。10+1のビデオ撮影に萩原さんが、竣工写真撮影に上田さんが来られた。お二人には前作角窓の家の時も来ていただいている。萩原さんからは「今年はたくさん作られましたか?」と聞かれ「いえこれ一つです」と言いながら「ああもっと作りたいなあ」としみじみ思った。上田さんは相変わらず「うわー格好いいなあ」とお世辞を言いながら6×9と新しく買ったデジカメで手際よく撮影を開始した。萩原さんは午前で撮影を終えた。このビデオ映像は10+1のウエブサイトに年末乗っかる予定。「10+1の廃刊はひどいものだ」と嘆くと「雑誌というものはいつかは終わります」と淡々と語っておられた。大人である。午後エクスノレッジの佐藤さんが来られしばらくお話した。夕刻までは撮影は中断だから丁度いい。5時頃夕景をとる。この時間はいつも忙しい。夕刻の丁度いい光は15分くらいしか無いからである。この間に3カットくらいカメラを移動しながら撮るのは見ている方もちょっと緊張するものである。

プロスペクター

On November 13, 2007
by 卓 坂牛

プロスペクターの展覧会を覗く。おっと建築と言うよりはアーティストの個展の風景である。しかもなかなか高度である。彼等の妻有の足湯プロジェクトの巨大な造作が平面的に台の上に置かれているのである。これは凄まじい。建築については小さくプロジェクターから壁面に映し出されていた。展覧会場の片隅に置かれたA4のペーパーにはこの展覧会のコンセプトである「建築の演算、都市の演算」の説明が記されている。「2、演算的であるとは、計画的でもなく偶発的でもなく、かつそのどちらでもあるような思考の全体である」というなかなか魅力的な言葉が連なっている。そしてその演算子は異化、交接、反復、転用、合成でありその演算の可能性は2の五乗で32に通りとなりそれらが彼等のプラットフォームということだ。なるほど。理論的にはよくわかる。しかしそのリアリティは果たしてどのような地平に現れてくるのだろうか?彼等のことだからアメーバーの如くいたるところにその可能性を発露させるのだろうが。
先日韓国のデザイン誌bobがofdaの特集を組みたいとメールしてきた。締め切りは明日ということで事務所では必死に英文の作成中である。40ページもくれると言うのだがどんな雑誌になるのだろうか?プロスペクターに負けないようなものになるだろうか????

両立

On November 12, 2007
by 卓 坂牛

2年生の講義のブログに3年生、4年生、院生らのコメントがありとても嬉しい。こうして大学のレベルは上がるのである。僕の役割はそうしたレールを敷くことにあるのだと思う。そして後は皆で作り上げるという気持ちが大事である。
大学の時にスキー部の幹部を任命され上手くも無いからそれはできぬと固辞したのだがobの圧力で強引にやらされた。もちろん一番いいタイムが出せなければダメだとは思わないが、そこそこでなければ務まらないはずである。教師もそうである。力が無ければ教える資格はない。教えるためには自力をつけないと、息切れしないうちに。

後悔先に立たず

On November 11, 2007
by 卓 坂牛

ぐずついた天気。一週間ほど前に買って積んどいた『情報○○』という衝撃的なタイトルの本をぺらぺら読んでみた。広告代理店の管理職が著者である。しかし全く面白くない。内容はあまりに当たり前。奥が浅い。ああ1800円損をした。大後悔。人生は限りがある。こう言う本に当たるのは地雷を踏むようなもの。夕刻新聞ちらしの入っていた市ヶ谷のレストランに出かける。家具屋が売り物の家具を使ってレストランをしているのだ。傷つけたらどうするのだろうか結構不思議な形態のビジネスである。

偶然

On November 11, 2007
by 卓 坂牛

11月10日
長野の天候は荒れ模様。風が強いのでひどく寒く感じる。午後日本技術史教育学会の総会でお話をさせていただいた。技術と美の統合というテーマでお話した。技術史においてはあまり美の問題は語られてこなかったということを強調したせいか、終わってからの懇親会でとある先生にそんなことはないと言われた。その先生は大学時代は飛行機の設計をされていたそうで恩師からは常に「美しい物は機能的である」と教わったそうだ。よく「機能的なものは美しい」と言われるのだがその逆を言う人は珍しい。更にその方が柳田博昭(テクノデモクラシーの提唱者であり今日の話でも登場した)は西高時代の同級生だとおっしゃる。更に奇遇なのはその方の家を設計されたのは私の高校の先輩のよく知った建築家であった。いろいろな偶然があるものだ。

均斉のルール

On November 9, 2007
by 卓 坂牛

今年に入ってからかみさんが書道の創作を再開した。子供が生まれてから最近までは教えることだけに専念していたのだが子供も成長し、時間にゆとりができたことも手伝い展覧会に向けての創作活動を始めたわけである。それ以来我が家の居間は創作場となり床には大きな黒い毛氈が敷かれ、テラスに面した大きなガラスには横40センチ高さ2メートルくらいの紙が5~6枚常にぶら下がっている。そこに大字が4文字から5文字書かれている。4文字か5文字かというのは素人が見ていると大した差を感じないのだが玄人に言わせるとぜんぜん違うものなのだそうだ。5文字を「作品」にするのには余程の力量が必要だと言う。「へー」と思う。その理由は皆目見当がつかない。紙の大きさに対する字のバランスの安定感みたいなことなのだろうか。はたまた墨の持ちみたいなことなのだろうか??
8本建つべきギリシア神殿の列柱が同じ平面形と立面のままで6本にすることは古典主義のルールとしては多分ありえない。厳密な比例で作られているはずであるから。しかし例えばパリのパンテオンなどを見ると柱は6本で柱間はいように長い。でも名建築と言われる全体感を持っている(と言われている)。ここではルール自体が変わって新たな正しさが生まれているのである。つまり書道だってこの紙に5文字書くという新たなルールが作られればそれは美しさや均整の問題ではなく新たな正しさが生まれるということなのではなかろうか、、、墨の匂いの充満する我が家で夜な夜な書を見ながら建築を思うこの頃である。

よく考える

On November 8, 2007
by 卓 坂牛

一日事務所から出ずに、原稿修正したり、中国の話したり、茶室の話したり、少し形をいじくることから離れていたのだが、また頭がそのモードに戻ってきた。形も文字も同じだな。一生懸命考えないといいものは出てこないし、諦めるとそれだけのことで終わってしまう。

視覚

On November 7, 2007
by 卓 坂牛

なるほどアルパースという人はジョナサン・クレーリーと並んで視覚の発掘者なのだそうだ。それまでの近代的視覚の定説はマクルーハンの活字文化論でありパノフスキーの遠近法、そしてマンフォードのバロック都市、西洋近代哲学の本質を「見ることに」に見るローティーなどである。そうだよなあ、マーティンジェイがあげた近代の3つの視覚が遠近法とバロックとオランダ17世紀美術の視覚と書いているのを読んだときはちょっとビックリした。この初めて登場してくるオランダ美術が驚きだった。このオランダ美術的視覚を発掘したのがアルパースだったのである。丸善から届いた『視覚と近代』大林信治・山中浩二著、名古屋大学出版会2000を読むとこのあたりの視覚の系譜が丁寧に説明されている。そもそも考えてみれば僕の20年以上前の卒論は遠近法とアクソメがテーマでありその意味で視覚だったのである。最近まで視覚なんてこの二つだと思っていたが浅はかである。しかし再びこのテーマに再会したのはなんとも嬉しい。少し掘り下げてみたいところである。

手探り

On November 6, 2007
by 卓 坂牛

東京駅に大丸がオープンした。オープン初日で大混雑のようである。地下街も新しくなったとのこと。連続する八重洲地下街も相乗効果だろうか?大丸が入るタワーともう一本タワーができたようだ。どちらも多分に日建が設計したようである。透明感の高いガラス張りだが少々マンネリ化しているような気がする。本屋により視覚関係の本を三冊と昨日話題になった権力の住宅史を探るため日本住宅史それから新時代のマーケティングの本を購入宅配に頼む。丸善は1万以上で宅配ただにしてくれるので楽である。事務所に戻り作品シートのチェックをした後中国工場の開口部のエスキスをチェックうする。模型も100分の1ナカジも中国の施工力に疑心暗鬼で恐る恐るのデザインになってきているので当初のデザインに引き戻すべく二人でエレベーションを修正。とにかくこのプランとエレベを修正して今日中に中国に送らなければならない。イヤ本当に手探りである。

新しいゼミ

On November 6, 2007
by 卓 坂牛

11月7日
新しいゼミ「建築の条件」を今日から始めた。これは建築の社会構築的側面を浮き彫りにしようというこころみである。8つのテーマを決めて7人の修士一年生が一つのテーマを毎回パワポにまとめて発表するというものである。8つのテーマとは1)男性的(◎)であること⇔女性性 2) 永遠的(◎)であること⇔消費性(エロチシズム・セクシュアリティ) 3)写真的(◎)であること(フォトジェニック) ⇔体感性 4)階級的(◎)であること(格差の表現) ⇔匿名性 5)グローバル(◎)であること(世界標準) ⇔地域性 6)主体的(美的)(◎)であること(商品化建築家)⇔他者依存性 7)道徳的(◎)であること(正しいことの強さ)⇔悪党性 8)アート的であること(建築の可能性) ⇔初源性 なる8つである。今日の発表を聞いていると、テーマを対義語でまとめる「建築の規則」方式なのだが、どうも対義語になっていないものが多い。例えば今日やった階級的であることの反対が匿名性というのは確かにおかしい、、、ゼミ終了後皆で食事。

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