Taku Sakaushi

Diary

フラクタル次元

On April 12, 2006
by 卓 坂牛

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一度断ったコンペの審査員やはり引き受けることにした。研究室でやりたいと思って逃げたのだが、こういうことも大事だなあと気が変わった。市の皆様の志が高いから。志が高いからこそ審査員ではなく案を出すべきだと言う考え方もあるのだが、、、、、
午後工学部の図書館で本探し。就任した当時ここの図書館に来て愕然とした。何も無い。もはや入る必要性無しと思っていたのだが、オンライン検索すると結構引っかかるので今日は来た。ゼーヴィの『空間としての建築』、アレグザンダーの『パタン・ランゲージ』を借りた。いいこと書いてある。
カール・ボーヴィルの『建築とデザインのフラクタル幾何学』を読んだ。目から鱗。彼の調査によるとトルコの山あいの街「アマシア」にある伝統的な集合住宅形状が持つフラクタル次元と山並の形状が持つフラクタル次元は非常に近いそうだ。その次元の近さが厳密に何を意味するか未だ理解しきれていないのだが、形体のある属性の近似性には違いない。そしてその近似性が両者の形体の整合性を生むというのである。
うーむなるほど。昨日の製図で自然と建築の融合をテーマにしている人がいたがその一つの考え方がここにある気がした。

入研者決め

On April 11, 2006
by 卓 坂牛

昨日から苦しんでいた入研者決め。本日発表。8つくらいのクライテリアから審査をして順位をつけた。しかしそれはそれ、最後はもう一度自分の記憶の中からその人の粘りのようなものしつこさのようなもの、自分の実感を大切にするような心を呼び戻し評価した。そうした部分のほんの少しの差でとりあえず6名選ばしてもらった。授業でも言ったけれど「とりあえず」である。されど差は差。微差だけど差。落ちた人はそのほんの少しだけど大事な粘り、実感を磨き獲得して欲しいと思う。
こんな選抜は自分としては気分のいいものではない、出来ることなら再度言うが全員好きなことをやらせてあげたいと思う。しかし僕の能力にも限界はあるし、実際スペースにも限界がある。その事情も理解して欲しい。
(意匠の先生がもう一人いればなあと思わずにはいられない)

研究室振り分け

On April 10, 2006
by 卓 坂牛

今日は久しぶりに大学が活気付く。学生が沢山いる。こういう大学の方が楽しくていい。午前2年生、午後、は3年、4年、m2のガイダンス。そして4年生の研究室所属の振り分け作業。3月にアンケートをとった時僕の部屋は12人いた。定員は5名なので確立2倍である(5名も多いよなあ、先日聞いたところだと、東工大は3名だそうだ。ああうらやましい)。今日少し志望が減るかと思ったが増えて13人になった。志望者全員okにしてあげたいところだがそうもいかない。
僕が学生の頃、人気の意匠系篠原研はじゃんけんで入研を決めていたと思う。思うというのは僕は学部では意匠系に進まなかった。デイヴィッド・スチュワートに指導教官をお願いして、コルビュジェ論を書いたのであった。その時篠原研に行った同級生のひとりはあの有名な稲葉なおと。他の2名のうち一人は伊東豊雄の事務所に行き、もう一人は長谷川逸子のところに行った。スチュワート研の3名は院で二人が篠原研に行き一人は平井先生の所に行き、その後僕は日建、他の2名は鹿島と竹中に行った。こうやって見ると、同級生はアトリエからゼネコンまで偏り無く行ったものである。バブル胎動期の引く手あまたの時代だった。だれでも好きな所に行けたような記憶がある。
さて話を5人の絞込みに戻すと、これがなかなか大変だ。
僕はデザイン能力というものをあまり信じない方だけれど、13人の過去の製図を見比べているとあ、これは天性かなと思うようないい癖みたいなものを持っている人が13人の中に一人か二人くらい居る。そういうのは別にすると、後は何を規準に考えたらよいのだろうか?
それは努力する力だと思う。二宮金次郎みたいで古臭いけど、結構こう言うことは大事なんだよなあ。デザインってそういうしつこさみたいなものなんだと思う。

現場雑感

On April 9, 2006
by 卓 坂牛

昨日は k projectの施主定例。そろそろ追い込みで月二度のペース。やや遅れ気味だったものの、トップライトサッシュは無事設置された。ガラスは来週つく。そうなれば内装仕上げにかかれる。
この時期の現場に行くとすこしそわそわする。自分の想定範囲内にモノができているかかどうか気になり始める。想定どおりで嬉しい場合もあれば想定範囲外で少し面食らうこともある。もちろん想定範囲外で嬉しいこともある。昨日は概ね良好である。特に広さ感が思った以上にある。この広さ感と空間のリゾームのような無目的なつながりは土地の広い郊外型住宅の特徴として狙いとするところだった。
今日は一日家で仕事。川崎のプロジェクトのことを考える。このプロジェクトの狙いjは2つの繭が織り成す目的論的関係、k projectと異なり、広さ感を最初から狙っていない。しかし空間を狙えない場合は余程他でエッセンスがないと建築にならない。自分は創作上は、空間第二論者(空間至上主義ではないという意味)でありながら、自らの経験としては空間が悪いとなかなかその建物を評価しにくいものである。それでも性懲りも無くロジカルな欲望としては、空間以外で勝負してやろうといつも思うのである。しかしこれが結構難しい。今回も繭に加えた何かが欲しいのである。一体それはなんだろうなあ?コスト的には構造で勝負は厳しい、質料かな?
ナカジがクライアントと上海に向かう。僕は明日の新入生ガイダンスのために長野に向かう。

藤田展

On April 8, 2006
by 卓 坂牛

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昨日東陽町で免許書き換えした後に竹橋に寄って、「藤田嗣治 展」を見た。朝一に立ち寄ったが既に混んでいた。混んでいるのと時間がないのと手伝って、駆け抜けるように見た(僕の前を岡崎さんが駆けていた)。
藤田の本物を見るのは初めて。やはり本物を見ると感じることが違うよなあ。なんたって驚くのは、この絵が油絵?ということ。あまりに画面がさらさらだ。もちろん岩絵の具じゃないけれど、まるでポスカラ。芝さんの絵の表面と近い。あの時もとても油に見えないので「これ油?」と聞いたら、油だけれど何か混ぜているのだそうだ。「ジャスパージョーンズも使っているよ」とそばにいた元美術手帳の編集長の大橋さんが教えてくれた。藤田もそんなものを混ぜているのだろうか?
藤田の先生黒田清輝は藤田の卒業制作である自画像に黒が多用されるのを評価しなかったそうだ。そりゃあ黒田の絵と藤田の絵じゃ大違いだもんなあ。印象派っぽいことを黒田は日本でやり、墨で裸婦の輪郭線を藤田はパリで描いた。アートって異文化交流ツールなんだなあと痛感した。

ホタルイカ

On April 7, 2006
by 卓 坂牛

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出来立ての『TOTO通信』2006年春号が送られてきた。レストランのしつらえ特集で僕の設計した「ホタルイカ=イル・リストランティーノ」も青山、銀座の名だたるレストランと並んで紹介していただいた。ありがとうございます。
なにがありがたいって、この写真。「すごい」。撮ったのは浅川敏さん。建築界じゃあちょっと有名なカメラマンである。
一月の初め取材の時、たまたまこのお店が紹介されたカーサブルータスが店に置いてあり、失礼にも浅川さんに、「この写真とてもいいんですよねえ」と見せたのだ。カーサの写真は思いっきり露出を上げてハレルぎりぎりの真っ白い今風の建築っぽくない写真だった。それを見せられた浅川さんはにやにや笑ってアシスタントに「おい、こう言う写真がいいんだってさ」とちょっと馬鹿にしたような、こんなの目じゃないよという感じで、自信たっぷりだったのが印象的だった。
それで原稿レイアウトで上の写真(A4見開きなのでA3の大きさ)が出てきた時はちょっとびっくりした。この建物は外国の雑誌も入れれば、既に3つの雑誌に紹介されており、3人のカメラマンに撮って貰っており浅川さんは4人目なのだが、こんなアングルははじめての登場である。みんな建物全体を入れようとしてアングルが上がるのだが、上を捨てて思い切りローから狙い逆に建物内を透過した。その結果この建物の特徴が見事に抉り出された。
いやー本当に脱帽である。

フラクタル

On April 6, 2006
by 卓 坂牛

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一昨日渡辺誠の 『建築は、柔らかい科学に近づく』という本を読んだ。久々に共感できる楽しい建築の本に出会った気がした。その本で高安秀樹というフラクタルの専門家が「複雑さに潜む合理性を求めて」という序文を寄せていた。
曰く「自然の造形と人問の造形を最も端的に区別するのは直線であろう。人間のつくったものには、直線の断片が含まれることが多いが、自然界の中にまっすぐな部分を見いだすことは非常に難しい」
ちょっと読むと大したことは無いかもしれないが、ここ数日、建築の形態を2つに分類するとどういう概念になるのが妥当だろうかと考えていたところだったので。これかなと思い嬉しくなってしまった。
そんなわけでこの高安さんの別の本も読んでみたくなりamazonに頼んだ。その名も『フラクタル』である。今日東京に帰りがけ学科事務室の僕のポストを覗くともうこの本が届いていた。嬉しくなって帰りの電車で読み始めたら、「うわっかなり専門的ではないか!」数式オンパレードである。と思ったときには深い眠りに入っていた。

景観論

On April 5, 2006
by 卓 坂牛

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原稿を書くために景観の概説書をいろいろ目を通し始めた。そのうち一冊は景観法それ自体である。つまり法令の解説書。今まで地方の条例レベルだった景観が一昨年法律となった。しかしちょっと変わった法律でこの法律を適用するかどうかは自治体の判断に任されている。そして建物の良し悪しは定量的な許認可ではなく、質的判断をプロがやる(確認さえおろせない行政の人手不足の現況でこんなことできるのか?)。また歴史的建造物の保存とか、重要樹木の指定とか景観地区を定め形態規制までかけられるそうだ。
そんなわけで長野の景観条例は変わったのか(その昔長野で仕事した時は景観条例の事前協議もした)ホームページを見てみたl。しかしあまり変わってはいなかった。保存建築の指定がされていたことくらいか?この法律ができてもドラスティックに何が変わるわけでもなさそうだ。
景観は確かに単体の話ではないから行政に期待するところは大である。大いにやって欲しい。しかしやるならかなり大胆にやらないと効果はない。私の経験で、「ああこれは効いたな」と思ったのは台場の仕事をした時。現在のデックス東京ビーチのコンペの時都は地区計画をかけて建物の形態規制をした。海際の建物高さをぐんと落としたのである。この時は規制をかけられたにもかかわらず納得がいったし、できたものも規制がかかってよかったなと思った。残念ながら、他には行政の効果的な処置を感じたもの(条例でも指導でも地区計画でも)はない。
なぜないか?もちろんちょこちょこと規制があることは知っているが、そんな規制は屁みたいなものである。あったって無くたってアーバンデザインには関係ない。そんなことをするくらいなら、駄目な建築家に仕事をさせないほうがはるかに効果的だ。要は個別のデザインの力にかかっているのである(台場の形態規制はデザインの問題ではない、地区計画などで規制しないとできないことである)。そう思うと法的な景観の議論にはどうも力がはいらない。ただし大掛かりな方策は何度も言うがやればよい。そしてその場合は単なるデザインだけでなく、様々な経済的なバランスと支援も含めてやればよい。そのときはもはや建築家の出る幕ではない。

会議

On April 4, 2006
by 卓 坂牛

結構大学の会議は好きなのです。こういう教師は珍しいですね。研究室で自問自答している哲学的な時間は息苦しいのです本当は。もちろん逃避願望なのです。そんなことは分かっているけれど、まるでテレビでニュースを見るような感覚で会議の議題を聞いています。月一度くらい工学部教員全体の会議があります。参加者は100名以上います。入学者数の推移だとか、大学の予算配分だとか、まるで社会学の本を読んでいるような楽しさです。しかも3年前のデーターとかではなくて最新のデーターです。新刊の本だって使っているデーターは新しくても去年でしょうから、その意味で実に新しい。しかも一般のニュースには乗らないような極秘データーですからね。これはその辺の新書本よりはるかに迫力ありますよ。その上パワーポイントで丁寧に説明してくれますからね。
夜は懇親会。建築学科は10人ちょっとなので少し寂しいのですが鍋をつつきながら明日への抱負を語り合い先ほど解散。

歯痛

On April 3, 2006
by 卓 坂牛

うっ歯痛。参った。引っ越して行きつけの歯医者が無くなったために放っておいたのが運の尽き。ほっぺたに飴玉を入れたような腫れ。家族が行っている歯医者へ直行。あごの骨も一部化膿していると言われた。本当は3日くらいかけてやる治療を「あまり来られないのでまとめてやってください」と頼んだら、計2時間くらいかけて、(予約患者の合間を縫って)やってくれた。しかし一遍にいろいろな場所をいじくりいろいろな神経を刺激したせいで強烈に痛い。頓服飲みまくり。そのせいで新幹線の中では睡魔に襲われ、ふと気がついたら大宮。ああ痛い。でも今日行ってよかった。明日は新年度最初の会議、会議、会議、夜は懇親会。偉い先生とも久しぶりに再会。
そう言えば一昨日稲葉のオープニングレセプションで大学の研究室の先輩に会って「今信大で教えています」と言ったら「信大かあ、浅野っているか?」と聞かれてびっくり、いるも何も先輩かつ怖い先生でありますから。「はい」と答えたら、「浅野の下じゃあ大変だろう」と言われて「いえそんなことはございません」と意味も無く答えたのだが、「大変だろう」の真意を聞くのを忘れてしまった。一体どういう意味だったのだろう??

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