Taku Sakaushi

Diary

新潟県中越沖地震

On July 16, 2007
by 卓 坂牛

朝9時に大学を出発して一路長岡。コンペの敷地調査に向かう。高速に乗り1時間突如前方の車のストップランプが光る。止まった。動かない。5分、10分。前方の車の運転手たちが降り始めた。そのとき携帯が振動する。かみさんである。「大丈夫?」という声に「何が?」と答える。「地震」「どこで?」「長野も震度5よ」「へー、今長岡に向かう途中なんだけど」「・・・・・うそでしょう」「なんで」「新潟はもっとひどいよ」「ふーん」。しばらくすると車は動くが高速を閉鎖するとの電光表示。降りたところが柏崎近く。また携帯が鳴る。「着いた?」「いや柏崎」「・・・・・そこ一番危ないみたい。朝からニュースは柏崎よ」そうなんだ。案の定市内に入ると動かない。コンビニに駆け込み地図を買う。店内はショーケースが倒れ、酒瓶は落下し割れて床はアルコール。雑誌は散乱。トイレは断水で使えず。道路は地割れ、橋のジョイントはのきなみ段差。信号は倒れ、倒壊家屋も数軒目にする。取材のテレビやら新聞社やら。空中にはトンボのようにヘリが低空飛行。朝日の友人に電話をすると何でもいいから写真を送れとのこと。院生が撮ったコンビに風景を写メールで送る。「これ使える。とりあえず写真部にまわすよ」とのこと。いやはや。出発してから7時間。長岡に到着。着いただけでもありがたい。なんとか現地調査ができる時刻。ここも震度6だったはずだがその痕跡はあまり見られない。帰り道は快調とはいえないものの何とか今日中に大学に戻ることができた。ほっとした。

学会二日目

On July 15, 2007
by 卓 坂牛

昨晩考え事をしていたら殆ど眠ることができなかった。そのせいか今朝も体調は悪い。持病が治らないせいもあるのだが、体からエネルギーが吸い取られていくようである。今日は午前中学会の研究発表会の司会。昼食富山大学に赴任されている貴志先生と大学の後輩である横山君と昼食。貴志先生も大学から事務所まで4時間かかると嘆いていた。午後はシンポジオンに出席。学生の自主的活動に耳を傾ける。がんばる子はがんばっているものである。JRに就職した中尾君が今回の発表のためにわざわざ長野に来てくれた。嬉しいことである。夕食をともにし、再会を期して分かれた。夕食後研究室で読書しようと思ったが考え事が頭をもたげ進まないので学生のレポートを読みながら自分のコメントを書いてみた。構造についてである。http://ofda.jp/lab/lecture/word2007/bbs/2007/07/12.html
<最後のコメント>

工場

On July 15, 2007
by 卓 坂牛

7月14日
建築学会の北陸支部大会を信大で行なう。初日である。開催大学ということもあり準備に追われてきたが、初日はなんとか終わった。総合司会を行なう。北陸建築文化賞の表彰後受賞者のプレゼンテーションを聞く。4つの賞のうち3つがスーパーゼネコンで皆工場施設であったのが印象的である。工場が効率性を剥き出しにした機械そのものであった時代は終わりを告げた感がある。生産の場は環境と一体となった農業的様相を呈してくるのかもしれない。第二次産業の第一次産業化である。
しかし賞を取るだけのことはあってこれらの作品のレベルは高い。特にそのディテールの質の高さは敬服する。

研修生

On July 14, 2007
by 卓 坂牛

7月13日
朝一の講義。最近の東京の学生は行儀が悪い。授業中に平気で室内外を往来する。小学生ではあるまいしこう言うのが普通なのだろうか?友人にその話をすると最近の新入社員は学歴は高いがとにかく躾られていないと嘆く。先輩と食事というと先輩が最初に来て新入社員は三々五々やってきて遅刻を詫びるでもなく飲み食いして帰っていくとのこと。何かが教えられていないということだろう。講義後現場。現場には一昨日ofdaに到着したアーヘン工科大学からの研修生ヘンリケが来る予定。初めて会った。身長はぼくよりも高く177 もあるそうだがまだ大学3年生で表情にあどけなさが残る。現場では所長が「グーテンモルゲン」と挨拶したのには驚いた。ヘンリケは大喜びである。午後事務所に戻りリーテムに打ち合わせに行く、中国から来る質疑その他の書類のピントがずれているのにはほとほと閉口する。どうしたらよいものか思案。良い解答はない。しばらく地道に交信することにする。明日からの学会に備え今日長野入りしなければならないのだが、その前に来週転勤で渡欧する友人と夕食。最終に飛び乗る。車中佐藤俊樹・友枝敏雄編『言説分析の可能性』東信堂2006を読む。なんだかやたらと面倒臭い本である。

建て方

On July 12, 2007
by 卓 坂牛

朝6時半の新幹線に飛び乗る。昨日の寝不足のせいか新幹線社中は熟睡。帰宅し少し休み現場へ。今日は朝から建て方である。木造三階建ての建て方はじめて見る。小さめのクレーンを使いプレカットした材木を吊り上げる。一本も寸法ミスがなくきれいにはまっていく。昼から小雨が降り始めたが最後まで組み立てる。2時頃信大の片岡君が見学に来る。終了し中に入らせてもらう。2階、3階に上がるととても明るい。周囲にも3階建ての建物は多いのだがやはり視界が広がる。3時頃工務店の専務がくる。そして雨も止む。なんとも皮肉なものである。

講評会

On July 12, 2007
by 卓 坂牛

7月11日
午後から4年生前期の課題。今年はデザイン選択者が少なく10人の発表となった。ゲストに日建の山梨氏、非常勤講師3名、そして指導していた私を含めた3名計7名がジュリーである。4年生から1年生まで150人くらい聞いていたようである。これはとてもよいことである。数日前から図面を見てその未完成度が気になって憂鬱だったが模型は良く作りこんでいた。でもやはり図面の迫力の無さは山梨にも川上先生にも指摘された。そりゃそうだよな。つい最後の講評でもプッツン切れた発言をしてしまった。
今回はコンペのように最後に前面画面に学生とジュリーの名前の表を写しそれに得票を記入していく方式をとった。最優秀賞1名と優秀賞2名を決定した。これはこれで結構楽しい企画である。

あの頃

On July 10, 2007
by 卓 坂牛

コンペにゼミ、午後の製図は締め切り間際なので休講。昨日の赤川氏の『構築主義を再構築する』を読み黄表紙の序の理論を考える。読み終えて再度院生といっしょに考えを整理する。言説分析とは実体分析でないという意味では構築主義的分析である。そしてそれは写真分析も同様である。しかし写真と言説ではその意味内容が明示的であるか否かに大きな差がある。それゆえ構築主義につきものである分析結果の因果関係を社会に潜在する権力に見いだそうとする時、その確証はつかみにくい。いきおい写真分析は表現の差異を明確にするあたりで終わらざるをえない。そしてその分析対象間の差異は当然ではあるが、視覚的な側面にしか見出せない。そして視覚的差異と言うものは言葉の差異に比較して意味の厚みが無い分だけ見づらいものである。ボーっとしていると見出せない。結局写真分析のポイントはその差異を見出す切り口の作り方にかかっているであろうことが言説分析と比較することで明確になったような気がする。
学生と話終え頭はイタリアへ。ボッティチェリの本をぺらぺらめくる。修士1年の夏iaesteの計らいでスイスでバイトをすべくイタリアへ旅立った時のことを思い出す。それは製図の講評会の次の日。講評会の打ち上げで朝まで飲んで家に帰りそのまま数十キロのキスリングを背負い友人の車に乗って成田に行った。飛行機は一路ローマへ。初めての外国ローマでは原付に跳ね飛ばされ散々なめにあい、フィレンツェの先輩の家に行った。1週間くらいそこにお世話になりながら、ただぶらぶらしウフィッツィにさえ行かず毎日ワインを飲んでは街を歩いていたのを思い出す。何でだろう?僕はツーリストではないという妙な自意識があり、生活者の目で都市を体験したいと言うだいそれた考えを持っていた。時間が無尽蔵にあると思っていた頃の若気の至りである。

もっと自分らしさを

On July 9, 2007
by 卓 坂牛

キャンパス計画の打ち合わせを1時間で中座。学会の打ち合わせ。昼に博士課程への入学希望者から資料が届く。調書をチェックして書類を書いていたら昼食を食べ損ねた。そのまま院生の講義。終了後遅めの昼食をとり教員会議。終わってゼミまで少し時間がある。少し考え事。なんだか今日は気分が晴れない。なぜか考えていたのだが、昨日見た提出されたばかりの3年4年の図面が原因のような気がしてきた。何故なのだかよく分からないのだが、力がアップしっていない。明らかにプレゼンテーション力不足なのである。つまり必要図面を満たしましたというものばかり。「僕の図面を見て欲しい」という熱意を感じるものが余りに少ない。この無個性化は何なんだろうか?みなgenericになりたいのだろうか?何もコールハースに迎合しなくてもいいのに。。一般に、実際に作ることができない学生たちはあり余るエネルギーをもてあまし、それが図面表現にはみ出しほとばしるものなのだが、、、、
そんな憂鬱な気分をつい引きずってしまう。ゼミは明るい気持ちになろうとするのだが、マーク・ポスターの『情報様式論』を読みながら、これだけ多元的な時代、もっと個人のエネルギーが発露してもいいではないか、もっと自由に勝手に自分らしさを出したらいいではないかと思ってしまう。

言説(写真)分析

On July 8, 2007
by 卓 坂牛

昨日は松本キャンパス、今日は上田(繊維学部)キャンパスで信大ガイダンスである。宣伝が行き届いていないのか、高校の文化祭が同日にあるからか、上田がやや不便なのか分からないが、昨日より更に来場者は少ない。ちょっと残念である。
昨晩から読み始めた赤川学『構築主義を再構築する』勁草書房2006は予想通り今欲しい知識が並んでいる。因みにこの著者は去年まで信州大学にいたようである。さてこの本は言説分析の可能性を構築主義にからめて語るものである。言説分析は社会学の分野で生き残れるかどうかの瀬戸際だそうだ。しかし著者は自ら言説分析学者としてその正当性を主張する。言説分析に対する素朴な問いは、「言葉はそうだろうが実体はどうなの?」というものだそうだ、しかし実体なるものの存在は疑いないものなのか?むしろ実体というものはその分析手法の数だけ存在しておりアンケート調査、統計調査、等それぞれがそれぞれの実体を露にしているのであり、言説分析もそれ相応の実体を浮き彫りにするはずだと主張している。
さて私も昨年学生とともに建築における言説分析と写真分析を行なった。こうした分析の正当性を社会学の中に見出せないかと思っていた矢先にこの本を見つけた。社会学に疎いわれわれにとって本書はわれわれのナイーブな疑問に多くの示唆を与えてくれる(もちろんこの本の主張に批判的な説もあるのだが)。さてこの本の中で1つとても示唆に富むフーコーの言葉がある。それは言説とは「ひとつの時代において、ひとが(文法の諸規則および論理の諸規則にもとづいて)正しく言うことができることがらと、実際に言われたことがらとの差異によって構成される」というものである。この定義は言説においてそうであると同等に、別の対象にも当てはまらないだろうか?例えば写真である。社会分析においては写真もその実体に直接触れないという意味では言説と類似した対象のように思うからである。写真に即してフーコーの言葉を言いかれれば、「写真空間(言説に対応する写真にあてた便宜的な言葉だが)とは1つの時代において、ひとが(写真機およびフィルムの性能に対応して)撮影可能な写真と実際に撮影された写真との差異によって構成される」ということになる。まあ写真分析においては当たり前のことかもしれないが、こうして言葉にすることでその分析の行く末は多少明快になるように思われる。

裏と表

On July 8, 2007
by 卓 坂牛

7月7日
例年七夕の日は雨ということになっているが空梅雨の今年は曇り。朝一の中央線のあずさに乗り松本に。長野新幹線に乗りなれている僕にとっては中央線の景色はより魅力的。山あいの風景に奥行きがあるからだろうか。車中昨日衝動買いした田中森一の『反転』を読む。なかなか引き込まれる。気がつくと松本。午後から信大ガイダンスなる高校の先生、学生を相手にした大学紹介を行なう。いくつかの高校の文化祭と日時が重なったせいか盛況というほどではない。終了後電車で長野へ。駅前の蕎麦やで夕食をとり家で『反転』の続きを読む。原稿用紙800枚というなかなかの力作だが珍しく一ページ目から最後のページまで飛ばさず読んでしまった。いかにも幻冬社が作りそうなワイドショーネタではあるが、事実の持つ迫力に押された。社会の裏と表は誰かが繋いでおり、そういう繋ぎの黒幕と深く関係を持つのが公安や検察なのである。元公安調査庁長官が詐欺を働くなどという事件の発生理由(その真偽は定かではないが)はまさにここにあるということか。

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