Taku Sakaushi

Diary

ラスムッセン

On November 5, 2007
by 卓 坂牛

11月4日
午前中でとりあえず作業中のパワポが完成したので東現美に散歩。space for your futur展を覗く。石上純也の作品はなんとも言えず良かった。大きいものに弱いなあ。帰宅してゆっくり風呂につかりながら読み残していた有吉さんのフェルメールを読みきり、さて出勤。車中明日のゼミにと思いラスムッセンの『経験としての建築』美術出版社1966という古い本を読む。この本は原書の初版は1957年。僕が生まれる前である。建築を形態や様式で分析するのではなく、現象的に捉えようとしたものとしては、一連のノベルグ=シュルツのものが有名だが、多分それに先行するのではないだろうか。ラスムッセンはあのウッツォンの先生であり、ラスムッセンにしてウッツォンありということがよくわかる(確かこの本もテクトニックカルチャーでフランプトンがウッツォンの実存的側面を評価していたことに関連して参考文献としてのっていたから購入した記憶がある)。

秋晴れ

On November 3, 2007
by 卓 坂牛

秋晴れである。週末の講演会の材料集め。古い話だが横断道路の換気塔のことを少し話そうと思いエスキースでたくさんつくった粘土の模型写真を探したが見つからない。あるとき日建時代の資料やら写真やら思い切ってたくさん捨ててしまった。しかしああいうものはキチンと保存しておかなければいけないとつくづく思う。天気も良いので作業は一時中断。娘の学校の文化祭を見に行く。学校は早稲田大学文学部の隣近所。今日は早稲田も文化祭なのでこのあたりはとてもにぎやかである。娘のブロックフレーテの合奏を聴き帰宅。夜また講演会の材料集め。捨てたと思っていた写真をスライドで発見。フィルムスキャンを10枚ほどする。パワポが約30枚。こんなものだろう。だが内容がまだスムーズではない。タイトルは「建築における技術と美の統合」相手は機械の専門家。「住宅は住むための機械である」から話を始めようかなあ??

アサマ通勤

On November 2, 2007
by 卓 坂牛

2コマめの講義にあわせてアサマに飛び乗る。車中山本学治の『現代建築と技術』を読んだ。この本よく見れば初版が昭和38年である。その中で彼は建築家の仕事は機能的特性と技術的特性そして視覚的特性を結びつける一貫性こそ建築的統一であると述べている。やはりここでもウィトルウィウス以来の用・強・美ということである。しかしこう言う総合的視点の持ち主は現代のアカデミックな世界の中にはいないなあと改めてこの人の偉大さを思う。午前中の講義を終えて午後は製図。住宅設計は3回目のエスキス。終わったら7時ころになってしまった。1時間も延長。ぶらぶら駅に。運良く7時半の電車があった。駅弁を食べながら読みかけだった中島純一の『流行の心理』金子書房2003を読む。その中にアメリカの社会学者ボガーダスの流行分類表がのっていた。そこには建築も対象として取り上げられていたのがビックリである。

十和田市美術館

On November 2, 2007
by 卓 坂牛

十和田市美術館のオープニングパンフレットが郵送されてきた。と言っても開館は来年の4月26日。だいぶ先である。十和田市は母の実家のあるところ。とても鄙びた田舎である。こんなかっこいい美術館ができても人は行くのだろうか????しかし少なからず嬉しい。親戚もたくさんいるしどんな感想を持つのか聞いてみたいところである。

古谷さん優勝

On November 1, 2007
by 卓 坂牛

現場から事務所。打ち合わせの後原稿書いていたら夜である。ふと小布施町のホームページを見たら古谷さんがコンペに当選したことが速報されていた。そうだったかあ。
昨日の長野市の建築家の方の言葉を思い出す。松本へ行く道すがらキャンパス計画を手伝ってくれている彼女は「私は古谷さんがいいなあ」と言っていたのである。どうしてと聞くと、「伊東さんのは小布施とは何の関係もないし伊東ワールドができるだけ」というのである。古谷さんのだってそれほど小布施ぽいわけではないでしょう?と聞くと「今の形は確かにそうだけど町民と一緒に作っていこうと言う意識が感じられる」と言うのである。うーん。
これからのコンペはエゴがまかり通ることはないということであろうか。審査員の一人に町民代表がいたそうだが、そういう方の発言力が更に増すのであろうか?建築家はある意味でトランスレーターであろうと思っているがそれにも限度がある。少なくとも生きたトランスレーターである。電子辞書のようにならないように気をつけなければ。

キャンパス計画

On October 31, 2007
by 卓 坂牛

昼に松本へキャンパス計画のミーティング。新しい施設課長が二人来られる。一人は東工大から、一人は文科省からである。そろそろ全体のまとめを睨んでこの手の会議では結構活発な議論が行なわれる。しかしたまに施設課は他力本願役人体質が出るときがある。いかんともしがたい。私としてはそういう時はひそかに切れている。密かにと抑制をかけつつ明らかに、顔に出ているようだが。私の大人気ないところである。しかしこれは本能なので仕方ない。まあとはいえ無口な「しゃんしゃん会議」よりかは遥かに意味のある会議である。
終了したら既に暗い。腹が減って学食で夕飯をとり駅へ。特急あずさは出たばかり。高速バスで東京へ。曙橋でスタッフの平井君とすれ違い。「事務所は無人ですよ」と声をかけられ、事務所に寄らず帰宅。

小布施のコンペ

On October 30, 2007
by 卓 坂牛

夕方学生に連れられ小布施町の図書館コンペの公開審査会を覗いた。160名から選ばれた5名がプレゼンを行なうという。5人に残っているのは古谷、伊東、隈、新井、藤原というベテランの方々である。最初学生がこのヒアリングのことを知らせるために持ってきたネットからのプリントアウトを見て驚いた。田舎の1,000㎡の施設にしては凄い審査員の顔ぶれだと。しかしよくよく見れば選ばれた方々ではないか!!!プロポーザルの提出書類に実績表があったからだろうと帰りがけに会った某出版社の方が言っていた。そうかもしれない。皆さんこの手の施設実績は十分である。しかし巨大施設ではないだろうし、もう少し新人の可能性を評価できるシステムにしてはどうなのだろうか?国交省型のプロポ基準はもういい加減に止めたらと思わなくも無い。
しかし、プレゼンはとても面白かった、短期間であったろうが5名のプレゼンにはエネルギーを感じた。しかしコストが厳しいせいか皆抑えた提案だったように思う。僕なりの感想は次のとおりである。藤原さんの案は何の提案も見られないので建築家の審査員には評価されないだろう。隈さんの案は路地と分棟。小布施的なのかもしれないが、管理に難あり。新井さんの案は敷地段差をスロープ状の図書館とすることで逆手にとり面白い。しかし上がりきったところが普段あまり使われない隣接ホールに繋がっておりやや理不尽。古谷さんの案は一番きれいになりそう。しかし駅と結ぶと言うわりには結ばれているようには見えない。森を作るというわりには建築が敷地一杯に建っていて植樹スペースが足りない。こうした4人のデメリットに比べ、伊東さんの案は欠点が少ない。誰も質問しなかった構造とトップライトのあたりの謎を除けば、最も提案性が強く、分かりやすかった。戦い慣れている。

17世紀オランダ美術

On October 29, 2007
by 卓 坂牛

10月28日
すっかり17世紀オランダ絵画のとりこになってしまった。発端は国立新美術館の展覧界だが、その後有吉さんのフェルメールを読み、マーティン・ジェイが17世紀オランダ美術の視覚を近代3大視覚の一つにとりあげていたからである。そしてこのジェイの主張を裏付けているのはは出版ともに美術史界に物議をかもしたスヴェトラーナ・アルパースの『描写の芸術ー17世紀のオランダ絵画』ありな書房1995(1983)である。残念ながらこの本は絶版で見つからないのだが、ありがたいことに四谷図書館にあり午後自転車で出かける。今日は台風が通り過ぎ穏やかないい日である。アルパースは17世紀オランダ美術をイタリア美術を評価する視点で見る過ちを説く。そして当時オランダの視覚特質をオランダ総督の秘書コンスタンティン・ハイヘンスの膨大な資料を読み解くことから始める。ハイヘンスはイタリア人文主義を擁護するかたわら、当時の科学的発明である顕微鏡、望遠鏡に夢中になり自らその収集家となる。アルパースは次にケプラーの発見に言及し、網膜上の像と視覚表象の差を明確にしたことをとりあげる。
ここまでしかまだ読んでいないのだが要するに、こうした当時オランダの文化的コンテクストは絵画というものの社会的位置づけをイタリアのそれとは大きく変更し、神学的、物語的なものから、日常的、観察的、写真的なものへ移行したというのである。
こうした芸術の社会構築的な説明のしかたは必ずしも100%正しいとは限らないのだが、しかし僕は個人的には興味があるし、きっとそうなのだろうと思っている。

台風

On October 27, 2007
by 卓 坂牛

朝から自分の部屋に閉じこもり机の上の整理をはじめる。部屋を片付けるのにうってつけの天気(台風)である。読んでない本と読んだ本と読みかけの本を分ける。読んだ物は本棚へ、読んでないのものは脇に寄せ、読みかけは、どうでもよいものは本棚へ、残りが気になる物は読みきり、残りも重要そうなものは未読で脇に、そしてとりあえず床に移動。机の上を先ず空にして原稿書くのに必要そうな本だけ机に戻す。更に必要そうな本を本棚から引っ張り出して並べる。それらを眺めながらコンピューターに向かい筋を作る。
半分できたところで、少し休憩。先日スタバで買った紅茶を入れるようなコーヒーメーカーでコーヒーを入れる。これが結構美味しく出る。調子に乗ってたくさん作っていたら、豆が切れた。今日は台風だしとても豆を買いに外に出る気にはなれない。仕方なく紅茶を飲む。
コーヒー飲んでまた必要な本とにらめっこ、合間にアドルノの『美の理論』を眺める。そう読むのではなく眺める。この本はしばし絶版で古本屋にもなかったのだが新装で登場した。先日本屋に積んであったので眼を疑ったが本物。しかし1万2千円もするのには驚いた。しかしここでケチるわけにもいかず、買って飾ってあるのである。それでたまにこうして眺めている。何時読めるだろうか???

視覚

On October 27, 2007
by 卓 坂牛

アサマの最終に乗り東京へ。帰路マーティン・ジェイの「近代性における複数の『視の制度』」ハル・フォスター編『視覚論』平凡社2007所収を読む。マーティンによれば、近代を支配した視覚は主として3つある。一つはデカルト的遠近法主義。これはさもありなんである。二つ目を飛ばし、三つめはバロックである。これはヴェルフリンを引き合いに出して説明される。これは近代の視覚と言えばそうだが特にモダニズムの基盤となった視覚と一般には言われていないと思われる(マーティンの「近代」という言葉の射程が曖昧ではあるが)。90年代後半でこそバロック的なものが世に多く登場してはいるのだがこのテクストが書かれたのは1987年以前ということを考えると時代を先取りしていると言えなくも無い。しかしそれにしてもこの二つはよしとして、この二つにはさまれた二つ目の視覚は予想外である。それは主体性が強調されたデカルト的遠近法に対して、同じ遠近法ではあるが主体性が欠如して見られるものの物語性が喪失した17世紀のオランダ美術の視覚だと言うのである。その典型としてあげられるのがフェルメールである。マーティンはスヴェトラーナ・アルパースのフェルメールの描写術の説明を引用するのだが、要はフェルメールの描き方の特徴はルネッサンスに比べて構図がランダムであり、対象は多数、対象の輪郭よりかその表面の物質感が重要だとするのである。言われてみれば確かにそのとおりなのだがこれがモダニズムを支えていた視覚の典型かと言われるとこれもやや疑問であり、むしろこれまた恐ろしく今日的で87年という年代を考えると時代を先取りしていると思えるのである。面白い論考に興奮しているうちに東京。
東京は長野同様雨のようだがかなり気温が高い。行く時着ていたウールのジャケットは東京では着ていられない。この季節は当分着るものに苦労しそうである。

« Previous Page Next Page »

Archives

  • October 2024
  • September 2024
  • August 2024
  • July 2024
  • June 2024
  • May 2024
  • April 2024
  • March 2024
  • February 2024
  • January 2024
  • December 2023
  • November 2023
  • October 2023
  • September 2023
  • August 2023
  • July 2023
  • June 2023
  • May 2023
  • April 2023
  • March 2023
  • February 2023
  • January 2023
  • December 2022
  • November 2022
  • October 2022
  • September 2022
  • August 2022
  • July 2022
  • June 2022
  • May 2022
  • April 2022
  • March 2022
  • February 2022
  • January 2022
  • December 2021
  • November 2021
  • October 2021
  • September 2021
  • August 2021
  • July 2021
  • June 2021
  • May 2021
  • April 2021
  • March 2021
  • February 2021
  • January 2021
  • December 2020
  • November 2020
  • October 2020
  • September 2020
  • August 2020
  • July 2020
  • June 2020
  • May 2020
  • April 2020
  • March 2020
  • February 2020
  • January 2020
  • December 2019
  • November 2019
  • October 2019
  • September 2019
  • August 2019
  • July 2019
  • June 2019
  • May 2019
  • April 2019
  • March 2019
  • February 2019
  • January 2019
  • December 2018
  • November 2018
  • October 2018
  • September 2018
  • August 2018
  • July 2018
  • June 2018
  • May 2018
  • April 2018
  • March 2018
  • February 2018
  • January 2018
  • December 2017
  • November 2017
  • October 2017
  • September 2017
  • August 2017
  • July 2017
  • June 2017
  • May 2017
  • April 2017
  • March 2017
  • February 2017
  • January 2017
  • December 2016
  • November 2016
  • October 2016
  • September 2016
  • August 2016
  • July 2016
  • June 2016
  • May 2016
  • April 2016
  • March 2016
  • February 2016
  • January 2016
  • December 2015
  • November 2015
  • October 2015
  • September 2015
  • August 2015
  • July 2015
  • June 2015
  • May 2015
  • April 2015
  • March 2015
  • February 2015
  • January 2015
  • December 2014
  • November 2014
  • October 2014
  • September 2014
  • August 2014
  • July 2014
  • June 2014
  • May 2014
  • April 2014
  • March 2014
  • February 2014
  • January 2014
  • December 2013
  • November 2013
  • October 2013
  • September 2013
  • August 2013
  • July 2013
  • June 2013
  • May 2013
  • April 2013
  • March 2013
  • February 2013
  • January 2013
  • December 2012
  • November 2012
  • October 2012
  • September 2012
  • August 2012
  • July 2012
  • June 2012
  • May 2012
  • April 2012
  • March 2012
  • February 2012
  • January 2012
  • December 2011
  • November 2011
  • October 2011
  • September 2011
  • August 2011
  • July 2011
  • June 2011
  • May 2011
  • April 2011
  • March 2011
  • February 2011
  • January 2011
  • December 2010
  • November 2010
  • October 2010
  • September 2010
  • August 2010
  • July 2010
  • June 2010
  • May 2010
  • April 2010
  • March 2010
  • February 2010
  • January 2010
  • December 2009
  • November 2009
  • October 2009
  • September 2009
  • August 2009
  • July 2009
  • June 2009
  • May 2009
  • April 2009
  • March 2009
  • February 2009
  • January 2009
  • December 2008
  • November 2008
  • October 2008
  • September 2008
  • August 2008
  • July 2008
  • June 2008
  • May 2008
  • April 2008
  • March 2008
  • February 2008
  • January 2008
  • December 2007
  • November 2007
  • October 2007
  • September 2007
  • August 2007
  • July 2007
  • June 2007
  • May 2007
  • April 2007
  • March 2007
  • February 2007
  • January 2007
  • December 2006
  • November 2006
  • October 2006
  • September 2006
  • August 2006
  • July 2006
  • June 2006
  • May 2006
  • April 2006
  • March 2006
  • February 2006
  • January 2006
  • December 2005
  • November 2005
  • October 2005
  • Home
  • About
    • Profile
    • Team
  • Works
  • Blog
    • Text
    • Column
  • Contact
  • University
    • Lab
    • Lecture
  • O.F.D.A Home
  • #

© Copyright 2016 O.F.D.A.