Taku Sakaushi

Diary

10年前より新しいこと

On May 2, 2006
by 卓 坂牛

火曜日は9時から昼までゼミ、昼食後18時まで製図、18時半から院生ゼミ、今まで(22時半)。13時間長距離マラソンである。ふー。
昨日長野に向かう新幹線の中で読んでいた本のあとがきにこう書いてあった。
「ブラームスはブルッフのヴァイオリン協奏曲(1番か2番は不明)を聴いて、こう言ったそうだ。『こんなのでいいなら、私は10年前に書いている』。筆者も本書を読み返してみて、自分自身に向かってそういいたくなった・・・・・・・」
昨日ある原稿を出版社に出してきた。出版社が事務所のそばなので散歩がてらもって行った。原稿でも建築でもそうなのだが、これでできたと思うたびにその日の夜、次の日の朝、とてつもなく憂鬱な気分になる。「こんなのでよければ10年前に考えていた、作っていた、やっていた、」そう考えて滅入るのである。
オリジナリティの望めない現代社会において、創作物の独創性など微差の集積でしかない。ここ数十年間。これは見たことも無いなどというものに出会ったことはない。40年以上も生きていればしょうがないことである。そして自分の創作物を思い起こし、その僅かな差を確認し少し安堵するだけである。

宴三さんの絵画

On May 2, 2006
by 卓 坂牛

夕刻、日本橋高島屋の美術画廊に山田宴三(やまだえんぞう)さんの絵を見に行った。宴三さんはもともと日本画出身の方なのだが、岩絵の具とアクリル(あるものは墨)とアクリルのメディウムを和紙の上に垂らしたり、広げたりしながら(ちょっとサムフランシスのように)面を構成し、重ね塗りしながらある箇所その乾ききらぬ皮膜をめくり下の層をむき出しにするのである。それによって2次元のキャンバスに奥行性を出そうとしている。
それほど大きな絵ではないが、少ない画材でとても多様な世界が出来ていると感じた。一種類の青いアクリルで10色分くらいの色が出ているのには驚いた。墨も水墨画が作り上げる多様性よりもっと奥行きを感じる。
少ない手数で多様な表現というのは建築に通ずるとても大事な手法だなと感じた。

sleepy

On April 30, 2006
by 卓 坂牛

初夏のような暖かい日。夕方ゆっくりと風呂にはいって、風呂で本を読んでいたら眠くなってしまい、しばし風呂で寝る。去年パーティーの景品でもらったお風呂用枕というのがあって、これを首にあてて寝ると快眠できるのである。何の本?結構ぶっそうな本である『警視庁捜査一課特殊部隊』。なんでこんな本読んでいるか?たまにテレビの『潜入警視庁24時間』なんて番組見たくなるようなそういう気分で東京駅のキオスクで買ってしまうのである。
食後部屋で本読んでいたのだが、また眠くなってきた。いつでも寝られるようにと思いベッドに本を持っていった。『マルクスの●●』『ポストモダンの●●』。1ページ読んだら深い眠りにはいってしまった。気が付いたら12時。
眠いというのは余裕のあるときなので、体が楽になっている証拠。

いい加減な制御

On April 29, 2006
by 卓 坂牛

いい加減な制御ということを考えているそれは「良い」「加減」の制御ということで出鱈目ということではない。たくさんの、複雑な、ことをコントロールするのにどうしたらよいかという疑問に答えるための概念である。
例えば、街づくりというようなものを制御していくときに、制御する人(役所の人、建築家、街づくりnpo)がいて、制御される側の人(住人、企業、お店の人など)がいたとする。そういう場合、しっかりとしたルールはきっとうまくいかないもの。最初から30%はうまくいかないと考えておくべきである。そこで「しっかりとした」の反対である「いい加減」を持ち出す。いい加減とは何か?制御する側とされる側の柵をなくすことではないか?つまり、役人も住人も一緒に考えるということである。それでは制御ではないではないか?と思わず考えてしまう。しかし自分で自分を制御することだって世の中にはたくさんある。ただそういう制御は甘くなるから制御ではないと思っているだけである。甘くなるのはたくさんいることである程度カバーする。そして、とりあえず第三者もいることで制御の公共性は保たれる。だからこれも立派に制御であろう。
最初から失敗を組み込むことが重要。失敗と不適合が30%までなら、それは失敗でも不適合でもないとするのがいい加減ということである。

私営図書館

On April 28, 2006
by 卓 坂牛

最近大学の図書館に本が見つからず(工学部の図書館だから仕方ないのだが)東京に来たときに丸善によったり紀伊国屋に寄ったりする。そこで2時間くらい本を読んでいる。まるでここは僕の私営図書館である。そこで気が付くことがあるのだが、一つはやはり本は実物を見て読んでみてまた違うのを読んでみて、そしてまた違うのを読んでみて、そうすると一つ問題について書いてある本でも、著者がよく分かって書いているものと、全然分かってないで書いているものがあるということが分かる。また翻訳本だと経験したばかりかもしれないが、ああこの人理解してないな、と思う本がある(よく出版したなあと感心してしまう)。今日ちらっと眺めたルーマンの本も基本文献だし、訳者も有名だから買おうかなと思ったのだが、やめた。何かいているか理解できなかったから。事務所に着てネットで見たら、この訳はひどいと書いてあったのでああやっぱりと思った。だから本はネットで買うのは余り小難しい本でなく定評のあるものに限った方がいいのかもしれない。さて次に感じたどうでもいいことは、紀伊国屋はうるさい本屋だということ。館内放送が耳障りなのに加えカウンターでけたたましく鳴る電話の音がひどい。やはり古いビルだからなと感じた。立ち読みしているとまるで電車の中で本読んでいるようだ。それに比べると丸善は図書館である。今度は新宿行ったらジュンクだな。

祝優勝

On April 28, 2006
by 卓 坂牛

イヤー今回は厳しい。書き直しても書き直しても穴がある。昨日のアイデアはいけてると思ったのだが、まだ弱い??
坂本先生のコンペ優勝案がドイツの新聞に大きく載りました。
素晴らしい案です。今後うまく進むことを期待しましょう。
Werkbundsiedlung Wiesenfeld, München(工作連盟ジードルンク、ヴィーセンフェルド・ミュンヘン)
名称未設定 1 のコピー.jpg

丸善は朝早くから開いてます

On April 27, 2006
by 卓 坂牛

東京駅に9時に着いた。どうしても欲しい本がある。僕の読みたい本は往々にして文系なので工学部図書館にはない。直ぐ読みたいので、松本の総合図書館から出前してもらっている暇はない。そこで丸善へいく。6時57分の新幹線に乗ると、これは各駅停車で時間がかかり9時頃東京駅につく。しかし丸善は9時からやっているので、丸善(図書館)で必要本を読む。買うかどうかしばし迷った本を読んでいたら11時になってしまった。社会学書コーナーの脇にはガラス張りの読書コーナーがあり暖かな日の光が差し込んでいた。読んでいたのは『法理論のルーマン』。読んだ結果購入。そしてブルデューの新著『住宅市場の社会経済学』も購入。ベイトソンは買おうかどうか迷ったが、やめ。
夕方金箱事務所から3名来所。打ち合わせ。今回はそれほど難しいことはない。階段は少し面白くできそうだが、果たして本当に面白いか模型を作る。

コンテキスト作り

On April 26, 2006
by 卓 坂牛

昨日の情報の続きである。差異を生む差異が情報である。というのは建築の設計にとてもよくあてはまる。クライアントが差異と感じて始めて情報となるのだが、多くの建築家はそこまで行かない(クラインとが分からない)差異を一生懸命作って終わるのである。どうしてそういう悲しい状況が生まれるかというと三つの理由がある。一つはクライアントが鈍い場合。二つ目は建築家が盲目な場合。三つ目はこれが一番多いのだが、クライアントが差異を感じ取るコンテキストがない場合である。およそコンテキストとは教育と先入見で生まれるのであり、建築のそうした教育は一生に一度建築家に出会うまではあり得ないしそれ故先入見の発生の余地はないのである。それ故僕等は一生懸命いろいろとコンテキストを作る。多分コンテキストを複雑に作り続けるのが僕等の仕事なのかもしれない。それなしには仕事を進めることが不可能なのだから。

うやむや力

On April 25, 2006
by 卓 坂牛

ベイトソンによる情報の定義は「違いを生む違い」A differnce which makes A difference と言うもの。細かいことは分からないけれど、例えば赤いポスターと青いポスターがあるとする。書かれていることは同じ。字面はまったく一緒である。しかしこのポスターから受けとる情報(イメージ)は異なる。つまりあるモノの物理的な差は、受け取られた差になることで初めて情報となるということだ。そうなると情報は生き物であり、人があるモノからどのような差異を受け取るかは無限の可能性を持つということになってしまうのである。同じ「坂」という漢字が印刷された2枚の紙があるとする。肉眼で見ると両方とも確かに同じ字だが、印刷会社が違うせいか200倍に拡大すると最早まるで異なるモノであるかもしれない。あなたはその場合どちらの状況からこの坂を理解するだろうか?それによってこの情報はまるで異なるモノになってしまうのである。
しかし社会はそんな差をうやむやにするように動いている。このうやむやがないと社会は止まってしまうから。しかし難しいのはこのうやむやを使っていい場合といけない場合が暗黙に決まっているということであり、それを探り当て行使する力ーうやむや力が世の中にはある。そしてそれを使える人間が賢いと言われるのである(いいか悪いか知らないが)。

岡本はエリートでした

On April 23, 2006
by 卓 坂牛

今日は友人に引かれて岡本太郎美術館に行った。「一体岡本みたいなアヴァンギャルドがなんで太陽の塔なんていう国家プロジェクトをまかされたんだろうねえ?」と道すがら話していたのだが、美術館で年譜を見てびっくり。岡本太郎は慶応、芸大、パリという超エリートコースだったのでした。とても「芸術は爆発」する人の経歴としては似つかわしくない。友人は芸大卒だが岡本が芸大などとは知らず、驚いていた。母、岡本かの子がまたとてもハイソである。「太陽の塔のコミッションははまったく不思議ではない」と、友人とともに納得した。
ところでなんで昨今岡本ブームなのだろうか不思議に思って友人に聞くと、「あの単純なしゃべりが若い世代の気を引くのでは」という。ああ「小泉ね」と僕。「そうそう」と友人。

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